元医師の卑劣な犯行を糾弾
先日フロントロウでお伝えした、アメリカ体操連盟の元医師ラリー・ナサール(54)による女子体操選手たちへの性的暴行をめぐる裁判。「医師」という自身の立場を利用した卑劣な犯行が次々と明らかになるなか、今回新たに証言台に立った被害者がいまだに彼の施術を受けたことに対する治療費を払い続けていることを明かし、同医師が在籍していた大学病院の対応に批判が集まっている。
最後の被害者と言われている15歳のエマ・アン・ミラーは、複数回にわたってナサール元医師による「治療」を受けた。被害の詳細については語らなかったが、診療という名目のもと備品倉庫のような小部屋に連れ込まれたことを告白。
「彼に出会わなければよかった」裁判の証言台でこう語ったエマは、さらに元医師からの診療を受けたことに対する治療費をナサール元医師が所属していたミシガン州立大学(以下MSU)からいまだに請求されていることを告白。治療の最中に性的暴行をされたあげく、いまだにその治療費を支払わされている屈辱に怒りを露わにした。
「私はあなたが性的暴行を働く最後の子供です。(中略)ミシガン州立大学の関係者の方、聞いていますか?私はまだ15歳ですが、あなたたちのことを恐れていないし、今後も恐れるつもりもありません」
時折声を震わせながら、約23分にわたって自身が受けた被害がナサール元医師への厳罰を求める証言をおこなったエマ。その後、証言台での彼女の訴えを聞いたMSUは被害者への治療費の支払いを請求しない考えを示し、適切な対応を取ることを約束した。
被害者の数は100人以上とも言われる今回の性的暴行事件。被害者の多くは未成年で、なかには現役の体操選手やオリンピックのメダリストもおり、スポーツ史上に残る凶悪事件として世間を騒がせている。