ソーシャルメディア キャットフィッシュ Catfish 身元のっとり 生活のっとり

Photo: シンクストック/ゲッティイメージズ、Twitter, Instagram

 

 欧米のソーシャルメディア上で他人の生活を乗っ取ってしまう行為が増えている。「生活を乗っ取る」とは一体どういうことなのか?

 

SNS上で4年間も他人との交際を偽装

 2月初め、スコットランドに住むある女性が、まったく面識のない男性と交際しているという嘘をソーシャルメディア上で4年間もつき続けていたことが発覚。

 男性には別に婚約者がいたが、問題の女性は男性がソーシャルメディア上に投稿した婚約者との写真を盗んでは、写真修正ソフトを使って婚約者の顔に自分の顔を加工して男性とのツーショット写真を偽造。自分のアカウントへの投稿を続けていた。

 さらに女性はこの嘘により真実味を出すために、男性が訪れた場所を訪れては、同じ場所で写真を撮り、男性のアカウントから盗んだ写真と共に自分のアカウントに写真を投稿していた。

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女性による投稿。男性のアカウントから盗んだ写真(右)と、自分が同じ場所に立つ写真(左)を投稿して真実味を上げていた

 知らないうちにソーシャルメディア上で自分の生活が乗っ取られていたことに気づいた男性は、その事実をツイート。「僕、彼女と6月に結婚するらしいよ。初めて知った」などと困惑する様子を見せ、男性の婚約者は、「警察に連絡したわ」とツイートしている。スコットランドのメディアDaily Recordによると、女性の乗っ取り行為が発覚したきっかけは、女性の主張を不審に思った友人が男性をソーシャルメディア上で探し出したことだったという。

 

 こういったソーシャルメディア上で他人の身元をのっとる行為は、英語で「キャットフィッシュ(catfish)」と呼ばれており、多くの事例が報告されている。

 

増える「キャットフィッシュ」行為 

 例えば、9万人以上のフォロワーを持つ英インスタグラマーのジェシカ・ハントは、自分がインスタグラムに投稿した写真が盗まれ、他人のアカウントに顔だけがアカウント持ち主のものに変えられた状態で投稿されているのを発見。

  「ボディや家は私のものなのに、この顔は誰のもの!?」とツイッターで被害を明かした。

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ジェシカ・ハント本人。この写真が盗まれ、顔だけ別人のものになり別アカウントで使用されていた

 ほかにもツイッターやインスタグラム上では、「誰かが私のふりしてる!」「知らないうちに自分にそっくりの双子がいた」などと、被害の報告が後を絶たない。

 

「よく見られたい」というプレッシャー 

 インターネットにおいてキャットフィッシュは古くからある詐欺行為だが、近年は、「ソーシャルメディア上で自分をよく見せる」という目的でのキャットフィッシュ行為が増えている。

 他人との交際を偽装したスコットランドの女性は「彼氏がいるように見せるため」、ジェシカ・ハントの件は「自分が美しいドレスでおしゃれなキッチンに立っているように見せるため」と、周囲へのアピールが目的だった。

 日本にも「フォト充(※写真を通して自分の生活が充実していることをアピールする行為)」という言葉があるように、ソーシャルメディア上では「イメージを良くする・イメージを保つ」というプレッシャーが存在しており、2013年のピュー研究所による調査では、アメリカのティーンの74%が自分のイメージを守るためにソーシャルメディア上から写真を削除したことがあると答えている。

 

 見知らぬ人に身元を乗っ取られるキャットフィッシュ行為はもちろんのことだが、そのような行為が頻発するほどのプレッシャーを与えているソーシャルメディアの現状も問題かもしれない。

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