11月15日に待望のニューアルバム『ハートブレイク・オン・ア・フル・ムーン』をリリースした、シンガーのクリス・ブラウン。ひと足先にアルバムが発売されたアメリカでは、全米R&BチャートとR&B/HIPHOPチャートで見事1位を獲得し、早くもゴールド・ディスクに認定。さらに、国内iTunes R&B/SOULチャートでも1位に輝いた。
元恋人でシンガーのリアーナに対する暴力事件やメディアとの衝突など、これまでに様々なことを経験してきたクリスだが、1児の父となった今、人として大きく成長したという彼が想うこととは?
先日、米ラジオ局Hot97とPower105.1の番組に出演した際にクリスが語っていたことを、約5,000文字でまとめてみました!今まで聞けなかったクリスの本音の数々に衝撃を受けること間違いなし。
リアーナ暴行事件から8年、ドキュメンタリー映画を制作しようと思った理由
「みんなの予想を裏切るようなものを作ろうと思ったんだ。正直でリアルな、何も包み隠すことのない俺の人生を映したものをね。マシな人間になった今、自分の過去について恥じる理由はない。音楽活動を続けられていることや、ありのままで正直な俺の姿を見てもらえることに感謝してる。被害者面しようなんて思ってないし、誰かに責任をなすりつけるつもりもない。ちゃんと成長することを受け入れた俺の姿を見てもらいたいんだ」
成長した今、世間の評価に対する想い
「若い時は恐れがあるし、言い訳をしようとする。たとえば、怒って誰かに責任をなすりつけたりしてね。俺は被害者じゃないし、被害者ぶるつもりもない。みんな色々なことにすぐ熱狂的になる。だから誰かに何かを言われてもぐっとこらえて、(あれこれ言う人たちを)人じゃないと思うようにしてるんだ。そうすれば自分の立場がどうとか気にならなくなる。もしいい意味で自意識過剰になれたら、誰かから『クリス・ブラウンが好きだ。人としては好きじゃないけど彼の音楽は好きだ』って言われたとしても、(言っていることは辛辣だけど)『この人は正直なことを言っている=俺の音楽が好きだというのは本当なんだ』と素直に思える」
クリス流、周りとの付き合い方
「たとえそれが陰謀や偶然起こった出来事だとしても、つねにメディアから注目されていることを理解した今、時と場合によるけど自分にとって成果や利益がないものにはなるべく関わらないようにしてるんだ。以前は人が言ってることを全部聞いていた。(でも今は)自分の心の声を聞くために時間を取ることもあるし、静かでいたいからクラブにも行かない。俺が一体何者なのかをみんなに証明する必要はないと思ってる」
メディアとどう向き合うか
「自分で自分をコントロールするようにしてる。世間やネットが好き勝手言うのに対して、もし俺が反応して何か言ったりしたら、俺はそういったメディアや世間に何かしらの影響を受けたということになる。でももしちゃんと距離を置いて足を突っ込まないようにすれば、関わる必要もない」
「メディアの言うことを気にしていたのは、彼らに俺についての良い記事を書いてもらいたかったからかな。でもある時、俺に興味がない人に受け入れてもらおうと頑張っても意味がないことに気づいたんだ。だからそういう人たちのことを気にするのはやめたんだ。俺には俺のことを日々サポートしてくれる人や、俺の洋服のブランドを好きだと言ってくれる人、インスタグラムでフォローしてくれる人たちがいるからね」
力を入れているチャリティ活動について
「俺は決して人気者になりたいとか知名度をあげたくてチャリティをやっているわけじゃないんだ。何のために寄付をするのかっていう、チャリティ本来の目的をみんな忘れがちだけど、誰かを助けるためのものだ。俺は色々なチャリティに関わっているけど、別にスポンサーのためとか、誰かに認めてもらうためにやってるわけじゃない。みんなだって、何か利益がほしいから良い行いをするわけじゃないだろう?自然に心からそうしたいと思うからやるんだ。これまで色々なチャリティをやったけど、俺がいくら寄付したか知ってもらう必要なんてない。(中略)どこかで人々が死にかけているとか、性的暴行の被害にあって苦しんでいるとか、そういう話を聞いて助けたいと思うから行動を起こす。それが正しいことだと思っているから、人助けをしているんだ」
好きなタイプを激白!気になる恋愛事情
「今は付き合うよりも友達からって感じかな。本当だよ。最終的に恋に落ちるかもしれない女性に負担をかけたくないし、境界線を引きたくないんだ。お互いに尊重し合える関係でいたい。結果付き合うかどうかを自分たちが選んで決めるべきだ。何か利益を得るために付き合うのは違うと思う。まず友達であり、自然体でいられる相手じゃないと。それにこの人と毎日一緒にいたい、何かを一緒にしたいと思えるような相手であることが大事だね。『俺の彼女は俺のベストフレンドなんだ』みたいなね。付き合うにはまずそういう基礎が必要だと思う」
