アメリカのアラバマ州で中絶を全面的に禁止する法案が可決した。望まない妊娠でも中絶できない厳しい法案に非難の声が相次いでいる。(フロントロウ編集部)

次々と制定される中絶禁止法

 現地時間5月14日、アラバマ州の議会上院は、レイプなどの性的暴行の被害によって妊娠した場合も中絶できないという、全米で最も厳しい中絶禁止法を賛成多数で可決した。

 母親の命に危険が及ぶ場合を除いて、原則、全面的に中絶を禁止する法案では、中絶手術を受けた女性は刑事責任を問われないが、中絶手術を試みた医師は10年の禁固刑、中絶手術を行なった医師は最大で99年の禁固刑が科される可能性がある。

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 また、賛成25反対6で可決した今回の法案に、賛成票を入れた上院議員のうち22人は、レイプや近親相姦による妊娠といった、望まない妊娠を例外とすることにも反対。尚、賛成票を入れた25人はすべて白人男性だった。

 今回の州法案は、中絶の権利を認めている連邦最高裁判所の判断と対立しており、中絶反対派が違憲だと主張。ACLUなどの人権団体は、中絶を女性の権利として認めた1973年の連邦最高裁判所のロー対ウェイド判決に違反するとして、訴訟するとしている。

 アメリカでは2018年から、10代の出産率が高いオハイオ州やケンタッキー州、ジョージア州、ミシシッピ州などの中西部~南部の州を中心に16の州で中絶を禁止する法案が次々と制定されている。上記の州では、胎児の心拍が確認できるようになった妊娠6週目以降の中絶を禁止している。

セレブも激怒

 女性の権利が強く求められる今の時代に反するような法案が可決したことについて、多くのセレブが憤りのコメントをSNSに投稿。

 シンガーのジャネール・モネイは、ツイッターに「アメリカで本当に起きている」と驚愕している様子を表現。『アベンジャーズ/エンドゲーム』のクリス・エヴァンスはツイッターに、「まったくもって信じられない。ロー対ウェイドにもっと注意を払うべき。だからこそ投票することは大事なんだよ!!」とコメント。同性愛者のアンディ・コーエンも「僕はすべての女性が自分の体に権限を持つべきだと思います」とツイートした。

画像: Janelle Monáe, Cindi on Twitter twitter.com

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 人権活動に熱心なマイリー・サイラスアリアナ・グランデは、自身のインスタグラムのストーリーに、ACLUが中絶禁止法を制定した州を訴えることを表明した投稿をシェア。ヘイリー・ビーバーもインスタグラムのストーリーに「私たちの国にすごく悪いことが起きている」とコメントし、例外を認めることに反対した22人の上院議員の顔が写るツイートを公開するなど、多くのセレブが中絶禁止法に反対する声を上げている。

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 またビジー・フィリップスは、「4人に1人が中絶したことがあります。多くの人が中絶をした人を知りません」とツイート。この機会に中絶した経験を告白しようと啓発した。

画像: Busy Philipps on Twitter twitter.com

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 各州で中絶禁止法が制定されていることを受けて、ドラマ『グッド・プレイス』のジャミーラ・ジャミルが5月14日にツイッターで中絶した経験を告白。映画『バイオハザード』シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチも5月15日にインスタグラムで中絶した過去を打ち明けた。(フロントロウ編集部)

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