Photos: ゲッティイメージズ、ニュースコム、スプラッシュ/アフロ
LGBTQ+の人にとって、家族や身近な人へのカミングアウトは大きなハードルのひとつ。では、LGBTQ+であることを公表しているセレブたちはどのように家族にカミングアウトして、家族はどんな反応をしたのか? 「家族へのカミングアウト」を焦点に、海外の芸能人たちの実体験をご紹介。(フロントロウ編集部)

マット・ボマー

画像: マット・ボマー

カミングアウト後は半年も音沙汰なしだった

 今では夫とのあいだに3人の子供がいる、ドラマ『ホワイトカラー』や映画『マジック・マイク』で知られるマット・ボマー。口頭だと「(言いたいことの)方向感覚を失ってしまう」と考えたマットは、両親に手紙でゲイであることをカミングアウト。しかし、「少なくとも半年間は音沙汰なしだった」と、米Outで明かしたマット。長い沈黙のあとに帰省したマットは、両親と大喧嘩に。そして、「すべてをさらけ出した後、お互いにどうやって愛し合うかという作業に再び取り組み始めたんだ」と続けた。

 とはいえ、実際に関係が良好になるには何年もかかったそうで、「苦労したよ。誰にとっても、自分のパラダイムや信念、理解を完全に覆すのは大変なことだからね」とマット。ただ、今では母親がマットの夫や子供たちを地元の婦人会に呼ぶほど仲が良いそうで、「私は自分の人生を、両親に話す前と、話した後で分けて考えている。そして、その前と後では、私が下した決断や生き方は大きく異なる。昼と夜の違いさ」とした。

デミ・ロヴァート

画像: デミ・ロヴァート

親に言った後は震えながら泣いてしまった

 元ディズニー・チャンネル・スターであるシンガーのデミ・ロヴァートは、自身が女性も性的対象になることを25歳になった2017年に両親にカミングアウト。

 「すごくエモーショナルな経験だったけど、本当に美しいものでもあった。すべてが終わった後、私は震えながら泣いてしまった。感情がたかぶりすぎて。でも、私の両親は信じられないほど素晴らしい親なの。すごくサポートしてくれた」と、ラジオ番組『Radio Andy』で2020年に明かしたデミ。父親より母親の反応の方が心配だったそうだが、「私はあなたに幸せになってほしいだけ」と言ってくれたそうで、デミはそれが「とても美しくて素晴らしかった」と振り返った。

 そんなデミは2021年にパンセクシャル(※相手の性別・ジェンダーにかかわらず性的・恋愛対象になる人のこと)であり、ノンバイナリー(※ジェンダーアイデンティティが男性・女性の2択に限定・分類されない人のこと)であることを公表。現在はthey/themというジェンダー代名詞を使うデミは、家族が正しいジェンダー代名詞でデミを呼ぶために勉強や努力を重ねてくれていることに感謝していると、YouTube Pride 2021で語った。

ジム・パーソンズ

画像: ジム・パーソンズ

母との“会話”は「楽しいものではなかった」

 俳優のジム・パーソンズが母親にカミングアウトしたのは、大ヒットドラマ『ビッグ・バン・セオリー』でブレイクする前。アメリカの中でもLGBTQ+への差別がとくに強いと言われる南部テキサス州出身のジムは、母親とその会話をするのは「避けていた」とポッドキャスト番組『HFPA In Conversation』で明かした。「母は私がそれを口にするのを聞いただけで、心配や不安がよぎったことでしょう。南部に暮らす母には、同性愛者であることを認めるとつらく恐ろしい人生を送ることになるという、否定的な認識が強くありました。そんな母にとって、自分の子供が同性愛者であることを認めるのは、本当に辛いことだったと思います」と振り返ったジム。

 ただジムには当時恋人がいたため、自分の幸せを家族と共有したいと思ってカミングアウトを決意。ジムの予想どおり、カミングアウトは「正直言って楽しいものではなかった」そうだが、今ではジムはアートディレクターの夫のトッド・スピーワックと幸せな結婚生活を送っており、家族も喜んでいるという。

ダン・レヴィ

画像: ダン・レヴィ

一生ゲイであることは言わないと思っていた

 2020年のプライムタイム・エミー賞でコメディ部門の賞を総なめにしたドラマ『シッツ・クリーク』でのクィアロマンスで視聴者をヤキモキさせたダン・レヴィだが、プライベートでは、一生自分のセクシャリティは秘密にして生きるのだろうと思っていたという。その理由として、「自分のような人間が大衆文化の中で祝福されているという安心感がなかったので」と、LBGTQ+の人々の適切なレプリゼンテーションの低さがあることを2019年のGLAADガラで語った。

