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性的虐待の疑惑が浮上している映画監督のウディ・アレンと、ウディの新作映画を配給していたアマゾンの間で起きている裁判が激化している。(フロントロウ編集部)

ウディ・アレンとAmazonの対立

 2019年2月、映画界の巨匠ウディ・アレンが、もともと4作の契約を結んでいたアマゾン・スタジオが契約を打ち切りにしたことを受けて、アマゾン(Amazon)を提訴した。

画像1: ウディ・アレンとAmazonの対立

 事の発端は、2017年に大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインセクハラ問題が公になったこと。

 セクハラを告発する#MeTooの話題が世界的に盛んに取り上げられるようになり、長年にわたり性的虐待の疑いがかけられているウディにも厳しい意見が寄せられ、アマゾン・スタジオがウディとの契約を解消した。

 アマゾンの決断には、2018年1月に「幼い頃に性的虐待を受けた」とウディを再告発した養女ディラン・ファローらの#MeToo発言が大きく影響している。

 これによって、2017年に撮影が行なわれていた、セレーナ・ゴメス、ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、ジュード・ロウら人気セレブが出演することで大きな話題を呼んだ映画『A Rainy Day in New York(ア・レイニー・デイ・イン・ニューヨーク)』は、結局公開されぬままお蔵入りに。

画像2: ウディ・アレンとAmazonの対立

 大きな損失を被ったウディは、アマゾンに対して約76億円(6,800万ドル)の支払いを求める裁判を起こした。

 「アマゾンは、アレン氏に寄せられた25年前の根拠のない告発を口実にしようとしているが、この告発は4つの作品の契約をする前からすでにアマゾン(と世の中)が十分に認知していることだ」と、アマゾンの打ち切りの決断は契約違反だと訴えている。

76億円を求める裁判に

 これに対して、今年4月、アマゾンがウディの言い分に反論。「アラン氏の発言の数々は、彼が事の大きさを理解していないことや、彼自身のキャリアに響くことをわかっていないことを示唆している」と主張した。

 これは、ウディがハーヴェイをめぐるセクハラ問題について、「関わった被害女性たちがかわいそうだし、ハーヴェイの人生がめちゃめちゃになってしまい残念だ」と加害者に同情するような発言したことや、「男性が女性にウィンクしただけで弁護士を呼んで自分を守らなきゃいけないような魔女狩りの状況にしたくない」と発言したことを引用している。

画像: 76億円を求める裁判に

 さらにアマゾンは、ウディが#MeTooのムーブメント関連で何度も話題にされることや、これまでにウディが失言を繰り返していることが、映画のプロモーションの妨害になるとし、「(ウディとの)4作品の契約がアマゾンの利益になるとは到底考えられない」と断言。

 事実、2017年末に公開した(2018年日本公開)アマゾン・スタジオ配給によるウディの映画『女と男の観覧車』は、ウディのセクハラ疑惑と批判を浴びる問題発言が原因で大きな物議を醸した。(フロントロウ編集部)

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