「愛憎」か、それとも「嫉妬」か? 犯人死亡のため謎のまま幕を閉じた事件の真相に迫る最新ミステリードラマ『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチの暗殺』の日本初独占放送が6月23日(土)の先行”無料”放送を皮切りにBS10 スターチャンネルにてスタートする。
全米の視聴者たちをテレビの前に釘づけにした話題作の魅力を一挙紹介!
テレビ界最高峰のアワードを獲得した話題作の新シリーズ
シーズンごとに異なる事件を扱う実録犯罪ドラマシリーズ『アメリカン・クライム・ストーリー』。第1弾として放送された、殺人事件の容疑者となった元人気アメフト選手O・J・シンプソンの‟世紀の裁判”をリアルに再現した『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』は、第68回プライムタイム・エミー賞で作品賞(リミテッドシリーズ部門)を含む9部門で受賞を果たしたほか、第74回ゴールデングローブ賞でも作品賞(ミニシリーズ/テレビ映画)を含む2冠を獲得するなど、輝かしい功績を残した。
そんな大注目シリーズの第2弾として制作された『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』は、北米での第1話放送と同時にドラマの話題がツイッターのワールドトレンド1位を獲得。
海外の有名レビューサイトRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)での全9話放送終了後の評価は、批評家評86%、視聴者評94%と、エンタメ通と一般視聴者の両方が極めて高い満足度を示している。
さらに、ロサンゼルス・タイムズ紙は、同作を現地時間7月12日の発表が待たれるテレビ界最高峰のアワード「エミー賞」のリミテッドシリーズ部門のノミネートに最も近い作品の1つに選出。2018年の賞レースに食い込む注目作品となることが予想されている。
天才デザイナーと殺人鬼、2人の男の人生が交差するとき悲劇が起こる
物語はジャンニ・ヴェルサーチが殺害されるシーンで始まり、そこから過去にさかのぼる形で進んでいく。殺人鬼クナナンが最後のターゲットとなったジャンニを殺すまでに犯した数々の殺人事件の詳細や、知られざるクナナンとジャンニの関係、それぞれの生い立ちなどが描かれる。
伝説的デザイナー、ジャンニ・ヴェルサーチとは?
この物語を観るうえで、絶対に知っておきたいのがジャンニ・ヴェルサーチという今は亡き天才デザイナーがどのような人物だったのかということ。
イタリア発の老舗ブランド、ヴェルサーチ(VERSACE )と聞いて現代人の多くが思い浮かべるのは、現在同ブランドチーフデザイナーを務めるドナテラ・ヴェルサーチかもしれない。ヴェルサーチ・グループの副社長の座に君臨し、ビジネスウーマンとしての手腕を振るっている彼女は、数多くのセレブとも交流があり、ファッション界を牛耳る女帝の1人として知られている。
しかし、ヴェルサーチの代名詞であるゴージャスで華やかな装飾的デザインや色彩鮮やかなプリント使いなどで独特のスタイルを確立し、ブランドの名を最初に世に知らしめたのは、彼女の兄であるジャンニ・ヴェルサーチ。
ジャンニは、ドレスメーカーだった母から受け継いだ類稀なるセンスと技術を土台に着々と下積みを重ねて腕を磨き、1978年にブランド名に自分の家族の名を冠した「ヴェルサーチ」を設立。以来、見る人をあっと驚かせるクリエイティブで芸術的なデザインで人々を魅了し、ミラノ市内の小さなブティックからスタートしたファミリー企業を一躍世界規模のトップブランドへと押し上げた。
早くから「一般の女性像とはかけ離れた痩せすぎで病的なモデルを起用するのではなく、“生きた女性”に自分の服を着て欲しい」と語っていたジャンニは、シンディ・クロフォード、ナオミ・キャンベル、カーラ・ブルーニらが活躍した1990年代の世界的なスーパーモデルブームの立役者としても知られている。
舞台衣装デザイナーとしても活躍していたジャンニが作る洋服は、当時のトップセレブたちの心を掴んだ。ジャンニは、シンガーのマドンナやプリンス、エルトン・ジョンら名立たるアーティストたちのステージ衣装も手がけたほか、イギリスの故ダイアナ元妃も彼のデザインを寵愛していた。
デザイナーとしての才能だけでなく、その人柄でたくさんの人々に愛されながら、50歳という若さで連続殺人鬼により惨たらしく命を奪われたジャンニ。そんな彼の暗殺事件は“ファッション界最大のスキャンダル”として世界中のメディアで大きく報じられ、世間を騒がせた。
