友情、喪失、そして再生。そのすべてを静かに抱え込みながら、U2は最新EP『イースター・リリー』を世に送り出した。配信開始日はGood Friday(聖金曜日)。灰の水曜日に発表された前作EP『デイズ・オブ・アッシュ』に続き、宗教的な時間軸と深く結びついたかたちでのリリースとなった。現在も制作が続く次期スタジオ・アルバムに先駆け、U2は完成を待たず、今この瞬間に生まれた音楽をファンへ手渡すことを選んだ。
本作に収められた6曲は、混沌とした時代への直接的な応答だった前作とは異なり、より内省的で個人的な領域へと踏み込んでいる。人が困難な時代において何を支えに生きるのか、その「心の拠り所」を探る楽曲群だ。ロックダウンの閉塞感を描いた「ソング・フォー・ハル」、友情を讃える「イン・ア・ライフ」、傷を抱えたまま前に進む「スカーズ」、未知の道へ向かう巡礼の歌「レザレクション・ソング」、再生と献身を祝福する「イースター・パレード」。そして戦争で子どもを失った親たちへ捧げられた子守歌「COEXIST」では、ブライアン・イーノによるサウンドスケープが深い余韻を残す。
とりわけ印象的なのが、ジ・エッジがリード・ヴォーカルを務める「ソング・フォー・ハル」だ。この曲は、コロナ禍で失われた日常への嘆きであり、亡き友ハル・ウィルナーへの私的な追悼でもある。彼がこの世を去ってから、まもなく6年。その時間の重みが、楽曲の静けさの中に滲んでいる。
ボノはメッセージの中で、世界が“不遇の時代”にあるとの認識を示しながら、信念や宗教、アルゴリズムによる意味の歪曲に対する違和感を率直に投げかけた。そして、かつて人々の生活に存在した祭礼や儀式、踊りを取り戻すことが、再生への鍵になるのではないかと語る。その着想の源として、パティ・スミスのアルバム『イースター』へのオマージュが、本作のタイトルにも刻まれている。
EPの公開にあわせ、ファンクラブ誌『Propaganda』のデジタル特別号も解禁された。40年前、DIY精神に満ちたファンジンとして始まったこの媒体は、今もなおU2とファンをつなぐ対話の場であり続けている。完成形を待つのではなく、制作途中の思考や感情を共有する。その姿勢こそが、U2が長年支持されてきた理由なのだろう。

◆商品情報
U2『イースター・リリー』EP
U2 / Easter Lily EP
2026年4月3日(金)配信
試聴・購入: https://umj.lnk.to/U2_el
<曲目>
Song for Hal ソング・フォー・ハル
In a Life イン・ア・ライフ
Scars スカーズ
Resurrection Song レザレクション・ソング
Easter Parade イースター・パレード
COEXIST (I Will Bless The Lord At All Times?) コイグジスト(アイ・ウィル・ブレス・ザ・ロード・アット・オール・タイムズ?)
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