「(女性の外見と性格の比重をパーセンテージで表すと)60%と40%かな。60%は賢さで、40%は外見だけど、つまり相当レベルが高くないとダメだな(笑)ごめん。とりあえず、業界人でも一般人でも自分に自信を持ってる人がいい」
自宅にあるスタジオでの作詞&作曲活動について
「自分の家にレコーディング用のスタジオがあるから、どこにも行く必要がないんだ(笑)。スマホにすでに新しい曲が800曲ぐらいある。まだ誰にも聞かせてないけどね。自慢するわけじゃないけど、仕事をしてる時の俺はとにかくクリエイティヴなんだ。曲をヒットさせるために、あえて当たりそうな曲を書いたことはない。これがトレンドでホットだからって同じような曲を作るんじゃなくて。別にそれはそれでクールだと思うし、ほかのアーティストの曲も好きだよ。実際、スタジオにいる時は、新しいアーティストや昔のアーティスト、みんなの曲を聞くんだ。音楽が好きだから、そういう豊かな環境で曲作りができるなんて最高だ。(音楽活動を始めて)13、14年経った現在もこうして音楽活動を続けられていることに感謝してるよ」
アルバムのタイトルを『ハートブレイク・オン・ア・フル・ムーン』にした理由
「んー、このタイトルにした理由は、これまで自分が経験してきたポジティブなことや、俺たちの音楽のジャンルに欠けているもの、たとえばOGやギャングスタが聞く曲みたいなバイブスを感じてほしかったから。すべてのファンの心をつかみ、共感できる曲が収録されている。R&B系の歌が多いから女性も気に入ってくれると思う。もちろんポップソングもあるし、自分らしさもしっかり反映されてる」
今の自分を表現したアルバムのコンセプト
「前回のアルバムは父親になったばかりの自分や、様々なシチュエーションにおかれた自分についてのものだったけど、今回のアルバムはもっと芸術的なものなんだ。これまでの恋愛についてとか、自分の弱さについてなど色々な曲がある」
「ポップ、R&B、ヒップホップみたいな既存のジャンルにとらわれることなく、みんなの期待に応えるような内容にしたかった。今ラジオでかかっている音楽と似たようなものを作るんじゃなくてね。自分の人生で一体何が起きていたのかを伝えたかった。(自分がアーティストとして成長したのとともに)ファンも成長して赤ちゃんからもっと大人になった。それに合わせて、扱う題材も少し頭を使うようなものから楽しいもの。ただ28歳の今の自分をそのまま表現したんだ」
アルバムのなかで1番お気に入りの曲は…
「1番思い入れがある曲を選ぶのは難しいけど、しいて選ぶとすれば『イエロー・テープ』という最後に入っている曲かな。すぐに曲が頭に浮かぶ時があるんだけど、これがまさにそうだった。朝の8時までスタジオにいて、酔っていたんだけど、ある音を聞いて『ちょっと待って』って感じですぐにレコーディングブースに駆け込んだんだ。自分を表現できるチャンスを秘めていた。この曲は日常や、みんなの葛藤、自分が経験してきたことがつまってる。俺にとって『イエロー・テープ』は日常に鈍感になっていた自分への警告みたいな曲なんだ」
あえて45曲も収録したワケ
「13、14曲が普通だよね。そのなかの大体5曲ぐらいがクールって感じだろ?でも俺はそれがアーティストの本領だとは思っていない。俺たちはもっとできる。曲の題材や歌詞が賢いとかそんなんじゃない。大事なのは誰よりもクールなアルバムを作ることだ。だから俺は色々なスタイルの曲に挑戦した。レコード会社は資金を気にしてたけど、この45曲をファンに届けることにしたんだ。だって俺が今こうしていられるのはファンのおかげだからね」
ほかのアーティストとのコラボはこうやって始まる
「相手から声をかけてくる場合と、自分から『いいアイディアがあるんだ』と声をかける場合の割合は大体半々ぐらいかな。たとえば、(アルバム収録曲の)『ピルズ& オートモバイルズ』のレコーディングをスタジオでおこなっていた時に、『パーフェクト』の一部分を演奏していたんだけど、ちょうどその時ラッパーのデイヴ・イーストがスタジオに来たんだ。俺はまだスタジオ入りして15分とか20分くらいだったんだけど、デイヴに『それはなんだ?』と聞かれたから、「何でもない。ただ曲作りをしてただけ」と答えて彼に(曲を)渡したら、それを自分のシングルにしたんだ。嬉しかったよ。(コラボする時は)考えすぎたり、誰かに何かをお願いしたりするでもなく、一瞬で決まるものさ」
もしスーパーボウルのハーフタイムショーのオファーがきたら?
