ハリウッド黄金期と呼ばれる時代に、映画スターは「雲の上の存在」だった。

 映画1本のギャラは数十億円に跳ね上がり、主演スターのわがままで撮影が遅れて数億円の損害が出ることもしばしば。

 映画スターは人間を超越した存在である「スーパーヒューマン」と呼ばれることさえあり、大衆にとっては間違いなく別世界の人間だった。

映画『予期せぬ出来事』 エリザベス・テイラーとリチャード・バートン

 1940年代から活躍をはじめた女優のエリザベス・テイラーと俳優のリチャード・バートン。

 しかし時代は変わり、SNSやパパラッチ文化の進化で、セレブには「親しみやすさ・共感できること」が求められるように。若手セレブたちの間でも、ファンと距離の近い交流が好まれている。

 さらに大スターが権力を持ちすぎたことに嫌気がさしていた映画スタジオは面倒な役者をシャットアウトし、スターが異常なまでに別格に扱われていたハリウッド黄金期は終わりを告げた。 

 

現代で最後の黄金スター

 そんななか唯一「雲の上の存在」という立ち位置をキープし続けられていたのが、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットだった。

 大衆的なゴシップ誌で毎週のように名前が報じられながらも、「手の届かない人」というイメージが崩れることはなく、家族でファストフード店を訪れても「豪華」という言葉で報じられた。

 このイメージについて、友人でもある俳優のジョージ・クルーニーが2013年にEsquire誌でこう語っている。

映画『オーシャンズ11』 ブラッド・ピット ジョージ・クルーニー

「ブラッドはもう長いこと世界一ビッグな映画スターであり続けている。彼は僕よりも(レオナルド・)ディカプリオよりもビッグなスターだ。彼のやり方には頭が下がるよ。簡単なことではないはずさ。(中略)世間には手が届かない存在でいつづけている。手が届かない存在だからこそ、未だにビッグな映画スターでいられるのさ」

 

離婚騒動で危機

 しかし今回の離婚騒動で、そのステータスもついに終わりに。 

 2人が世間の夫婦と同じように問題を抱えていたことが分かってしまったからだ。 

ブラッド・ピット アンジェリーナ・ジョリー

 各国から養子を受け入れ、旅人のように世界中を渡り暮らし、チャリティ活動を通して世界貢献をおこなっていた「雲の上の存在」が、じつは夫婦トラブルを抱えていた。ブランジェリーナもやはり人間だったのだ。 

 ハリウッド最後の黄金期のビッグスターが、ついに雲の上から降りてくる日がきてしまった。

 

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