アーティストの才能が集まって誕生
世界中のマクドナルドのCMなどで使われている「I'm Lovin’ It」というフレーズと特徴的なリズム。
このアイコニックなジングルの誕生秘話を、ユーチューバーでフィルムメーカーのHodges UがYoutubeに動画を公開して振り返った。
今ではマクドナルドの代名詞とも言えるほど世界中に知れ渡ったこのジングルは、ジャスティン・ティンバーレイクが2003年にリリースした楽曲「I’m Lovin’ It」がもとになっていると認知されているが、じつはその前から、裏側では壮大なドラマが起きていた。
「I’m Lovin’ It」キャンペーンの背景
このキャンペーンを打ち出した2003年は、マクドナルドの株価が暴落した時期。マクドナルドはネガティブなイメージを払拭するために、史上初となる世界的キャンペーンを打ち出すことを決定。それが「I’m Lovin’ It」キャンペーンだった。
10社以上もの広告代理店によるプレゼンの結果、マクドナルドはドイツの広告代理店による「ich liebe es(※I Love Itの意味)」というフレーズを採用。
最終的にキャッチフレーズを「I’m Lovin’ It」に変更し、さらに「バダバババ(BA DABA BA BA)」の5文字を使った効果音を提案してグローバルキャンペーンが始動した。
そこで大きな問題となったのが、5文字の「バダバババ(BA DA BA BA BA)」のリズムをどうするか。
マクドナルドの一大プロジェクトに値するキャッチーなリズムを作るために、ジングルの天才と称されるブッチ・スチュワートに、この5文字のリズムを依頼した。
過去にマクドナルドのCMソングを担当したことがあるブッチが息子と協力して作り上げた曲で、聞き覚えのある「バダッバッバッバ」というリズムが誕生。
こうして生まれた「I’m Lovin’ It」と「バダッバッバッバ」に、よりインパクトを与えるために起用されたのが、当時から絶大な人気を誇っていたジャスティンだったのだ。
マクドナルドが正式発表するまで水面下で進められたこのプロジェクトで、推定6億円以上を手にしたと言われるジャスティン。
正確には、はじめにファレル・ウィリアムスらにキャンペーンに関連させた楽曲づくりの依頼がかかり、彼らが作り上げた「I’m Lovin’ It」をオリジナルシングルとしてジャスティンがリリースすることになった。
ジャスティンの楽曲が大ヒットすると、その約1ヵ月後にマクドナルドは満を持して「I’m Lovin’ It」のグローバルキャンペーンを正式発表。
こうした背景からこのジングルは、ジャスティンとファレルらによって生み出されたと認識されていた。
「I’m Lovin’ It」への関与を主張
しかし 2016年、ここにきてなんと、ラッパーのプッシャ・Tが「I’m Lovin’ It」のジングルに関与したことを主張。ファレルらが作ったとされるこの曲を作詞したと訴えている。
プッシャ・Tが楽曲制作に関与したかについては、様々な憶測が広がるも、その真相は今もベールに包まれたまま。
ちなみに、ジャスティンの「I’m Lovin’ It」の一節が使われた2003年のマクドナルドのCMでは、プッシャがラップを担当していたと今回公開された動画は説明している。
世界中に広く知れ渡ったこのフレーズの裏には、大人の事情を含め、広告代理店や様々なアーティスト、クリエーターを巻き込んで複雑に絡み合っていた。
(フロントロウ編集部)