マーベル映画『ブラックパンサー』がSAGアワードでキャスト賞を獲得し、主演のチャドウィック・ボーズマンが捧げた受賞スピーチに感動が広がっている。(フロントロウ編集部)

『ブラックパンサー』が史上初の快挙

 SAGアワードで映画『ブラックパンサー』が、『ボヘミアン・ラプソディ』や『アリー/ スター誕生』、『クレイジー・リッチ!』、『ブラック・クランズマン』といった強敵を抑えて、主演女優・男優賞に並ぶ主要部門のキャスト賞(Outstanding Performance by a Cast in a Motion Picture)を獲得した。

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 『ブラックパンサー』のようなヒーロー映画といえば、これまで映画アワードの主要部門には選ばれない傾向にあり、ましては、キャストや制作陣の大半をアフリカ系で占める映画が主要部門にノミネートされることも稀なことだった。

 映画アワードは、例年“白人ばかり”がノミネートされると言われているが、2015年のアワードシーズン(とくにアカデミー賞)から業界に変化が見え始めた。

 この年に受賞者の人種の多様性を訴える「#OscarsSoWhite(※オスカーは白人ばかり)」というハッシュタグが誕生すると、SNSを中心に大きな影響を及ぼし、このムーブメントから、近年は少しずつではあるが映画アワードのセレクションの多様化が進んでいる。

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 そんななかで今年のSAGアワードのキャスト賞に選ばれたのが『ブラックパンサー』の出演者たち。

 ヒーロー映画として史上初という快挙を成し遂げた同作のメインキャストを代表して、同作で主人公のティ・チャラ(ブラックパンサー)を演じたチャドウィック・ボーズマンが、全米映画俳優組合やライアン・クーグル監督やマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギ、そして映画に関わったすべての人に感謝を述べるとともに、変わりつつある映画界に向けた力強い受賞スピーチを披露した。

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「私が、毎日仕事に行っていたことや、多くの人たちが見せてくれた情熱や知性、決心、規律を思い出す時、2つの質問が頭に浮かびます。1つ目は、『この映画がこんな反応を受けるとわかっていた?』というもの。詳しく言うと、映画は大ヒットするか、アワードシーズンでも話題になるか知っていたか?という質問です。そして2つ目は、『業界を変えられたか?』ということです。これは業界を変えたか?業界がどう動くか、どう私達を見るかを本当に変えたか?

それに対する私の答えは、若く、才能があり、黒人であれ。(※)

君が活躍する場はないと言われることがどんなことか、私達はみんな知っています。君が若く、才能があり、そして黒人であっても。私達はみんな知っています。君が映る画面はない、君が活躍する舞台はないと言われることがどんなことか。私達はみんな知っています。尻尾でいて、頭になれないことかどんなことか。私達はみんな知っています。下にいて、上に行けないことがどんなことか。そしてそれこそが、毎日私達が仕事で行く時に抱えていたこと。

アワードの時期に私達は出ることがあるのか、映画が数十億ドルを作り出すのかなんていうことは分からなかった。でも、私達は世界に届けたい特別なものを持っていることは知っていた。自分達が演じる役柄でちゃんと人間でいられて、自分達が見たかった世界を表した世界を作れると。

私達はずっと世界に何かを発信したかった。(映画のために)毎日仕事に来て、色々な人と問題を解決して。それを共にしてくれたこの監督(ライアン・クーグル)こそ、私はすべての俳優が出会ってほしいと願う存在です。そんな経験ができたら、真のアーティストになれるでしょう。

ですから、アワードシーズンに私達がいるのかという質問ですが、私が言えるのは、皆さんに愛されて光栄に思っているということだけです。そしてもう1つ、わかっていることがあります。『業界を変えたか?』ということですが、(映画のヒットがなければ)『ブラックパンサー』に「2」はありませんよね。だから、ありがとうございます。祝福しましょう」
 ※黒人賛歌と言われるニーナ・シモンの楽曲「To Be Young, Gifted and Black」のタイトルを引用

 SAGアワードでキャスト賞に輝いた『ブラックパンサー』は、アカデミー賞で最も注目される作品賞にもノミネート。ヒーロー映画として史上初めて、オスカーの作品賞にノミネートされるという快挙を成し遂げた。(フロントロウ編集部)

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