あるレイプ被害者が当事者にしかわからない恐怖とその後の心境の変化について打ち明けた。

 過去にレイプ被害にあったダニエル・キャンポアモールという女性が、英メディア「Bustle」に手記を掲載。自身のツラい経験について赤裸々に語った。

抵抗「しなかった」のではなく「できなかった」

 「毎年あの日がやってくると、いてもたってもいられなくなる」と手記のなかで明かしたダニエルが、時々、自分自身に問いかける「質問」があるという。

 警察や裁判でも必ず聞かれるその質問とは、「なぜ抵抗しなかったのか?」というもの。それについてダニエルはこう語っている。

 「毎年、自分自身に『なぜもっと抵抗しなかったのか』と問いただします。けれどもう答えは決まっているのです。私にできることは何もなかった。(被害にあった後も)毎年、私をレイプした奴に押し倒された時の重さを感じます。やめて欲しいとお願いし、助けを求める自分の声が聞こえます。胸や腕、太ももにできたアザの痛みを感じます」

 抵抗を「しなかった」のでは「できなかった」。彼女のこの答えがレイプ事件のすべてを物語っている。

画像: 抵抗「しなかった」のではなく「できなかった」

 抵抗することで最悪の場合命の危険にさらされる可能性もある状況では、恐怖から何もすることができないのが当たり前。にもかかわらず、レイプ被害者たちは必ずと言っていいほど、警察や検察、世間から上記の質問をされる。

 被害にあった者が「なぜ?」と責め立てられる。そんな矛盾について、ダニエルはこう話した。

 「加害者に『なぜレイプしたのか?』と聞くかわりに、被害者ばかりが『なぜ抵抗しなかったのか?』と聞かれるのです。被害にあったのは私たちなのに責められます。(非難されることで)罪を犯したのは私たちではないのに責任を感じ、さらに加害者の分の罪まで償わされるのです」

 残念ながら、これが勇気をもって被害を告発したレイプ被害者のほとんどが直面する現実。ダニエル自身もほかの被害者と同じように、警察の事情聴取や裁判で厳しく追求されたことが多々あるという。

 そんなダニエルは上記の「なぜ抵抗しなかったのか?」という質問に新たな答えを見つけた。

 「あなたにはわからない」

 それが最終的にダニエルが出した質問への答えだった。自分が経験したことがない出来事は経験しない限り絶対にわからない。いや、わかりえないのだ。

 「私がなぜ抵抗しなかったのかは、あなたが同じ経験をするまでわからない」

 ダニエルは手記の最後をこう締めくくった。

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