全米1位のデビュー作に続くソロ第2章
ゼイン・マリクは、2016年にソロデビューアルバム『マインド・オブ・マイン』で、即日83の国と地域のiTunesで1位を獲得し、「UK男性ソロアーティスト初のデビューアルバムでの全米・全英初登場1位」という大記録を樹立。
そんなゼインが、ソロ第2章となるセカンドアルバムとしてダブルアルバムの『イカロス・フォールズ (Icarus Falls)』の発売を電撃発表。デジタル・アルバムは12月14日、CDアルバムは12/21に、いずれも日本ではボーナストラックつきで発売される
今年4月には、公式インスタグラムの投稿を予告なしに全削除して、まさに自分を一新してニューアルバムに向けたフェーズが始まったことをファンに知らせたゼイン。その後、リリースから約3か月で全世界トータル楽曲再生が1億回を超えた「レット・ミー」など、次々と新曲をリリースしていったが、ついにアルバム『イカロス・フォールズ 』が到着した。
『イカロス・フォールズ 』収録曲のサウンドをチェック
約2年半ぶりのアルバム『イカロス・フォールズ 』でゼインが作り出したサウンドとは?シングルカットされた曲と日本盤ボーナストラックを含む、計8つの収録曲にフォーカス!
「レット・ミー/Let Me」
ゼインのソロデビュー曲「ピロウトーク」やファーストアルバム『マインド・オブ・マイン』にも関わったチーム、メイクユーノウラヴと再タッグ。前作からの延長線上とも言えるシルキーなR&B路線はゼインの音楽のルーツを強烈に感じさせるが、同曲は、より軽妙でアップリフティング。「一生ずっと大切にするから愛させて」と恋人に向かって歌いかけており、これ以上ないほどロマンチック。MVは、シーアとコラボした2017年のシングル「ダスク・ティル・ドーン feat. シーア」の続編という設定。相手役のヒロイン、ソフィア・ジャモーラのルックスが恋人であるモデルのジジ・ハディッドにソックリ…と話題になったほどなので、やはりこれはジジへの求愛ソング?
「エンターテイナー/Entertainer」
シンプルな演奏をバックに、ゼインの繊細なボーカルが最高にピュアでイノセント。恋人に去られた虚しさ、放心状態を見事に体現してみせる。ゼインと共に制作に携わったソングライターやプロデューサーは名うてのヒットメーカーというわけじゃないけれど、ゼインが曲を気に入って採用したとか。自分の耳や直感を信じるゼインらしいエピソードだと納得させられる。MVは、これまた前作「レット・ミー」の続編で、「ダスク・ティル・ドーン feat. シーア」から始まった3部作の最終章を締めくくる。引き続きヒロインのソフィア・ジャモーラがストリッパー役で登場するほか、マフィアの親分風のスティーヴン・バウアーが顔を覗かせるのは、彼の出演したギャング映画の名作『スカーフェイス』へのオマージュと言えそう。
「サワー・ディーゼル/Sour Diesel」
ソウルやR&B好きで知られるゼインが、珍しくロック・サウンドに挑戦。ファーストアルバム『マインド・オブ・マイン』のコラボレーターでもあるマレイことジェイムズ・ホーとゼインが曲作りを手がけ、プロデュースには、グリーン・デイやマイ・ケミカル・ロマンスを手がけたロブ・カヴァロも参加。ファンキーなベースギターとサイケデリックなギターが暴れるダンス・ロックを展開。「楽器の生演奏をもっと導入してみたい」と発言していたゼインの言葉どおりの曲。
「トゥー・マッチ/Too Much」
ジャスティン・ティンバーレイクからミッシー・エリオットまで、数々の大物アーティストのキャリアに貢献してきたプロデューサー、ティンバランドがゼインと初コラボ。結果はモチロン大正解。ティンバランドのトレードマークと言えるカリッと歯切れの良いヒップホップ・ビートや、ちりばめられた掛け声のコラージュなどをバックグラウンドに、ゼインがメランコリックでドリーミーな歌声を披露。難度の高いファルセット交じりのボーカルを自在に操る様は、まさにシンガーとしての本領発揮といったところか。ちょっぴりノスタルジックなムードも醸し出されて、胸がキュンと締めつけられる人も多いはず。中毒的な恋について歌った極上のR&Bソングは、ゼインがスマホに録音しておいた音声メモをティンバランドに送ったことで誕生したそう。
