現在、深夜12時近くにSNS上で自撮り写真を公開する若いインド人女性が急増している。

「シンデレラなんかじゃない」

 インド人女性たちが真夜中過ぎに公開している写真を見てみると、その多くに「AintNoCinderella(エイント・ノー・シンデレラ)」というハッシュタグが。

 日本語に訳すと「シンデレラなんかじゃない」という意味のこのハッシュタグには、じつはあるパワフルなメッセージが込められている。

画像1: 「シンデレラなんかじゃない」
画像2: 「シンデレラなんかじゃない」
画像3: 「シンデレラなんかじゃない」

  

ある政治家の性差別的発言に反発

 女性たちが真夜中に写真を公開するようになったのには、インド北部の街で起きたストーカー事件の被害者に関して、ある男性政治家が性差別的な発言をしたことがキッカケ。

 28歳の女性に対してストーカー行為をはたらいたとして、ある政治家の息子とその友人男性が逮捕。しかし、2人は有力者である父の権力を使って、すぐに保釈された。

 この件に関してアメリカのメディアにコメントを求められた容疑者の父親が所属するインド人民党の副党首が、被害者の女性について「彼女は夜12時過ぎに出歩くべきじゃなかったね。なんでそんな夜遅くまで車でうろついていたんだい? 自分のことは自分で守らないとね。彼女の両親だって、ちゃんと娘を躾けておくべきだったんだよ。女性は深夜に外出するべきじゃない。自宅に帰るべきだ」と、ヴィクティム・ブレ―ミング(※)ともとれる発言をしたことにインドの女性たちが猛反発。

画像: ※「ヴィクティム・ブレ―ミング」とは、事件の被害者に対して非難や批判を浴びせる行為。

※「ヴィクティム・ブレ―ミング」とは、事件の被害者に対して非難や批判を浴びせる行為。

 SNS上で「女性にだって夜遊びをする権利はある」、「私たちに『ああしろ、こうしろ』という資格は誰にもない!」といったコメントとともに、真夜中過ぎに意気揚々と出歩く姿を撮影した自撮り写真を投稿する女性が続出している。

 「シンデレラなんかじゃない」というハッシュタグには、「童話『シンデレラ』の主人公は深夜12時になると魔法が解けてしまうために舞踏会を去らなければならなかったけれど、自分たちはおとぎ話に出てくるお姫様などではなく、現代を生きるごく普通の自由な女性なのだ」という意味も込められている。

画像: ある政治家の性差別的発言に反発

 インドでは、以前から、レイプやストーキングなどの性犯罪の被害者に対して罵声や非難を浴びせる二次被害が大きな問題に。

 ヴィクティム・ブレ―ミングは、近年、欧米でも問題視されており、このインド女性たちのムーブメントには、国外からも賛同の声が集まっている。

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