今月に入り連続して発生した、警官による無実の黒人男性の射殺事件を受け、現在アメリカで深刻な社会問題として議論されている、アフリカ系アメリカ人たちへの人種差別問題。

 この問題へのさらなる注意喚起を促すべく、有名セレブたちが集結し、ある1本のビデオを制作した。そのビデオとは、これまでに警官によって不正に殺害された無実の黒人たちの写真や実名とともに、彼らが死に至るきっかけとなった何気ない行動の数々をセレブたちが述べていくというシンプルなもの。

画像: ビヨンセ、リアーナらが集結して訴える「黒人というだけで殺されてしまう23の行動」

 「23 Ways You Could Be Killed If You Are Black in America(あなたがアメリカ在住の黒人というだけで殺されてしまう23の行動)」と題された、米ニュースサイトMicが制作した同ビデオには、シンガーのビヨンセ、リアーナ、アリシア・キーズ、ファレル、レニー・クラヴィッツ、ピンク、ジェニファー・ハドソン、女優のロザリオ・ドーソン、コメディアンのクリス・ロック、バンドU2のボノ、マルーン5のアダム・レヴィーン、ラッパーのエイサップ・ロッキーら錚々たるセレブたちが登場。真剣な眼差しで事の重大さを訴えた。

 そのビデオがこちら。

画像: 23 Ways You Could Be Killed If You Are Black in America youtu.be

23 Ways You Could Be Killed If You Are Black in America

youtu.be

 「えっ、そんなことで?」と、あまりの何気なさに愕然とさせられる「黒人というだけで殺されてしまう23の行動」をフロントロウ編集部が翻訳してリストアップ。

1. 車線変更の合図を怠ってしまった

2. ガールフレンドの車の後部座席に子供を乗せて走行していた

3.自分のアパートでトイレに駆け込んだ

4. コンビニの外で煙草を売っていた

5. 通勤電車に乗っていた

6. 自宅に向かって友だちと一緒に歩いていた

7. アイコンタクトを取っていた

8. スーパーの外でCDを売っていた

9. フード付きのパーカーを着ていた

10. 警察官から歩いて遠ざかった

11. 警察官に歩いて近づいた

12. 車のナンバープレートが外れていた

13. オハイオ州の公園でおもちゃの銃を持っていた

14. 車のブレーキランプが切れたまま運転していた

15. バチェラーパーティー(※)の前に車で待機していた

 ※結婚式前に行われる男性の独身さよならパーティー

16. 自宅アパートの階段を登っていた

17. 交通事故の後に助けを呼んでいた

18. ヴァージニア州で偽モノの銃を携帯していた

19. 聖書の勉強会に向かっていた

20. ウォルマート(有名日用品店)でおもちゃの銃を手に持っていた

21. 笑っていた

22. 財布を手に持っていた

23. 誕生日会に参加していた


 そしてリストの最後はこう締めくくられている。

「つまりアメリカでは、黒人というだけで、特に何もしていなくても、ごく日常的な行動をしているだけで態度が大きい(反抗的だ)と判断されてしまうのだ」。

 ビデオの最後に登場するシンガーのアリシア・キーズは「今こそ、全アメリカ国民が平等に幸せな人生を生きるための平等な権利を持てるよう、私たちの国に根強く残る組織的な人種差別を浄化し、大きな変化をもたらすべき時です」と熱を込めて訴えている。

 同ビデオの他にも、シンガーのアリアナ・グランデら、数多くのセレブが人種差別反対を訴えるさまざまなアクションを起こし、彼らの声はソーシャルメディア等を通じて、アメリカだけでなく世界中に広がっている。

 古くからアメリカ社会に暗い影を落とす深刻な問題に、本気で立ち向かうべき時が来たのかもしれない。

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