過去に「性奴隷」として数日間監禁された経験を持つ元モデルのフリーダ・ファレルが、日常的に起きているこうした人身売買の被害や、実体験をもとに映画化した話題作『アパートメント 407号室(現題:Apartment 407)』について語った。(フロントロウ編集部)

人身売買は決して他人事ではない

 フリーダ・ファレルが、今から約16年前に偽のモデルオーディションに参加したことがきっかけで監禁され、「性奴隷」として複数の男性からレイプされた“恐怖の3日間”について英Huffington Postのインタビューで振り返った。

 被害にあった当時、イギリスのロンドンでモデルとして活動していたフリーダは、道でフォトグラファーを名乗るスーツ姿の男性から仕事の誘いを受け、後日、その時にもらった名刺に書かれていた連絡先に電話をしてオーディションを受けることにした。

 仕事のためとはいえ、見ず知らずの男性からのオファーをふたつ返事で受けるなんて「不用心だ」と思う人もいるかもしれないが、そもそもスカウトによってモデルの世界に入ったフリーダにとって、それは「ごく普通のことであり、まったく抵抗はなかった」という。

 しかし、この時に限ってその誘いを受けたことが裏目に出る結果に…。

 オーディションの会場として指定された場所は、5階建てのビルの最上階にあるペントハウスで、会場には女性スタッフの姿もあった。それですっかり安心してしまったフリーダは、その日は写真撮影だけを行い、そのまま帰宅。翌日に電話で「オーディションに合格した」という知らせを受け、この先、想像もしないような悲劇が自分の身に降りかかるとも知らずに、再びオーディションを行なったのと同じあのビルに戻った。

 ミーティング当日、例のペントハウスでフリーダを待っていたのは、最初に道で彼女に声をかけてきたフォトグラファーのピーターと名乗る男性1人。そのことにフリーダは少し違和感を覚えたというが、時すでに遅し。ピーターはフリーダが入室したことを確認すると、ドアを厳重に施錠し、ジャケットのポケットから鋭利な刃物を出し、“本性”を現したという。

画像1: 人身売買は決して他人事ではない

 「まるで自分が映画の世界か何かにいるような感じがした。ショックで体温が一気に下がり、汗が出始め、何もかもがスローモーションに見えた」と語ったフリーダは、この時、携帯電話で助けを求めることを画策し、「トイレに行きたい」と申し出たが、トイレに行く前に携帯電話をふくむ所持品をすべて差し出すよう要求され、SOSを発信する手立てを絶たれた。

 トイレの小窓から脱走することも考えたが、さすがにビルの5階から飛び降りることはできず、逃走を断念。その後、トイレから戻ったフリーダに、ピーターはコップに入った飲み物を差し出した。フリーダは飲み物のなかに「間違いなく薬か何かが混入している」と思ったそうだが、ナイフで痛めつけられるぐらいなら、このまま薬で意識を失うほうがマシだと思い、コップのなかの液体を飲み干し、その直後に失神。

 目が覚めると、先ほどまでいた場所とは別のどこか地下室のような場所に移されていた。

 ほどなくして、金を払ってフリーダと性交をするためにやって来た男性客が、部屋に入ってきた。フリーダはピーターからドラッグ入りのカクテルを飲まされていたため、その間の記憶がほとんどないそうだが、地下室に閉じ込められていた約3日間のあいだに少なくとも8人以上、20人以下の男性からレイプされたという。

画像2: 人身売買は決して他人事ではない

 そんなフリーダに希望の光が差し込んできたのは、監禁生活も4日目に突入しようとしていた時だった。部屋をあとにしたピーターがドアを施錠し忘れたことに気付いたフリーダは、「罠かもしれない」という疑いを持ちながらも、部屋を飛び出し、残された力で全力疾走してなんとか友人宅に逃げ込むことに成功した。

 フリーダは、それから数日間友人宅でかくまってもらったのち、最終的にロンドンを去ることを決断。「奴らが自分のことを血眼で探しているかもしれない」という恐怖に怯えた時期もあったが、次第に“この事実を世間の人たちに知ってもらいたい”と思うようになり、今回の映画化にいたった。

 フリーダが脚本を執筆し、主演を務めた映画『アパートメント 407号室(現題:Apartment 407)』は、イギリスの一部の劇場で10月より公開され、海外の映画祭でも高い評価を受けている。

画像: "Apartment 407" Sex Trafficking Survivor tells her true story (Official Trailer) www.youtube.com

"Apartment 407" Sex Trafficking Survivor tells her true story (Official Trailer)

www.youtube.com

 最後に、フリーダは身近に潜む人身売買の危険についてこう警鐘を鳴らした。

 「現代社会においても奴隷は存在します。『性奴隷の被害者』と聞いても、大半の人たちは他人事としか思っていないでしょうが、すべての女性と少女がこういったシチュエーションに陥る危険に晒されているのです。誰でも売りに出されます。(人身売買をする人たちにとって)あなたはただの『体』でしかないのです。あなたがどんな容姿で、どこの国の出身かは関係ありません。私はどこのクラスにでもいるような、いたって普通の女の子でした。唯一あなたと違うとすれば、昨晩、家に帰るために道を歩いていたということだけです」

 ちなみに、目的は性的搾取だけではないが、イギリスでは2013年に13,000人だった人身売買の被害者の数が、2018年には136,000人にまで急増している。(フロントロウ編集部)

この記事を気に入ったら、「FRONTROW」のfacebookページをいいね!する

This article is a sponsored article by
''.