フランスの広告代理店(BETC)が実施したこのキャンペーン。若者をターゲットにSNSを使って日常に隠れる依存症の恐ろしさに警告を鳴らした。

 

突如現れたインスタグラマー、ルイ―ズ・デラージュ

 25歳のフランス人女性、ルイーズ・デラージュがインスタグラム(@louise.delage)に初投稿をしたのは今年の8月。

おしゃれな写真の投稿が多く、まさに現代のインスタグラマー。

 ヨットでお酒をたしなみ、シャンパン片手にバブルバスに入るルイーズのアカウントは、本人のパリジェンヌらしいおしゃれな容姿も手伝い、フォロワーは100万人を突破している。

ヨットで休暇を過ごした時の1枚。

シャンパンを片手にリラックスしている様子。

g 友達に囲まれ、充実した生活が垣間見られた。

買い物に行った店舗の名前をおすすめしていたことも。

 

1ヵ月後、ルイ―ズが衝撃の動画を公開

 今年9月、ルイ―ズが最後に投稿した一本の動画に世界中が驚愕した。衝撃の動画の全訳はこちら。

 

Like my addiction

Louise Delageさん(@louise.delage)が投稿した動画 -

8月1日、@louise.delageというアカウントがつくられました。

2ヵ月足らずで、彼女の写真やビデオのいいね数は5万件以上にまで増えたのです。

でもフォロワーのみんなは、何に対していいねしているか分かっていますか?

大切な人の依存性はすぐそばに潜んでいます。

依存症防止キャンペーンのために作られたアカウント

 このアカウント、実は偽物!

 ルイ―ズ・デラージュという女性は実在しておらず、日常に潜んでいるアルコール依存症の危険性を訴えるためにフランスの広告代理店BETCが制作した、新しい形のキャンペーンだった。

ルイーズを演じた女性はフランスの学生で、アルコール依存症の防止団体アディクト・エイドに所属している。

 インスタグラムに写る「ルイーズ」は決して、アルコール依存症には見えない。けれど投稿された写真をよく見てみると、ほぼ全ての写真にお酒が写っている。

投稿には必ずどこかにお酒が登場していたが、容姿やおしゃれな生活に注目していたフォロワーの間でその違和感に気づく人はいなかった。

 

依存症のサインはすぐそばにある

 このキャンペーンを実施したフランスの広告代理店(BETC)のCEOはCNNで、「一見ごく普通の生活を送っているように見える人のほうが、他人から依存症の原因や問題を気付かれにくい」と語り、「このアカウントだって、最後の動画を投稿するまではだれ一人としてアルコール依存症ってことに気付かなかった」と説明。

 日常のひとコマに隠された小さなサインを見逃さないよう訴えた。

 

 アルコール依存症の防止団体アディクト・エイドによるとフランスでは、アルコールや薬物など依存症による死亡率は年間5人に1人にまで上昇しているそう。そして、依存症と診断された人の半数は若者で、犯罪に手を染めてしまう確率が高いという。

 

 現代フランスの抱える社会問題を、SNSという現代のトレンドを上手く活用して行ったこのキャンペーン。華やかなイメージを求めがちなSNS利用者にとっては鋭い忠告となった。

 

Text & Photo: フロントロウ編集部(FRONTROW)/ Yuna Nishikiori、スプラッシュ/アフロ、Instagram/@louise.delage