アメリカに根深く残る黒人差別に焦点を当て、風刺的に描いたブラックコメディ『ゲット・アウト』は、全米だけでなく日本でも大ヒット。第90回アカデミー賞では脚本賞を獲得し、ほかにも多くの映画賞を総なめした。
そんな『ゲット・アウト』に続く、新境地を開く映画として今注目を浴びているのが『Sorry to Bother You(原題)』。ヒップホップ・ミュージシャンとしても活躍しているブーツ・ライリーが初めて脚本と監督を務めた作品で、その大胆で独創的なストーリーだけでなく豪華なキャストも魅力。
ヒップホップ界ではかなり有名なブーツ。
インディーズ映画の世界最大の映画祭と言われるサンダンス映画祭で大喝采を浴び、7月6からアメリカの一部劇場で公開されてから口コミでウワサが広がり、全米公開は7月13日だというのに、すでに大ヒットの予感。
気になるあらすじは?
「Sorry to Bother You(お忙しいなかすいません」という言葉は、営業セールスマンがよく使う言葉。そのタイトルの通り、今作のストーリーはある黒人男性が自分の中に眠っていたセールスマンとしての能力に気づき、トップセールスマンにまで上り詰めるというもの。しかし、自分が務めている会社が、じつはあるとんでもないものを売っていることを知ってしまい…。
まずは予告編を見て頂きたい。
予告編を見れば分かる通り、なにやらSF的な要素があったり、パラレルワールドの世界が描かれていたり、この映画がただの営業セールスマンの話だけではないことに気づくはず。ストーリーが進むにつれて展開がころころと変わっていき、ブーツが描く世界にのめり込んでしまう。そしてコメディだけでなく、政治的な社会風刺や黒人差別にも視点を当てている。
豪華なキャストも魅力の1つ
今回主役のカシアスを演じるのは、『ゲット・アウト』で業界人の心を奪ったラキース・スタンフィールド。そしてカシアスの恋人役のテッサ・トンプソンは、『マイティ・ソー バトルロイヤル』や『クリード』で知名度を上げ、今ハリウッドで注目されている女優の1人。ブーツはどうしてもテッサに出演してほしかったため、必死に交渉し見事口説き落としたという。
そしてカシアスが務める会社のトップで、コカインと乱交中毒のサイコパス上司を『君の名前で僕を呼んで』のアーミー・ハマーが演じている。ほかにもドラマ『ウォーキング・デッド』で知られるスティーブ・ユァンも出演。
ネクスト『ゲット・アウト』とも言われている今作は、公開がスタートして全米でどれだけの人気を見せてくれるのか。日本の公開は今のところ未定となっている。(フロントロウ編集部)