全米で1月27日に公開が予定されている犬を主役にしたコメディドラマ映画『ア・ドッグズ・パーパス(原題)』のあるワンシーンの撮影風景の映像が流出し、物議を醸している。
主人公の犬が何度か生まれ変わりを経験しながら、人間との絆を通して自分の生きる意味を見出していくという感動ストーリーを描いた同作で、最も注目となるのがキュートな犬たちの演技。
予告編を見れば分かるように、ハートフルな作品に仕上がっている同作だが、今週、米TMZを通じて流失した撮影風景を収めた動画を見た人々からは、「かわいそうすぎる!」、「動物虐待だ!」などの非難の声が相次いでいる。
問題の動画とは?
その動画の内容とは、1匹の犬が川に飛び込むというワンシーンで、スタント犬としてキャスティングされたヘラクレスという名前のジャーマン・シェパードが、ひどく怯えているにも関わらず、撮影用のプールに作られた川に見立てた激流に無理やり引きずり落とされそうになるというなんとも残酷なもの。
この映像を撮影している男性も「もう少しだ!投げちゃえ!」などと、まるで嫌がる犬の様子を面白がるような発言を繰り返していることから、動物愛護団体をはじめ、世界中の愛犬家たちから大きな怒りを買っている。
動物愛護団体が抗議 出演俳優、監督も非難コメントを寄せる
制作会社側は、実際にはヘラクレスは激流に投げ込まれたりはしておらず、その後、何度もリハーサルを重ねて落ち着きを取り戻してから、シーンの撮影が続行されたと話しているものの、同作のハッピーで心温まる雰囲気とは真逆のまるで犬を物のように乱暴に扱う動画の内容に人々は驚きを隠せないでいる。
動物愛護団体のPETAは、公式ウェブサイトを通じて、人々に同作のボイコットを呼びかける声明を発表。
さらに主人公の犬ベイリーの声を担当した映画『美女と野獣』の俳優ジョシュ・ギャッドも、自身のフェイスブックで以下のようなコメントを寄せている。
この映画は動物たちへの美しいラヴレターのような作品だと信じて出演を決めたのに、あのような動画の存在を知ることになるとは悲しい気持ちでいっぱいです。
僕自身、1人の愛犬家としてプロダクションチームとスタジオ側には正当な説明を求めます。
※一部抜粋して翻訳
問題となったスタントシーンの撮影現場にはおらず、犬を怖がらせたり危険に晒すような行為があったとは把握していなかったと語る同作の監督ラッセ・ハルストラムも、ツイッターで「調査の結果、悪い行いがあったと認められた場合は通報し、罰せられるべきだ」とコメントを出している。
感動モノとして公開されるはずが、思わず目を覆いたくなるような動画が世に出てしまったことで騒動となっている『ア・ドッグズ・パーパス』。
動物が出演するすべての作品において、今回のような非情な撮影方法がまかり通っているとは推測しがたいが、同作の撮影風景の動画の流出をキッカケに、今後、より厳しい規定が設けられ、動物たちの扱われ方が見直されることを願いたい。