ジャンニの悲劇的な死から20年を経て制作された『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』では、事件の謎に迫るだけでなく、彼の知られざる裏の顔や苦悩、葛藤、そして、そんな彼の死を妹のドナテラや周囲の人々がどのようにして受け入れたのかも描かれる。
豪華な制作陣&キャストたちが描き出す複雑な人間模様
数々のアワードを受賞したシリーズ第1弾に続き、『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』でも、名製作陣&豪華キャストが集結。
<現代テレビ界随一の名プロデューサーが続投&意外な人物が監督デビュー>
ドラマ『glee/グリー』、『アメリカン・ホラー・ストーリー』などのヒット作を連発し、現代のハリウッドにおける“最高のテレビマン”の呼び名を欲しいままにする名プロデューサーのライアン・マーフィーが、前作に続いて製作総指揮および監督を担当。
さらに、物語終盤の第8話の制作陣には、ドラマ『glee/グリー』、『アメリカン・ホラー・ストーリー』にも出演したライアン・マーフィー作品には欠かせない俳優として知られるマット・ボマーがキャストではなくゲスト監督として名を連ね、監督デビューを果たすという変化球的試みも盛り込まれている。
<IQ147の美しき連続殺人鬼を怪演するダレン・クリス>
本作の主人公の1人であり、ジャンニのほかにも少なくとも4人の男性を殺害した罪でFBIの最重要指名手配犯となった実在の連続殺人鬼アンドリュー・クナナンを演じるのは、ドラマ『glee/グリー』で品行方正で爽やかなゲイの美男子ブレイン・アンダーソンを演じてお茶の間の人気者となったダレン・クリス。
本作では、『glee/グリー』で築いた“明るい優等生”のイメージから一変、ドス黒い感情を腹の中に抱え、まるで息を吐くように嘘をつく、つかみどころのないサイコパスを見事なまでに熱演している。
オーディション秘話
『ダレンが描き出すクナナン像は、同性愛者のリッチな男性たちを「男娼」として手玉に取りながら、裏では何食わぬ顔で人を殺す狡猾さと残忍さを持ち合わせた、どこか小悪魔的な魅力を漂わせるミステリアスな美男子。
『glee/グリー』での好演を買われ、同シリーズの製作開始数年前には製作・総指揮のライアンから直々にクナナン役に指名されていたダレン。しかし、彼の正式抜擢の背景には、あるユニークなエピソードも。
本作のエグゼクティブプロデューサーであるブラッド・シンプソンが、2015年にダレンが主演していたブロードウェイ・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の舞台を観覧。この際にブラッドが目の当たりにした、まるで役に憑依されたかのようなダレンのパフォーマンスが、制作陣たちを納得させる大きな後押しとなったという。
同作でトランスジェンダーのロックシンガーである主人公を演じていたダレンの大胆不敵なパフォーマンスについて、ブラッドはこんな風に振り返っている。「彼は毎晩ショーの中盤になると客席に降りてきて、突然観客の1人の膝に座り、情熱的なキスをお見舞いするんだ。その日、偶然相手として選ばれたのが私だった。私のメガネをむしり取ってキスをしてきたダレンの悪魔的なチャーミングさは、相手を十分に惹きつけてから突き放すというクナナンの特徴そのものだったね」。
ブラッドはこのとき、ライアンが言う通り、「クナナンを演じるのはダレンしかいない」と確信したことを米エンターテインメント・ウィークリーに語っている。当時、自分がパフォーマンス相手に選んだ観客がブラッドだったことには気付いていなかったというダレンは、このエピソードについて「枕営業したようなものかな」とジョークを飛ばしていた。
<本物と見紛うほどの役作りに注目のジャンニ役エドガー・ラミレス>
そしてもう1人の主人公であり、殺人鬼のクナナンが異常なほどに執着するジャンニ・ヴェルサーチを演じているのは、元ジャーナリストという異色の経歴を持つ、映画『ゴールド/金塊の行方』のエドガー・ラミレス。
ジャンニの恰幅の良い体型に近づくため、エドガ―は、それまで日常的に行っていたピラティスやクロスフィットなどのトレーニングをストップし、イタリア人男性の食生活を模してパスタやポレンタなどの炭水化物を多く摂って体重を増量。ジャンニのヘアスタイルに似せるため、額に詰め物をして生え際のラインが上がった特注のウィッグを被り、本人そっくりの風貌に変身を遂げた。
<ドナテラ本人もエールを送ったペネロペ・クルス>
