近年、世界中でますますLGBT+への関心が高まるなか、「性的指向を定めたくない」と発言するヤングセレブが続出している。その理由は何? 東京レインボープライド2019を前に、男女と関係を持ったことがあるシンガーのアン・マリーにフロントロウ編集部がインタビューした際に聞いてみた。(フロントロウ編集部)

「性的指向」を定めたくない

 ハリウッドで活躍するヤングセレブの間で、「性的指向を定めない」と宣言する人が続出している。

 こうした行動にはそれぞれの思いが込められているが、今回フロントロウは男性と女性と関係を持ったことがあり、「誰かに自分がバイセクシャルだと伝える必要性を感じない」と発言したシンガーのアン・マリーに、この発言の真意を直撃した。 

画像: 「性的指向」を定めたくない

「絶対に話し合うべきトピックだと思うんだけど、“この人はここに属する人です”って定められる筋合いはないと思うの。性的指向を決められちゃうと『こうならなきゃいけない、この人がこうだから惚れた』っていう気持ちになる。私は自分の気持ちのままに恋に落ちればいいと思っているし、そういう思いを『Perfect To Me』の“私は私が愛したい人を愛する/この愛はジェンダーフリー”という歌詞で伝えている」

 あえて自分の性的指向を定めないことを公言したアンは、シンガーとしてできることをこう語る。

「私はいろんな形の愛などを描くように心がけているの。会話が生まれるきっかけを作れればいいなと思っているから。反対の意見を持っていたとしても、常に議論になるべきことだと思う。自分の意見を口に出さなくても静かに会話に参加するだけでも大切なことだと思うな」

広がる「性的指向を定めない」という考え方

 アンが今回のインタビューで語ったように、性的指向をあえて定めないと表明するセレブは増えている。

 楽曲「モノポリー」をきっかけにバイセクシャルのウワサが広がったアリアナ・グランデは、「(性的指向を)定めたことはないし、今もその必要性を感じない。それでもいいと思うの」ツイート

画像1: 広がる「性的指向を定めない」という考え方

 また、ディズニー・チャンネルのドラマ『ガール・ミーツ・ワールド』のローワン・ブランチャードも、ツイッターに「今まで男の子しか好きになったことはないけど、個人的に自分をストレートとかゲイとか何でも決めつけたくない」投稿した。

画像2: 広がる「性的指向を定めない」という考え方

 さらに、ジョニー・デップの娘リリー・ローズ・デップも、「自分のセクシュアリティを必ずしも決めつける必要はない。だってそれって確定されることじゃないし、流動的なことだから」と英Independentに語ったことがある。

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 俳優のリアム・ヘムズワースと結婚したシンガーのマイリー・サイラスは、クィアを自認しながらも異性と結婚したことについて「(クィアの)私が一貫して信じているのは“人は相手の性別や外見や性別そのほかの物に基いて恋に落ちるんじゃなくて、その人物自体に惹かれる”ということ」と発言。

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 ジョー・ジョナスと婚約した女優のソフィー・ターナーも、「(運命の人と結ばれた)今の自分に至るまでに十分な数の男性と女性に出会った」「私が好きなのは魂で、ジェンダーではない」と米Rolling Stoneに語ったように、性別や性自認ではなくその人の存在に惹かれる恋愛の仕方を公言している。

画像5: 広がる「性的指向を定めない」という考え方

 モデルのケンダル・ジェンナーは、米Vogueに「たぶん私にはバイセクシャルやゲイの素質はないと思うけど、そんなの誰がわかるの?私はどんな経験にも前向きだし、反対していない。ただ、今までそういうことがないだけ」と、性にとらわれない恋愛に前向きな発言をした。

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「性的指向を定めない」ワケとは?

 性的指向を定めたくないと宣言する人が続出する背景には、大きく別けて2つの理由がある。

 1つめは、決めつけられたくない・縛られたくないという若者らしい思い。現在の20~40歳にあたるミレニアル世代は情報リテラシーが高く、社会における多様性を求める世代と言われているが、もっと若い22歳以下のジェネレーションZはさらに柔軟な考え方をしており、それがセクシャリティやジェンダーアイデンティティにも及んでいる。

 ジェネレーションZ世代の間では、性的指向を定めないというほか、He(彼)/She(彼女)というジェンダーを区別する言葉を使わないという動きもある。

画像: 「性的指向を定めない」ワケとは?

 そしてもう1つの理由は、マイノリティに対する差別をなくしたいから。ストレートやゲイといった区別があることが差別を助長するという考えから、全員が性的指向を定めなければ差別しようがない・ストレートじゃない人が迫害された気分にならないといった思いが込められている。

 性的指向を定めないという決断をしている若者たちに、共感して賛同する人もいれば、ついていけないと反対する人もいるかもしれない。しかしこの話題で最も大事なことは、若者たちが真剣に自身のアイデンティティについて考え、それを公に発言できる場所がある時代になっているということではないだろうか。(フロントロウ編集部)

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