Photo: AFLO, Getty Images, Twitter/Selena Gomez, Twitter/Justin Bieber, Twitter/shanabwilson
アメリカの人気音楽オーディション番『ザ・ヴォイス』で知られるシンガーのクリスティーナ・グリミーが、6月10日にサイン会でファンの男に撃たれて死去。22歳だった。

 5月に東京で起きたアイドル刺傷事件と重なるところがあり、日本でも大きく報じられているこの事件。悲劇はなぜ起きてしまったのか? フロントロウ編集部が、事件の全容と共にお伝えします。

画像: 【深知り】歌手クリスティーナ・グリミー射殺事件から見えた、セレブ界が抱える大きな問題

両腕を広げる被害者を発砲

 この日ポップロックバンドのビフォア・ユー・エグジットの前座として、フロリダ州オーランドのザ・プラザ・ライヴのステージに立ったクリスティーナ。

 ライヴ後にはサイン会とグッズ販売が行われ、15人ほどのファンがクリスティーナに会うために列を作ったという。

 するとその中にいた27歳のケヴィン・ジェームズ・ロイブルという男が、自分の番になった時に、クリスティーナに向けて3発の銃弾を発砲。男の後ろに並んでいたという女性ファンは、クリスティーナがハグをするように両腕を広げて男を歓迎するのを見た直後に3発の銃弾を聞いたことを、People誌に語っている。

 犯行後、クリスティーナの兄に飛びかかられて取り押さえられた男は、銃口を自分に向けてその場で自殺。一方クリスティーナは、病院に搬送されたが帰らぬ人となってしまった。

 オーランド警察の発表によると、男はオーランドから車で約2時間かかるセントピーターズバーグの人間で、クリスティーナを殺害する目的で2丁の銃と狩猟用ナイフを持ってライヴ会場を訪れたという。警察は事件が狂信的なファンによる犯行かという問いに、「そのように見える」と語っている。

画像: 現在、犯行現場となった会場外には、手紙や花が供えられている。

現在、犯行現場となった会場外には、手紙や花が供えられている。


セレーナ、ジャスティンら、セレブ友達にショックが走る

 2010年にシンガーのセレーナ・ゴメスの義父にYouTubeで発掘されたクリスティーナは、その縁で多くのセレブと交流があり、だからこそ今回の事件が業界に与えているショックは大きい。

 すでに、セレーナ、ジャスティン・ビーバー、チャーリー・プースが自身のライヴでクリスティーナを追悼するライヴを行っていて、ほかにも、シンガーのデミ・ロヴァートやニック・ジョナス、女優のルーシー・ヘイルや俳優のハリー・シャム・ジュニアなど、多くのセレブが追悼コメントを発表している。

画像: セレーナ(右)のツアーの前座を務めた当時の写真。

セレーナ(右)のツアーの前座を務めた当時の写真。

画像: ジャスティンは『ザ・ヴォイス』放送中に、クリスティーナの勝ち残りを応援するツイートをしたことも。

ジャスティンは『ザ・ヴォイス』放送中に、クリスティーナの勝ち残りを応援するツイートをしたことも。


 さらにクリスティーナが出場した音楽オーディション番組『ザ・ヴォイス』のキャストたちも追悼コメントを発表していて、なかでも、番組でクリスティーナを指導したマルーン5のアダム・レヴィーンは、事件後に葬式の費用を寄付したことを、クリスティーナの兄が会見で明かしている。

画像: 2014年に音楽イベントでふざける、クリスティーナとアダム。

2014年に音楽イベントでふざける、クリスティーナとアダム。


SNSが生んだセレブ界の新たな闇

 セレブ界がクリスティーナの死にショックを受けている理由は、彼女が業界で愛されていたからだけではない。この事件が、セレブ界のある問題を浮き彫りにしているからでもある。

 その問題とは、セレブがファンとの距離感を取りづらくなっているということ。

 大きな原因は、SNSにある。

 自分の言葉でファンに直に話しかけられるうえ、ワンクリックで数百万人にPRができるため、セレブにとっては素晴らしいツールであるSNS。

 しかし今まで見られなかったセレブのプライベートが見られるようになったせいで、現実とバーチャルの見分けがつかず、セレブを自分の友達だと勘違いしてストーカー化する人も現れ始めている。

画像: 6月13日に催された追悼集会。

6月13日に催された追悼集会。

 だったら、セレブがSNSの利用を控えればいいと思うかもしれないが、SNSが普及したここ数年の間に、世間ではセレブに「共感」や「友達のように親しみやすくあること」を求めるように。今では、セレブのキャリアにSNSが不可欠なものとなってしまっているのだ。

 さらに、目撃情報の投稿などによってセレブの現在地がSNSで手に入りやすいことも問題に拍車をかけている。


ガガのファンサービスに憧れを抱き

 フロントロウ編集部の調査では、クリスティーナもSNSでファンとの交流を盛んに行っていたことが分かっている。

 2013年にはトップシンガーであるレディー・ガガのファンサービスの素晴らしさを称える投稿をSNSで行っていて、自身もファンとSNS上で会話をしたり、ライヴ会場で写真を撮ったり、精力的にファンと近い距離を取っていた。

 その中で、あるファンの話では、昨年にはクリスティーナが興奮したファンに詰め寄られる騒動も起きたそう。

画像: 2015年には、男性ファンに詰め寄られたというクリスティーナの写真が別のファンによって公開された。

2015年には、男性ファンに詰め寄られたというクリスティーナの写真が別のファンによって公開された。

それでも、クリスティーナはファンとの交流を続け、事件の直前にはSNSで「プラザ・ライヴにいるわ!みんな来て!」と動画で呼びかけていた。


ファンが楽曲を購入して追悼 EPはチャート入り

 クリスティーナの事件が世間に衝撃を広げるなか、ファンの間では、彼女が今年2月にリリースしたEP『サイドA』を購入して彼女を追悼する活動が進行中。その結果、米iTunesアルバムランキングのトップ20入りを果たしている。

 EPは日本ではこちらから購入可能。以下の動画では、クリスティーナが歌うEPのプレビューが聴ける。

画像: Christina Grimmie's "SIDE A" 30 Second Promo youtu.be

Christina Grimmie's "SIDE A" 30 Second Promo

youtu.be


 世界中でクリスティーナの追悼が続くなか、セレブ界に関わる人たちは、今一度セレブの安全性について考え直させられている。

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