現在でもアメリカの一部の州で行われている、“同性愛の矯正治療”と言われる「コンバージョン・セラピー」の恐ろしすぎる実態とは?(フロントロウ編集部)

同性愛者→異性愛者に変える“治療”

 同性愛の矯正治療は「コンバージョン・セラピー(転向療法)」と呼ばれ、おもに同性愛者を異性愛者に“矯正”または“転換”させるために行う一連の行為のことを指す。治療には、カウンセラーと話しながら進めていく会話療法や嫌悪療法(※)、電気ショック療法、同性愛者の指向を薬物や酒の依存症と同じような問題として扱う手法などが用いられる。
※不快な感情やイメージを植え付けることで問題行動を抑制する治療法。

 アメリカのとくに保守的な地域ではいまだにコンバージョン・セラピーを行う施設が存在しており、現在、強制的にこの治療法を受けさせることを禁止する法律があるのは、 全50州のうち18の州とワシントンD.C.およびプエルトリコのみ。

画像: 同性愛者→異性愛者に変える“治療”

 同性愛は精神疾患ではないので、当然治療によって“矯正”できるものではない。しかし、同性愛は薬物や酒の依存症と一緒で行き過ぎた欲求&嗜好である→したがって治療によって矯正することができるというのが、コンバージョン・セラピーの支持者たちの主張で、宗教的な動機に基づいて行なわれる場合が多い。

 親や親族などによって強制的に専門の施設に入所させられ、数ヵ月間にわたって治療を受けさせられるケースもあるほか、自分自身に対して憎しみを嫌悪感を抱かせる治療が主であるため、治療の過程で心身を病んでしまいうつ病になってしまったり、自殺したりする若者たちが後を絶たない。

コンバージョン・セラピーの「完全廃止」を訴える動き

 いまだにこの恐ろしい治療法が行われている一方で、コンバージョン・セラピーの「完全廃止」に向けた動きも加速している。アメリカでは法律でコンバージョン・セラピーを禁止する州がここ数年で急速に増えているほか、バラク・オバマ元米大統領など、社会的に影響力のある人たちがコンバージョン・セラピーをやめるよう働きかける動きも。

画像: コンバージョン・セラピーの「完全廃止」を訴える動き

 人気ロックバンドのイマジン・ドラゴンズ(Imagine Dragons)のボーカル、ダン・レイノルズもコンバージョン・セラピーの廃止を訴える1人で、「コンバージョン・セラピーを受けた人は(受けていない人の)2倍の率でうつになり、3倍の率で自殺する。コンバージョン・セラピーには何の効き目や効果もないし、今すぐ変える必要がある」と、今年5月に行なわれたビルボード・ミュージック・アワードの受賞スピーチで訴えている。(フロントロウ編集部)

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