「フィンガーズ」
もうろうとした状態で、叶わぬ恋をぼんやりと、だがエモーショナルにゼインが歌い上げる。タイトルの”フィンガーズ”とは、「メッセージを送りたくても指が動いてくれない。あまりに思いが募りすぎて」という歌詞のフレーズから。すでに破局しているのか、そもそも禁断の関係なのか。危険な魅力を醸しながら官能的に大人のスロージャムが綴られる。当然ながら誰について歌われているのかが気になるところだが、破局・復縁を繰り返してきたモデルのジジ・ハディッド、と考えるのが自然なはず。ところが、なぜか熱狂的ファンの中には、ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズについての曲だとする見方が多く、未だにゼインの1D脱退の傷が残っていることが伺える。
「ノー・キャンドル・ノーライト feat. ニッキー・ミナージュ」
ゼインとニッキー・ミナージュの初共演がこの曲で実現。静かなタイプのゼインと、パワフルにパンチを効かせまくるニッキーのコラボは予想外だが、これが意外にもいい感じ。2人の歌声も上手く絡み合い、ハーモニーも抜群。ニッキーのラップがいっそう盛り上げる。ジャスティン・ビーバーの「ソーリー」を彷彿とさせるトロピカル・ハウス寄りのサウンドは躍動感に溢れ、ダンス・フロアでも大いに受けそう。ただし、歌詞の内容は”火が消えてしまった”2人の関係について。もはや心が通わない恋人たちの儚い思いが歌われている。ゼインと、ゼインの元カノであるペリー・エドワーズのグループであるリトル・ミックスが、立て続けにニッキーとコラボしたことでも話題になっている。
「ダスク・ティル・ドーン feat. シーア」
「シャンデリア」などのヒットで知られる女性シンガー、シーアがフィーチャリングで参加。彼女やアデルのヒット曲を手がけるグレッグ・カースティンがプロデュースを担当。曲作りにはゼインも参加。イントロこそしんみり控えめだが、次第に激しく盛り上がりを見せ、最後にはスタジアム級に轟きわたるエモーショナルな歌唱で圧倒する。普段のゼインよりもストレートな炸裂系ボーカルなのは、ダイナミックな歌唱法でお馴染みのシーアの影響もありそう。映画『アメイジング・スパイダーマン』などのマーク・ウェブ監督によるMVでは、ゼインのアウトローぶりも話題に。MVは24時間で1000万回も視聴され、ゼイン自身も「(デビュー曲)『ピロウトーク』を超えた」と嬉しげにツイートした。
「スティル・ゴット・タイム」
カリビアンなビートと音色に乗せて、ゼインが優しく歌いかける。「まだ時間はあるんだし、そんなに焦って恋を探さず、今を楽しもうよ」と女の子に提案。ドレイクやカルヴィン・ハリスとのコラボなどで知られるカナダ人ラッパーのパーティネクストドアも、「ゆっくりやろうよ」と賛同する。プロデューサーのマーダ・ビーツとフランク・デュークスの2人も、ドレイクなどを手がけるカナダ人。ゼインには珍しいパーティーソングで、ミュージックビデオでもパーティーが繰り広げられる。お酒にスケボーに、タトゥーを入れるシーンまでが登場。ハリウッド映画に出てきそうなハウスパーティーのどんちゃん騒ぎが舞台だが、どこかでシュールでポツンと孤独感を漂わせているのが、ゼインらしいと思わせる。
<作品情報>
ゼイン
『イカロス・フォールズ (Icarus Falls)』
配信: 12月14日
CD: 12月21日
購入・予約リンク:https://lnk.to/ZAYN_IcarusFalls
(フロントロウ編集部/協力:村上ひさし)