Photos: スプラッシュ/アフロ、ニュースコム
ショービズ界のなかでもLGBT+に厳しい世界だと言われてきたヒップホップ界が変化している。その進歩に大きく貢献している、LGBT+の権利を公に支持しているラッパーたちを特集します。

ジェイ・Z/Jay Z 

過去の楽曲ではLGBT+への差別用語を使っていたジェイ・Zだが、近年その態度を変化。R&Bシンガーのフランク・オーシャンが同性愛者だとカミングアウトした時には自身のライフスタイルサイトに「サンキュー、フランク・オーシャン」という記事を掲載。

画像: ジェイ・Z/Jay Z

2017年には楽曲「スマイル」で「ママには4人の子供がいる/でも彼女はレズビアンだ」とラップして、母親が同性愛者であることを初告白。楽曲の最後にはジェイの母であるグロリア・カーターの「怯えて暮らすこと、それがどんな人生か想像できる?(中略)人生はいつまでも続くと保証されているわけじゃないんだから、愛する人を愛しなさい」という肉声が入っている。

このリストに登場するラッパーのなかでも、ヒップホップ界で尊敬されている重鎮ジェイによる支持表明は大きな意味を持つ。


カニエ・ウェスト/Kanye West

自分らしく生きることの大切さを信じているカニエ・ウェストは、フランク・オーシャンがカミングアウトした時にジェイ・Zと同じく支持を表明。

画像: カニエ・ウェスト/Kanye West

カニエの妻でありリアリティスターのキム・カーダシアンの継父がトランスジェンダーであることを告白して男性のブルースから女性のケイトリンに生まれ変わった時にも、それを受け入れるようキムに説いたのは、他でもないカニエだったという。

カニエはキムに、「俺は世界一美しい女性と結婚することが出来るから、そうした。俺は世界一かわいい娘を持てるから、そうした。でもそれも、俺が俺らしくいられないなら意味がないんだ。自分に正直に生きられなきゃ、何も意味をなさないんだよ」と言ったことを、ケイトリンがダイアン・ソイヤーとのインタビューで明かしている。


ニッキー・ミナージュ/Nicki Minaj

LGBT+のファンが多いニッキー・ミナージュは、キャリア初期からずっとLGBT+コミュニティをサポートしてきたラッパー。

画像: ニッキー・ミナージュ/Nicki Minaj

2010年にアメリカでLGBT+のティーンのイジメによる自殺が相次いでいた時には、「私はあなたたちの味方よ。あなたたちを心から愛していて、あなたたちを愛せない人たちはどこかで診てもらった方がいいと思う」と、米MTV Newsを通してファンにメッセージを送った。

また理解できないという人たちには、「全員が全員のライフスタイルに賛成するべきだとは思ってないわ。賛成しない人は必ず出てくる。でもそこで意地悪をしたり批判したりするのはその人の自信のなさの表れだと思う」と語っている。


ケンドリック・ラマー

ここ数年ヒップホップ・シーンを沸かしているラッパーのケンドリック・ラマー。

画像: ケンドリック・ラマー

2012年にバラク・オバマ米大統領(当時)が公式に同性婚への支持を表明した時には、DJドラマとのインタビューでその話題になり、「みんなが自分の人生をどう生きてようと俺の知ったこっちゃない」「例えば君がキリストを信じないと言っても、俺はそれを理由に君を殴ることはできない。君には君の信条とモラルがあるんだから。そして君が同性愛者に生まれても俺にはどうしようもできない。俺には変えられないことなんだし、だから、君は君が幸せになることをすればいいんだよ」と答えた。


エイサップ・ロッキー/A$AP Rocky

「俺も昔はファッキン・ホモフォビック(※同性愛嫌悪者)だったよ。あれはバカだったな」と自ら反省の弁を述べた、エイサップ・ロッキー。

画像: エイサップ・ロッキー/A$AP Rocky

2011年にComplex誌でそう言って同性愛の話題に触れたエイサップは、「ホモフォビックでいるとたくさんの時間と友情を無駄にするぞ。レイシストと変わらないよ、性的な意味でのな」「俺は自分のセクシャリティを理解していて同性愛者とはほど遠いけど、人間はもっと平等でなくちゃいけない。例えば、なんでそんな事のために差別されるラッパーがいるんだよ?」と力説している。


ファット・ジョー/Fat Joe

アシャンティとのコラボ曲「ホワッツ・ラヴ」で知られるファット・ジョー。

画像: ファット・ジョー/Fat Joe

2011年にVlad TVで同性愛者のラッパーに話題が及んだ時には、同性愛者だと告白されたら「おいマジかよ」と答えてしまうと前置きをしながらも、「時代は2011年なのに、まだ同性愛者であることを隠さなきゃいけないなんて。リアルに生きればいいじゃないか。『同性愛者なんだ』『おいマジかよ』ってなるけど、お前が同性愛者ならお前は同性愛者で、それがお前の好きなことなんだから、それを嫌う人がいてもそんなやつファックなんだよ」とコメントした。


マックルモア/Macklemore

同性愛をテーマにした曲「セイム・ラヴ」でグラミー賞を受賞したマックルモア。

画像: マックルモア/Macklemore

叔父が同性愛者であるマックルモアは以前からLGBT+の権利運動をサポートしており、現妻とは、2015年にアメリカ全州で同性婚が認められた直後に結婚。これは、すべての人が平等に結婚できるようになるまで待っていたからではと言われている。


ザ・ゲーム/The Game

50セントとのビーフ(不仲)でも知られるザ・ゲーム。

画像: ザ・ゲーム/The Game

「同性愛者には一切抵抗がないよ。ビヨンセは「誰が世界を動かしている?ゲイ!」って歌うべきだったと思っているね。だって彼らは世界中にいる。正当にな。ここは自由の国だ。好きにゲイになれ。ザ・ゲームは同性愛者に対してなんの問題も持っていないってことだ」と、Vlad TVとのインタビューで答えている。


エミネム/Eminem

楽曲で同性愛者に対する差別用語をたびたび使いLGBT+の権利団体GLAADに何度も批判されてきたエミネム。

画像: エミネム/Eminem

だからこそ、同性愛者であるエルトン・ジョンと親交を深めてコラボした時には多くの人が驚いた。アメリカで同性婚が合法化するずっと前の2010年には「2人の人間が愛し合ってるなら、別にいいじゃないか」と同性婚への支持を表明。2013年には米Rolling Stone誌で「本当の俺は、相手がゲイだろうがストレートだろうがトランスジェンダーだろうが全く気にしない。みんなが自分を表現して生きられると思い始めている時代に生きていることを嬉しく思うよ」と本音を告白した。


 発言力を持つ大物ラッパーたちが支持を表明することは、LGBT+の権利向上だけでなく、LGBT+のラッパーがセクシャリティをオープンにしたうえで活躍できるようになるという可能性も秘めている。だからこそ、彼らの公な支持の影響力は計り知れない。

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