2025.10.31

MIKA、AI時代に“人間らしさ”を問う――最新曲『Modern Times』が描く「自由への祈り」

BY FRONTROW Press

MIKA、AI時代に“人間らしさ”を問う――最新曲『Modern Times』が描く「自由への祈り」

Photo Credit: Sacha Cohen

ポップの革命児、MIKAが新たな時代の鐘を鳴らした。最新シングル『Modern Times』は、AIが加速させる現代の混沌の中で、あえて“人間の鼓動”を描く壮大な楽曲だ。プロデュースを手がけたのは、MIKA自身とEmpire of the SunのNick Littlemore、そしてPNAUのPeter Mayes。洗練されたエレクトロニックな音像と、MIKA特有のドラマティックなメロディがせめぎ合う、挑発的な1曲に仕上がっている。

曲の始まりを告げるのは、5層に重ねられたピアノのイントロ。まるで“歯車の回転”のように精密に組み合わされた音の構造は、現代社会の無機質さを象徴している。しかしその中でMIKAの声が響く瞬間、楽曲は一気に人間的な温度を取り戻す。哲学と感情がせめぎ合うようなその構成は、彼のキャリアの中でも特異な存在だ。

「この曲は僕にとってトレッドミルのようなもの」と語るMIKA。絶え間なく動き続ける現代社会の比喩として、人生を“走る機械”に重ねた発想が、彼らしい詩的なセンスで昇華されている。「信仰と精神への大聖堂」として描かれるその歌詞は、ただのポップソングではない。むしろ“人間とは何か”という問いに真正面から挑んだ芸術作品に近い。

Rupert Höller監督が手がけたMVでは、ウィーンの荘厳な街並みを背景に、幻想的な世界が広がる。舞台の幕が開くように始まり、光と影が交錯するその映像は、MIKAの内面世界をそのまま可視化したかのようだ。次章となるニューアルバムへの期待も高まる中、『Modern Times』は彼のキャリアの新たな起点となるだろう。

MIKA – Modern Times (Official Video)