 そんなダンは、18歳の頃に両親にカミングアウト。実際には、母親にゲイであるか聞かれて「イエス」と答えるというカミングアウトだったという。父親であり俳優のユージン・レヴィは、「我々はずっとわかっていたよ。(ダンから)言ってくるのを待っていたんだ。でもママがもう待てなくなってしまってね(笑)」と、一緒に出演した情報番組『Watch What Happens Next』で明かした。

マイリー・サイラス

画像: マイリー・サイラス

母親は理解に苦しんだ

 シンガーのマイリー・サイラスが異性だけでなく同性も好きだと認識したのは、10代に熱狂的な人気を誇ったディズニー・チャンネルのドラマ『ハンナ・モンタナ』に主演していた14歳の頃。

 すぐに母にカミングアウトしたというが、「母には理解するのがとても難しいことだったわ。私が人に変な目で見られるのも、私が地獄に行くのもイヤだったからから。でも母はね、どんな神様よりも私を信じてくれているの。私はただ、私を受け入れてって頼んだわ。そして母はそうしてくれた」と、マイリーはPAPER誌で告白。そんなマイリーは、2016年にパンセクシャル(※相手の性別やジェンダーに関係なく性的・恋愛感情を抱ける人のこと)であることを公表した。


チャーリー・カーバー

画像: ドラマ『デスパレートな妻たち』に双子の兄と出演していたチャーリー。

ドラマ『デスパレートな妻たち』に双子の兄と出演していたチャーリー。

まずは自分自身に言って、どう感じるか試してみた

 人気ドラマ『デスパレートな妻たち』で知られるチャーリー・カーバーは、家族にカミングアウトした時の体験をインスタグラムでこう明かした。

 「『僕はゲイだ』。まずは自分自身に言って、どう感じるか試してみた。真実味があって、自分を憎んだよ。僕は12歳だった。他人に同じことを言えるまで、それから数年かかったね。同じ言葉を、今回は家族に言えるように、口の中で何回も繰り返していた。(中略)僕と僕の家族にとって(カミングアウトは)とても貴重な瞬間だった。僕は自分自身や自分の人生を初めて手に入れようとしていて、大人らしいやり方で僕の本物さが現れ始めている気がしたよ」。ちなみにチャーリーは同じ投稿で、双子の兄であるマックス・カーバーは「ストレートだけど十分かっこいいやつだ」と冗談交じりに語った。


カーラ・デルヴィーニュ

画像: カーラ・デルヴィーニュ

両親は「一時的なもの」と切り捨てていた

 トップモデルから俳優へと転身したカーラ・デルヴィーニュは、自身が女性を恋愛対象として見ていることについて、「この考えを受け入れるのに長い時間がかかった。20歳で初めて女性と恋に落ちた時に、受け入れなければと悟ったの」と、2015年に米Vogue誌で告白。カーラの両親は当時、娘が同性と関係を持つことは「一時的なもの」だろうと反応をしていたという。しかしカーラはその後、The New York Times紙で「一時的なものなんかじゃない」と反論した。


エレン・デジェネレス

画像: エレン・デジェネレス

最初は親戚にも言えなかった

 アメリカで最も有名な司会者の1人である、エレン・デジェネレス。20歳の時に起きたカミングアウト秘話をエレンの代わりに明かすのは、エレンの母。2012年の講演会で、「私がどんな反応をするか分からず、あの子は泣きながら告白しました。私はそんな彼女をハグしてやった。(中略)当初は(親戚など)誰にも言いませんでした。その後、私の妹や母、さらに親戚みんなに明かしたけど、みんな全然平気でした」と明かした。


ミリアム・マーゴリーズ

画像: ミリアム・マーゴリーズ

聖書にかけて同性と関係を持たないと誓わされた

 映画『ハリー・ポッター』シリーズのポモーナ・スプラウト先生役として知られる、イギリス人俳優のミリアム・マーゴリーズ。ミリアムが両親にカミングアウトした1960年代は同性愛者に対する差別は今とは比べ物にならないほどひどく、ミリアムは、「(両親に)女性とは関係を持たないと聖書にかけて誓わされた」と、Audioboomに告白。しかし続けて、自身が同性愛者であることについて、「私にとっては何ら問題のないこと。私はとても幸せ。そしてこのことについて、みんなにも心の底からハッピーでいて欲しい」と話した。


アンバー・ハード

画像: アンバー・ハード

娘のカミングアウトに涙した両親の変化

 映画『アクアマン』などの出演作で知られるアンバー・ハードは、2010年にGLAAD(※)主催の記念イベントで「過去に女性とも男性とも付き合ったことがある」と告白し、バイセクシャル(両性愛者)であることを公表。最初に「女性が好き」だと両親に伝えた際、両親は「とにかく涙、涙の連続だった」そうだが、その約5年後には両親に良い意味で変化があったことを明かし、“人は変わることができる”と、2019年に出席した最先端テクノロジーの祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」のパネルディスカッションで訴えかけた。

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.