※この記事には『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレが含まれます。
RDJの「最後のセリフ」はこうして生まれた
シリーズ最終章の映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』で、ロバート・ダウニー・Jr.が演じたアイアンマン(トニー・スターク)のシーンのなかで、最も心打つ場面といえば、もちろんラストシーン。
インフィニティ・ストーンが収められたナノ・ガントレットをはめ、命をかけて指パッチンする直前に言った「私はアイアンマンだ(I am Ironman)」というセリフ。
じつはこのセリフ、MCUのはじまりとなった映画『アイアンマン』(2008)のラストシーンでも使われた言葉でもある。
ロバートにとって最後のMCU作品となった同作で、はじまりのセリフを言った心打つシーンには、ロバートの心を揺るがす切ない裏話があった。
ワシントンDCで行なわれたファンとの質疑応答のイベントに登場したアンソニー・ルッソとジョー・ルッソ監督は、このシーンには本来ロバートのセリフがなかったことを暴露。
「トニーはあの時何も言わないつもりだった。だけど編集室で、このキャラクターは皮肉に生きのび皮肉に死んでいく。『何か言わなきゃだめだ』と思った。だから僕たちは何百万回もセリフを考えた。サノスが『私は絶対なのだ』と言うことで、僕たちと一緒に4作品を手掛けた編集のジェフ・フォードが『1周回って私はアイアンマンでどうだ?』と言ったので、それだ!カメラを持ってこい、明日撮影だ!ってなったんだ」
撮影も終了した後の編集の段階で、このセリフが生まれたことを明かしたルッソ監督は、後日、Reel Blendのポッドキャストで新たなセリフを収録するにあたり、ロバートは複雑な心境にあったことも告白した。
「面白い話で、(あのシーンを)撮影する2週間前にロバートと食事をしたんだ。そしたらロバートは、『なんかわからないけど、あそこに戻って、感情的になりたくない。それまでに…とにかく、つらいんだ』って言ったんだ。そこで、本当にクレイジーなんだけど、その席にはロバートの古い友人であるプロデューサーのジョエル・シルヴァーもいて。ジョエルは、『ロバート、何を考えているんだ?このセリフは今まで聞いたセリフで一番素晴らしい。セリフを言うしかないよ!やるしかないんだ!』って言ってくれた。本当にジョエルが食事の席にいてくれて助かった。彼はロバートを説得してくれた」
最後の最後で撮り直しした、ロバートの「私はアイアンマンだ」というセリフ。不覚にもロバートにとって最後の撮影となったこのセリフは、本人にとっても感情的になってしまうつらい経験だった。
(フロントロウ編集部)