ラ・ラ・ランド ムーンライト デイミアン・チャゼル バリー・ジェンキンス 映画 アカデミー賞 2017  Variety 雑誌 対談Photo:スプラッシュ/アフロ、Instagram/Variety

【フロントロウ編集部】

 前代未聞のアクシデントとなった、第89回アカデミー賞授賞式での作品賞発表ミス。そんな騒動について、監督賞を受賞した映画『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督と、作品賞を受賞した『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督が米Variety誌で対談を行った。

 

作品賞発表ミス

 作品賞の本来の受賞は『ムーンライト』だったにも関わらず、スタッフが間違って「『ラ・ラ・ランド』 エマ・ストーン」と書かれた主演女優賞の封筒を渡してしまったため、プレゼンターの俳優ウォーレン・ベイティと女優のフェイ・ダナウェイが『ラ・ラ・ランド』を受賞作品として発表。『ラ・ラ・ランド』チームが受賞を喜ぶスピーチを行うなか、その間違いが発覚し、ステージ上は大混乱となった。

アカデミー賞 2017 ジミー・キンメル ジョーダン・ホロウィッツ ウォーレン・ビーティ Academy Awards Jimmy Kimmel Warren Beaty左から、『ラ・ラ・ランド』のプロデューサー、ジョーダン・ホロウィッツ、司会のジミー・キンメル、プレゼンターのウォーレン・ベイティ。

 このあり得ないミスが発覚した後、『ラ・ラ・ランド』のプロデューサーであるジョーダン・ホロウィッツは、誰かに怒るでもなく、「すまない。ミスがあった。『ムーンライト』、君たちが作品賞を獲ったんだ」と訂正。さらに、「『ムーンライト』を作った僕の友人に、直接この賞を手渡しできることを誇りに思うよ」とライバルを称え、壇上にやってきたバリーとハグを交わした。

 

監督たちはどう思っている?

 アカデミー賞の歴史の中でもありえない大失敗となった作品賞の発表。私生活では友人同士だというデイミアン監督とバリー監督は、そんな授賞式のアクシデントについてこう語っている。

ラ・ラ・ランド ムーンライト デイミアン・チャゼル バリー・ジェンキンス 映画 アカデミー賞 2017 デイミアン・チャゼル バリー・ジェンキンス  (左)デイミアン・チャゼル、(右)バリー・ジェンキンス。

 あの瞬間について『ラ・ラ・ランド』の監督デイミアンは、「最初、ドッキリでも起きてるのかと思ったんだ」と、事態がすぐには飲み込めていなかったとコメント。一方のバリーは、受賞の発覚後、「最初に頭に浮かんだのは、ジョーダンと出来るだけ早くハグを交わしたいということだった」と、ステージ上ですぐに喜びを分かち合いたいと思っていたと明かした。

 またバリーは、「混乱は起きたけど、ある種豪華だったよね。一瞬で2つのグループが一緒に出てきたんだから。これはジョーダンと(『ムーンライト』のプロデューサーの)アデル・ロマンスキーが肩を組み合ってる写真なんだけど。これこそが、まさにあの瞬間をあらわしているものだよね」と、コメント。2組がステージに上がっていたあの時は、ライバル同士がお互いを称えあっていた、感動的な場面だったと語った。

ムーンライト バリー・ジェンキンス アデル・ロマンスキー ジェレミー・クライナー『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督(右)とプロデューサーのアデル・ロマンスキー(中央)、ジェレミー・クライナー(左)。

 デイミアン監督も、「僕とバリーも、それについて話していたんだ」と語り、「誰かと(ステージ上で)仲良くやるなんて変な感じがするよ。オスカーの本質というのは、一対一の戦いって感じだから。でも、そんな今までの考え方を、あの大舞台で少しでも正すことが出来たのは嬉しいね」と語り、競い合うだけでなく、お互いに称え合える存在であることを明かした。

 まさかの事態となってしまったアカデミー賞。しかし、あのあってはならないアクシデントによって、普段は決して見ることができない特別な瞬間を目撃できたのかもしれない。

 『ラ・ラ・ランド』は2月24日より公開中、『ムーンライト』は3月31日より全国公開される予定となっている。

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