「イエスとノーだね。イエスの理由はカルチャーが関係している。俺が若い黒人男性、というか黒人社会を代表することになるわけだからね。でも政治的なことには関わりたくないんだ。だって(トランプ大統領が)最低な奴だってことはみんなすでに承知の上だろう?ヒップホップが好きって言ってる奴らよりタチが悪い。でも結局誰も奴を追い出せないでいる。だから政治的な面を考えると、(ハーフタイムショーへの出演は)ノーだな。結局誰も政府に逆らおうとはしないからな」
父親になって変わったことを自己分析
「父親になるって最高だよ。俺は人を楽しませるのが好きだからね。共同親権を持つチャンスを与えてもらったと同時に、自分自身を見つめ直し成長する機会を与えられたんだ。父親になってから、もっとオーディエンスを引き込めるようになったと思う。優しさを得ただけじゃなく、自分の弱さを見せることで女性とつながれるようになった。俺はまだ28歳の若造でこんな感じだけど、娘の存在が一定のレベルで自分自身と向き合い、彼女に影響を与えないためにも慎重になることを教えてくれた」
とにかく溺愛!愛娘ロイヤルティーちゃんについて
「娘の前では汚い言葉を使わないようにしてるんだ。娘に『悪い言葉を使ってた』って言われたくないからね。悪い言葉は知ってるみたいだけど、使ったりはしないよ。でも娘はわざとらしく演技することがあるんだ。『パパ、これはどういう意味?』って聞いてくるから、『ワオ、それは答えられないよ』って感じで返事をしてる」
「娘は自分こそがクリス・ブラウンだって言ってるよ(笑)。よくそのことでお互いにジョークを言い合っているんだ。当時、まだ2歳だったのに前作『ロイヤルティー』の時にステージに上がったことを覚えてるみたいで、母親にまたいつ俺と一緒にステージに立てるか聞いているらしい」
「もし自分が何か問題を抱えていても娘と一緒にいる時は気にならない。彼女の面倒をちゃんと見るという責任もあるし、気持ちを切り替えるようにしてる。でも自分の時間がある時には本来の自分に戻るようにしてるんだ。そうすれば(問題を)上手く内に秘めておくことができるし、放っておいてる間はその問題は存在しないも同然さ。気分が乗らないときに自分自身に火をつける必要もないし、不安になる必要もない。俺は自分自身、そしてこれまでおかした過ちや人生における失敗もすべて受けて入れている」
作品を通してみんなに伝えたいこと
「俺たちアーティストは作詞力や才能を理由にあきらめちゃダメなんだ。たとえば俺が作ったミュージックビデオが、次の世代にインスピレーションやクリエイティヴィティを与えることができたらいい。その人たちがどんな職業だろうが何をやっていようが関係ない。ただ、みんなに夢は叶うということを知ってほしい。でもそのためには信じなければいけないってこともね」
過去の問題行動や、メディアとの付き合い方、ニューアルバムについてなど、様々な事柄について赤裸々に語ったクリス。普段はあまり多くを語らないだけに、インタヴュー中に「身振り手振りが多いのは緊張しているから」と告白する場面もあり、随所にクリスの素朴な人柄が表れていた。
クリス・ブラウン
アルバム『ハートブレイク・オン・ア・フル・ムーン』
11月15日(水)発売
スペシャル・プライス2,500円+税
初回のみステッカー封入