シンガーのテイラー・スウィフトのツアー公演中にたくさんの観客たちが「1ドル札」を頭上にかざすという謎の行動に。彼らが示したかったこととは? 

「あの日」から1年を振り返るロングスピーチ

 現地時間の8月14日、米フロリダ州タンパのレイモンド・ジェームス・スタジアムで「レピュテーション・スタジアム・ツアー」の公演を行ったテイラー・スウィフト(28)。

 いつものようにめいっぱいステージを駆けまわり、迫力あるパフォーマンスで観客たちを興奮の渦に巻き込んだテイラーだったが、この日の公演では、普段と違いテイラーが思わず涙しそうになる場面があった。

 さまざまな考えに思いを巡らせたテイラーが声を詰まらせたのは、彼女がある忌々しい出来事に決着がついた日から1年が経ったことを記念して行ったロングスピーチでのこと。

 ちょうど1年前のこの日、テイラーは、2013年に元ラジオパーソナリティのデヴィッド・ミューラーからお尻を触られたとして訴えを起こしていたセクハラ裁判で勝利を勝ち取った

画像: 証言台に立つテイラーの様子を描いた法廷画。

証言台に立つテイラーの様子を描いた法廷画。

 彼女が観客たちを前に本音を語ったスピーチはこんな内容だった。

「1年前の今日、私はタンパのスタジアムで公演を行っていたのではなく、コロラド州デンバーの法廷にいました。この日は、陪審員が私の主張を支持し、私を信じると言ってくれた日です」と話し始めたテイラーは、昨今世界中で相次いでいる女性たちのセクハラ告発について「(自分の主張を)信じてもらえなかった人や、未だに信じてもらえていない人のこと、そして、きっと信じてもらえないだろうと声を上げることを恐れている人のことを考えています」と言及。

 「信じてもらえなかった人たちに、同情の言葉を伝えたい。だって、私が自分の身に起きたことを告白したあのとき、もしも誰も私のことを信じてくれなかったら、私の人生は今頃どうなっていただろうって思うから」と続けた。

画像: 「あの日」から1年を振り返るロングスピーチ

 さらにテイラーは、「これからもずっと人生は続いていくけど、私が人生最悪の時間を過ごしている間中、ずっと私のそばで応援していてくれたファンの皆さんに心からお礼を言いたい。それから、ミート&グリート(※)やショーの後の交流イベントで、自分が抱える問題や悩みを打ち明けてくれる皆さんにも感謝してる。私を信用して頼ってくれてありがとうって」と、ファンたちから人生相談をされることを光栄に感じているとコメント。

※ファンとアーティストが直接会うことができる交流イベント。

 「プライベートがすべてが公になってしまう私の立場上、皆さんは私が人生におけるアップ&ダウンを経験するのを目の当たりにしてきたと思う。私が今言いたいのは、そんな人生のアップ&ダウンの中で、こうして皆さんと出会えたこと、皆さんが居てくれることを本当に幸せだと感じているということです」と改めてファンたちへの感謝を口にしたテイラーは、「これまでなかなか伝えられなくてごめんなさい。自分でもなかなか整理できなくて」と素直な胸の内を明かし、スピーチを終えた。


観客たちが「1ドル」札をかざす

 このテイラーの言葉にじっと耳を傾け、ときには歓声を上げて応援していた観客たちは、おもむろに1ドル紙幣を頭上にかざすという動作を見せた。

 この1ドルとは、テイラーがセクハラ訴訟で勝利した際に勝ち取った賠償金1ドル(約110円)にちなんだもの。

 もともと裁判を起こした理由は、お金のためではなく、声を上げることの大切さを訴えるためだったテイラーの勇気と勝利を称え、彼らは、そのシンボルである1ドル札を掲げるという行動に出たのだ。

画像: 観客たちが「1ドル」札をかざす

 今回のワールドツアーも大盛況を収めているテイラー。ファンたちが彼女のステージに魅了されるのは、圧巻のパフォーマンスだけでなく、彼女がファンたちと本心で対話し、距離を縮めようとする真摯な姿に心を動かされるからなのかもしれない。

 テイラーは11月20日(火)・21日(水)に3年ぶりの来日公演にして『レピュテーション・スタジアム・ツアー』のフィナーレとなる東京公演を予定している。(フロントロウ編集部)

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