カンヌでジェシカが学んだこととは
テロリスト、ウサマ・ビン・ラディンの暗殺を描いた映画『ゼロ・ダーク・サーティ』でゴールデングローブ賞主演女優賞に輝いたジェシカ・チャステインが、今年審査員を務めたカンヌ国際映画祭にて、今の「映画界」に「ある問題」を投げかけた。
ジェシカが投げかけた問題、それは映画の中での「女性の描かれ方」。
「もっと本物の女性キャラクターを描くべきだと思う」と、その問題について語り始めたジェシカ。映画祭で多くの映画を観た結果、「女性の描かれ方」が不自然であることに気付いたという。
「10日間で20本もの映画を観るのは今回が初めて。映画を愛している私は、今回の経験を通してひとつの事を学んだわ。映画で観た女性キャラクターを通して、世界がどのように女性を見ているかという事が分かったの。正直、とても嫌な気持ちになる結果だった。例外もあったけれど、ほとんどの作品での女性の描かれ方に驚かされたわ」。
さらにジェシカは、今後の映画界への期待をこう語った。
「女性の語り手をもっと増やすことで、日常生活で見るような女性の描写が増えることを願うわ。ただ周りの男性に反応する女性じゃなくて、積極的で、自分の主体感を持っていて、自分の考えがある女性がね」。
映画界には女性にまつわる問題が山積み
ジェシカが指摘した「女性の描かれ方」はこれまでにも問題視されており、最近では男女同権のレベルを測れる「ベクデル・テスト」が話題に。
これは、「男女平等」にまつわる以下の3つの基準を満たしているか測るもの。
(1) 名前のついた女性が2名以上登場する
(2) その女性同士が会話をするシーンがある
(3) その会話の内容が男性にまつわることではない
驚くべきことに2016年のアカデミー賞作品賞ノミネート作の8本のうち、合格したのは3本しかなかった。
ジェシカが「男性に反応するだけの女性」ではなく、自然な女性を描いて欲しいと望んだ裏側には、こういった今の映画界が抱える問題が影響している。