グッチがイタリア・ローマで2020年クルーズコレクションを開催。今回のコレクションで、「子宮」の刺しゅうが入ったドレスに注目が集まった。

グッチのコレクションに子宮のデザインが

 グッチ(Gucci)のデザイナーであるアレッサンドロ・ミケーレの故郷であるイタリア・ローマのカピトリーニ美術館で行なわれたグッチの2020年クルーズコレクション。今回は、1970年代風のシェイプや聖職者を思い起こさせるシルエットの物が多い中、ミッキーがデザインされたアイテムもあり、期待を裏切らないコレクションに。

画像1: グッチのコレクションに子宮のデザインが

 その中でも注目が集まったのは、女性の子宮がスカートに刺しゅうされたワンピース。

画像2: グッチのコレクションに子宮のデザインが

 このワンピースが、なぜここまで注目されたのか。それは、アメリカ・アラバマ州で起こった中絶を全面的に禁止する法案が可決したことにある。2019年5月14日、アメリカ・アラバマ州では、レイプなどの性的暴行の被害によって妊娠した場合も中絶できないという、全米で最も厳しい中絶禁止法が賛成多数で可決。この法案には、多くのセレブたちが声をあげ、異論を唱えたのも記憶に新しい。

 グッチは、その法案が可決された約2週間後に、中絶禁止法と真っ向から勝負するコレクションを発表。子宮の刺しゅうワンピースの他にも、自分の体のことは自分で決めるという「My Body My Choice」とデザインされたジャケットをはじめ、イタリアではじめて中絶が合法化された1987年5月22日というデザインが施されたアイテムなど、中絶禁止に真っ向から反論するデザインのものが多数お披露目された。

 じつはグッチは、2013年にジェンダーの平等を訴える世界的なキャンペーン、チャイム・フォー・チェンジを立ち上げており、女性たちの性や生殖に関する権利をはじめ、母親の健康や個々の選択の自由を支援してきたという背景がある。

 女性を支援するという考え方は、デザイナーのアレッサンドロも同じで、「人生において難しい選択をしなくてはいけない時がありますが、これは女性にとって最も難しい決断だと思っています。私はその決断をリスペクトします」と、ファッションショー後に語り、妊娠を続けるかどうかという選択の権利は女性にあるという声を全面的に訴え、それをファッションにも反映させた。

 中絶についての論争が真っただ中だからこそ、ファッションを通してメッセージを送ったグッチとアレッサンドロ。今回のクルーズコレクションは、そういった面からも注目され賛否両論を巻き起こすコレクションとなった。(フロントロウ編集部)

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