故マイケル・ジャクソンの死後にリリースされたアルバムに“未発表曲”として収められたうちの数曲が「じつはマイケルではない別人の歌声を収録したもの」という疑惑をめぐる訴訟に新たな動き。世間の再注目を集めている。

「発売元が別人と認めた」と報道

 2009年に急逝したシンガーのマイケル・ジャクソン 。彼の死の翌年、2010年に発売されたアルバム『マイケル』に収録された数曲が、「じつは、マイケル本人が歌唱したものではないのではないか」という説が彼の家族やファンたちの間で何年にも渡ってささやかれてきたが、その疑惑をめぐる裁判に新たな動きが見られた。

画像: アルバム『マイケル』のCDジャケット。

アルバム『マイケル』のCDジャケット。

 音楽専門メディアの米Vibeなどの複数の報道機関が、米現地時間の8月22日に行われた公判の資料をもとに、『マイケル』の発売元であるソニー・ミュージック・エンターテインメント社が指摘された楽曲は「すべて”マイケルの偽物”によって歌唱されたものであるという事実を認めた」と報道。

 しかし、その報道を受け、ソニー側の弁護士が、同社が「歌声が別人のものだと認めたという事実は全くない」と否定する声明を発表。現在、一体何が真実なのかと人々を騒然とさせている。


家族やファンが「マイケルの歌声ではない」と主張

 2010年のアルバム『マイケル』の発売前、母キャサリン・ジャクソンや娘のパリス・ジャクソン、息子のプリンス・ジャクソンを含むマイケルの複数の遺族たちが、収録曲全12曲のうち「ブレイキング・ニュース」、「モンスター」、「キープ・ユア・ヘッド・アップ」の3曲に収められた歌声が「どう聴いてもマイケル本人のものではない」と主張。

 しかし、その後行われたマイケルの遺産を管理するマイケル・ジャクソン・エステートとソニーの合同調査の結果、この歌声がマイケル本人によるものだと結論づけられたため、アルバムはそのままリリースされた。

画像: 当初から「マイケルの歌声ではない」と主張していた長男プリンスと長女のパリス。

当初から「マイケルの歌声ではない」と主張していた長男プリンスと長女のパリス。

 だが、同作のリリース後、世間では「やはりこれはマイケルの歌声ではない」という指摘が続出。

 マイケルの熱心なファンであるヴェラ・セロヴァが、マイケルの長年の友人で同曲の制作に携わったとされるエディ・カシオとその兄弟の制作会社、そして、楽曲の共作者としてクレジットされているジェームズ・ヴィクター・ポルテを相手取って民事訴訟を起こし、詐欺と消費者権利保護法に違反していると訴えた。

 ヴェラはさらに、疑惑の3曲は当時マイケルのモノマネ歌手とし活動していたジェイソン・マラキというアーティストが歌唱したものだと主張。楽曲が偽物だというマイケルのサポートチームによる証言や法聴覚学者ジョージ・パップカンによる同楽曲の歌声がマイケル本人のものではないとする41ページにもおよぶ分析報告書を提出し、さまざまな矛盾点を提示していた。

 これに対し、ソニー側は複数のミュージシャンやエンジニア、音楽学者の証言に基づいて、疑惑の楽曲に収録されたボーカルは、すべてマイケルの生前に録音されたものだという「完全なる自信を持っている」と主張していた。

 米Vibeは、もしも原告側の勝訴となった場合、ソニー側が金銭による賠償責任を問われることになるのか、マイケルの遺族やファンたちに対して何らかの賠償金が支払われることになるのかは不明だと伝えている。(フロントロウ編集部)

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