長く続く映画史では、宗教問題や政治問題、過激な暴力描写などさまざまな問題で物議を醸した問題作はたくさん。そのなかから、とにかく問題だらけだけれど、社会的に多大な影響を与えた映画を7つご紹介。

『時計じかけのオレンジ』

 鬼才スタンリー・キューブリックが手がけた『時計じかけのオレンジ』は、近未来のロンドンを舞台に、夜な夜な暴行やレイプを繰り返していたアレックスが、仲間に裏切られ刑務所に投獄される。そこでの洗脳の実験台にされる過程を描く。今でもカルト的人気を集める本作は、その過激な暴力描写が当時大問題に。 

画像: 『時計じかけのオレンジ』

 この映画のテーマはあくまで非暴力。しかし、アレックスが「雨に唄えば」を歌いながら女性をレイプするシーンはトラウマ級。撮影中に俳優が怪我をしたり、過酷すぎて女優が降板したり、制作過程でも問題が多発していた。

『パッション』

 監督メル・ギブソンが、10年以上かけて制作した『パッション』は、イエス・キリストが処刑されるまでの最後の12時間を描く。あまりに痛すぎて、目をそらしてしまう過激すぎる拷問シーンはかなり衝撃的。このシーンを見てある女性がショック死したのは有名な話。

画像: 『パッション』

 さらにイエス・キリストを死に追いやるのがユダヤ人だったため、反ユダヤ主義だと、当時多くのメディアが公開中止を呼びかけていた。世界中で大論争を巻き起こした今作だけれど、全米初登場1位を記録。

『華氏911』

 ドキュメンタリー作品を多く制作するマイケル・ムーアによる映画『華氏911』は、2001年の同時多発テロについて、コメディタッチに追っていく作品。当時の大統領であるブッシュ米大統領と政権を痛烈に批判したことで、政治的な問題で話題を集めた。

画像: 『華氏911』

 しかしカンヌ国際映画祭では最高賞であるパルム・ドール賞を受賞し、映画評論家たちから高い評価を得た。ブッシュ政権の批判だけでなく、アメリカ全体の問題についても深く掘り下げている。

『ザ・トライブ』

 出演者に全員耳が聞こえない本物の不良をキャスティングし、映画には一切、字幕・音声・効果音なし、出演者たちの手話だけで繰り広げられるウクライナ発の衝撃作。寄宿学校での生徒たちの、愛や嫉妬などをリアルに描いている。

画像: 『ザ・トライブ』

 女性なら誰でも目をそらしたくなるような場面や過激な暴力、そしてラストに待ち受けている衝撃は言葉を失うはず。とても静かにそして激しく、テーマである「伝える力」を表現していく。

『ディア・ハンター』

 ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ、クリストファー・ウォーケンなどの大物役者を集めた『ディア・ハンター』は、ベトナム戦争での男たち3人の心の傷や衝撃的な経験を追っていく作品。友情、愛、そして戦争のむごさを訴えかけた傑作として知られている。

画像: 『ディア・ハンター』

 出演者たちの迫真の演技も光る名作だけれど、ベトナム兵の描き方があまりにも人種差別的だと批判的な声もあがった。「ロシアン・ルーレット」の恐ろしいシーンは見る者に衝撃を与えた。

『フリークス』

 あまりにもショッキングすぎるために失神者や妊婦が流産と大問題になり、ハリウッドでは30年間上映が禁止された映画『フリークス』。背中が結合したシャム双生児の姉妹、小人症や小頭症を抱えた者、四肢を失った者など、障害者を集めて見世物にしてお金を稼ぐ見世物小屋を舞台にした作品。

画像: 『フリークス』

 出演者たちは実際に障害者たちを集めている。ブラックな笑いで描かれる今作は、登場人物の描き方や衝撃的なストーリーなど、とにかくすべてが当時センセーショナルだった。監督のトッド・ブラウニングは、この作品の後、映画界を追放された。

『最後の誘惑』

 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のマーティン・スコセッシ監督の『最後の誘惑』は、十字架にかけられ、死を目前にしたイエス・キリストがある幻覚を見るというストーリー。 

画像: 『最後の誘惑』

 キリストを神の子ではなく、人間の子として描いたことで、キリスト教団体が激怒。実際にキリスト教信者が多いアメリカ南部では上映禁止になった。(フロントロウ編集部)

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