※この記事には『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章第4話のネタバレが含まれます。
長きにわたるシリーズも終盤に差しかかり、シリーズ開始当初は幼かったキャラクターたちの貫禄が目立つドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』。成長著しいキャラクターたちのなかでも、スターク家の長女サンサ・スタークの変貌は目を見張るほど。
シリーズが開始された当初は自己中心的なお嬢様というイメージが強かったサンサだけれど、物語が進むにつれて強く賢い女性へと成長を遂げた。
そんなサンサの衝撃的なシーンといえば、シーズン5を通して描かれたサディストである夫ラムジー・ボルトンからの度重なるレイプシーン。公開当時も批判を浴びたサンサのレイプシーンだが、先日放送されたシーズン8第4話の、サンサとハウンド(サンダー・クレゲイン)の会話が非難を浴びている。
ラニスター家の家臣であるハウンドは、シーズン2でサンサを家族のもとへ逃がしてくれようとしたことが。しかし、サンサはそれを断ったため、その後、策士家のリトルフィンガー(ピーター・ベイリッシュ)によってラムジー・ボルトンのもとへ嫁がされてしまった。
久しぶりに再会したサンサに、ハウンドはこう話す。
「俺とキングズ・ランディングを脱出していれば、何も起こらなかったんだぞ。リトルフィンガーも、ラムジーも、なにも」
するとサンサは、ハウンドにこう答えた。
「リトルフィンガーやラムジーがいなければ、私はずっと籠の中の小鳥だったわ」
ラムジーはサンサを何度もレイプしたサディスト。そしてリトルフィンガーはそんな男にサンサを嫁がせた人物。彼らがいなければ成長できなかったと言うかのようなサンサのこのセリフが、彼らの行動を肯定しているようだとして、多くの視聴者から非難の声があがった。
サンサを演じた女優ソフィー・ターナーと映画『X-MEN:ダーク・フェニックス』で共演した女優のジェシカ・チャステインは、自身のツイッターにこう綴った。
「レイプは、キャラクターを強くするための手段じゃない。女性は、蝶に成長するために苦しめられなくてはいけないなんてことは絶対にない。彼女は、いつも不死鳥だったわ。彼女の強さの理由はただ1つ、彼女が彼女だったから」
また、脚本家のアランナ・バネットも自身のツイッターで、「サンサってば、『だってさ、レイプされたことも、暴行されたことも乱暴されたことも、正直全部良かったことなんだよね。だって今、強い女性になれたんだから』って言ってたね。面白いね」と皮肉に満ち溢れたコメントを投稿。
その一方で、「サンサは感謝してるとは言ってないよ。これはレイプ被害者がよく言うこと。私も含めて。ネガティブな経験に光を当てようとするその感情を被害者から奪わないで」と、サンサの発言はそのトラウマを乗り越えるためのものだとする声も。
被害者がトラウマを乗り越えるために、その経験を良かったこととして受け入れようとするのは「ストレスコーピング」と言われる心理学的なメカニズムのひとつ。しかし他の視聴者は、ストーリーのなかでサンサの言動が心からの本当の気持ちとして描かれ、ストレスコーピングの一部として描かれていないことが問題であると指摘している。(フロントロウ編集部)