銃暴力に抗議のボイコット
2月に起きた米南部フロリダ州パークランドで起きた高校銃乱射事件からちょうど1カ月となった現地時間の3月14日、全米各地の学校で、銃による暴力を抗議する目的で生徒たちが17分間に渡って授業をボイコットした。
この「17分間」という時間は、同事件で銃撃により殺害された17人の生徒たちへの哀悼の意を込めたもの。各地域の時刻での午前10時、生徒たちは教室や学校の建物から退出し、犠牲者たちに鎮魂の祈りを捧げるとともに銃規制の見直しを訴えた。
ニューヨークをはじめ、多くの地域の学生たちは、この日「オレンジ」色の衣服や小物を取り入れた装いで登校。さらに、抗議メッセージを書いたプラカードやなどにも「オレンジ」を使用した。
「オレンジ」がシンボルとなった経緯
オレンジが銃規制を象徴する色として認識されるようになったのは、2013年にイリノイ州シカゴで起きた銃撃事件の犠牲者となったある15歳の少女の死がキッカケとなっている。
オバマ元米大統領の2期目の就任パレードにマーチングバンドの一員として参加していたハディヤ・ペンデルトンは、式のわずか1週間後、自宅近くの公演でギャングメンバーにより銃殺された。成績優秀で反暴力キャンペーンにも積極的に参加する生徒だったハディヤの葬儀には、ミシェル・オバマ元大統領夫人も駆けつけた。
将来有望な15歳のハディヤの未来を奪った銃による暴力への抗議を訴え、彼女の両親や友人たちが身に着け始めたのが「オレンジ」色の衣服だった。
On this National Gun Violence Awareness Day, let your voice be heard and show your commitment to reducing gun violence. pic.twitter.com/eXkV4WmkqA
— Barack Obama (@BarackObama) 2017年6月2日
2017年6月の銃暴力啓発デーにはオバマ元大統領も「We Wear Orange」のオレンジ色のマグカップを手にした写真を投稿し、銃暴力への抗議を呼びかけていた。
「オレンジ」を着る理由
銃規制を訴える活動団体「We Wear Orange(ウィー・ウェア・オレンジ)」によると、オレンジは、森で狩猟を行うハンターたちが同業者たちに誤って狙撃されるのを防ぐために着用する色だという。
鮮やかで目立つオレンジを着ることにより、他者から不本意に傷つけられるのを避けるという意味がある。さらに明るい色であるオレンジには、銃暴力の無い「未来への希望」を表すポジティブなメッセージも込められている。
3月24日には、銃規制を訴える大規模行進「March for Our Lives(マーチ・フォー・アワー・ライブス)」がワシントンD.Cで開催予定となっており、この際にも、たくさんの人々がオレンジを身に着けて抗議に参加することが予想される。