兄ジャンニの死に直面し、悲しみに暮れながらも、難しい選択を迫られる妹のドナテラ・ヴェルサーチを演じるのは、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどでお馴染みの演技派女優ペネロペ・クルス。
ドナテラ本人とプライベートで交流があるペネロペは、この役のオファーを受けた当初、事件から20年以上が経った今でも兄ジャンニの無惨な死を悲しみ続けているドナテラのことを想い、役を引き受けることに不安を感じていたと英ヴォーグに告白。ドナテラを不快にさせてしまうことが無いようにと、彼女に直接電話をかけて相談し、了承を得たうえで、精一杯の配慮とともに、尊敬と愛情をもってドナテラ役を演じることに決めたと明かした。
アメリカ人女性ジャーナリストが執筆したノンフィクション小説を原作としている同作に対し、放送後、ヴェルサーチの遺族からは「このドラマはあくまでもフィクションである」と主張する声明が出されたものの、ライアン・マーフィー曰く、ペネロペが2018年のゴールデングローブ賞に同作の代表として来場した際にもドナテラからは彼女宛てに「Good Luck(幸運を祈るわ)」というメモが添えられた花束が届いており、ドナテラはペネロペが自身の役を演じることに好意的だったという。
そのほか、ジャンニの長年のパートナーだったアントニオ・ダミコにはラテン系シンガーのリッキー・マーティン、アンドリューの友人で、とある病に蝕まれる男性ロニー役には人気コメディ・ドラマ『New Girl ~ダサかわ女子と三銃士』のマックス・グリーンフィールドが挑戦するなど、脇を固める豪華キャストたちにも注目だ。
「同性愛が認められなかった時代」のLGBTの描き方
ジャンニ殺害以前に4人もの男性たちを毒牙にかけながらも、クナナンがなかなか逮捕に至らなかった背景には、1990年代に蔓延していたホモフォビア(同性愛嫌悪)が関係していたのではないかとの説も。
当時、警察は指名手配犯であるクナナンの顔写真が掲載されたポスターを街中に掲げることを躊躇しており、その理由は、犠牲者の多くが同性愛者の男性たちであったためだとの見方もある。
ライアンも、「クナナンに国を横断したり殺害対象を選んだりするほどの余裕があったのは、犠牲者のほとんどが同性愛者であり、あの頃はホモフォビアによる捜査の遅れがあったからだ。この作品では、なぜヴェルサーチが殺害されたのかというだけでなく、どうしてあんな事件が起こり得たのかに迫りたい」と語っており、本作では、同性愛者たちが当時直面していた障壁や人々から受けていた心無い扱いをあえて強調して表現。
先人たちの苦悩や努力を経て、今でこそ、ようやく“普通のこと”と受け入れられるように進歩してきたLGBTコミュニティへの理解や寛容を、今後、決して後退させるようなことがないようにとの想いが込められている。
煌びやかな建築物やファッションにも注目
ヴェルサーチ邸でのシーンの撮影には、実際に事件が起こったマイアミビーチに佇むジャンニ所有の豪邸が使用されている。
ジャンニがクナナンの銃弾に倒れる現場となった正面玄関や外観だけでなく、ヴェルサーチのド派手な世界観を存分に表現した荘厳で美しい内装や、贅の限りを尽くした生活ぶりがうかがえる自宅内の様子も惜しみなく映し出されている。
また、ドラマ内に登場する衣装の多くは、ロサンゼルス市内にあるファッション・インスティテュート・オブ・デザイン・アンド・マーチャンダイジング(FIDM)博物館に保管されているジャンニが手がけた過去のコレクションを忠実に再現したものや、ヴィンテージショップで入手した年代物のヴェルサーチのアイテムなど。
1990年代のトレンドをふんだんに盛り込んだレトロさとラグジュアリーさが混在するデザインの洋服やアクセサリー、小物などの数々は、同作を観たファッションマニアたちをも唸らせている。
ドラマ『アメリカン・クライム・ストーリー/ジャンニ・ヴェルサーチの暗殺』は、6月23日(土)よりBS10スターチャンネルで日本独占初放送がスタートする。
<BS10 スターチャンネルでの放送スケジュール>
『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』(全9話)
【STAR2 字幕版】6/25(⽉)より毎週⽉曜よる11:00ほか
【STAR3 ⼆ヵ国語版】6/28(⽊)より毎週⽊曜よる10:00ほか
※6/28(⽊)は第1話無料放送
公式サイトはコチラ
第1話を先⾏無料放送︕【STAR1 字幕版】6/23(⼟)深夜0:00
(フロントロウ編集部)