アメリカで国民的な人気を誇る子ども向け教育番組で、日本でも英会話の教材などにも使われている『セサミストリート』に新たなキャラクターが登場した。

 そのキャラクターとは、「ジュリア」という名の自閉症を持った4歳の女の子。実は『セサミストリート』で障害のあるキャラクターが起用されるのは、今回が初めて。

画像: Photo: スプラッシュ/アフロ、シンクストック/ゲッティイメージズ

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リアルな問題に焦点をあててきた『セサミストリート』

 約50年以上アメリカで放送されている『セサミストリート』は、子ども向けの教育番組だけれど、現代の社会問題や人生の中で起こる困難な問題にも目を向けてきた。

 例えばメインキャラクターでエルモたちとたわむれる中心的な登場人物だった俳優のウィル・リーが亡くなった時は、死を受け入れることについて語り、またある時はHIV陽性のマペットを通してエイズについての知識を教えるなど、子どもたちが困難なテーマと向き合う手助けをしてきた。

 こうしたデリケートで困難な問題を教育していく姿勢を常に持つ『セサミストリート』だからこそ、今回の「ジュリア」の起用は決して不自然なことではなかった。

画像: リアルな問題に焦点をあててきた『セサミストリート』

実体験でよりリアリティを追及

 今回の新キャラクターの「ジュリア」は、特にコミュニケーションが苦手な女の子という設定。メインキャラクターのビッグバードに質問されても、何も答えなかったために無視したと勘違されてしまうシーンがあるなど、自閉症の人が直面する悩みをわかりやすく表現している。

 さらに「ジュリア」役のパペットを務めたスタッフは、自閉症の息子を持つ母親。息子と一緒に生活する母親だからこそわかる、なにげない生活に隠される困難をリアルなタッチで伝えている。

画像: 実体験でよりリアリティを追及

人とのコミュニケーションが難しいと感じるすべての子どもへ

 新キャラクターの「ジュリア」を考案した脚本家のクリスティン・フェラーロは、AP通信のインタヴューで自閉症に焦点をあてた理由を話した。

 クリスティンは「自閉症にはそれぞれ異なった特徴があって、それぞれ性格がちがう。それは他の子どもと同じだということを、より多くの人に知ってもらいたい」と語った。

 その上で障害がなくても同じような悩みを抱えている、すべての子どもたちにも共感できるようにと、コミュニケーションをとることが難しいという特徴の「ジュリア」を描いたという。

多数メディアも反応

 『セサミストリート』の町にやってきたビッグニュースに、各メディアも反応。特に米テレビ番組「60ミニッツ」の公式アカウントの「ジュリア」関連ツイートは、1万を超えるRT数を記録し、大きな話題を呼んだ。

 また「セサミストリートの決断は素晴らしい」「ジュリア大好き」「美しい物語ね」という称賛のコメントも多数寄せられた。

 世界中から愛される『セサミストリート』にて「ジュリア」を起用したことで、より多くの人が、周りに誤解されがちな「生きづらさ」に気付くことができるかもしれない。

世界自閉症啓発デーで世界各地でイベント開催

 4月2日は世界自閉症啓発デーとして、世界各地でイベントが行われる。日本では、東京タワーで「癒し」や「希望」を表す青色でライトアップする「東京タワー・ライト・イット・アップ・ブルー」が開催のほか、各地でイベントが開催される予定。

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