ヒット続ける「サッド・バンガー」とは
サッド・バンガー（Sad Banger）とは、悲しみにひたりながら踊れる「切ないアゲ曲」のこと。失恋の曲は時代を通して人々を魅了してきたけれど、近年は、リズムに乗りながら泣ける失恋ソングがチャートを席巻している。
ドレイクが昔の元カノに思いをはせる「ホットライン・ブリング」や「イン・マイ・フィーリングズ」、デュア・リパが浮気魔の彼氏に別れを告げる「IDGAF」、アリアナ・グランデが元彼たちへのメッセージをつづった「サンキュー、ネクスト」なども、サッド・バンガーの代表格。
「ホットライン・ブリング」
「サンキュー、ネクスト」
踊れる曲をボップ（bop）と呼ぶ若手アーティストたちの間では「サッド・ボップ」という名前で「切ないアゲ曲」が人気を博しており、若手の注目株であるトロイ・シヴァンやジュリア・マイケルズも、自身で作った曲を「サッドだけどボップだよ」「歌詞的にはサッドだけどボップ」と言って、サッド・バンガーに挑戦している。
トロイ・シヴァンとジュリア・マイケルズ
2019年、究極の「サッド・バンガー」作品が完成
音楽界がサッド・バンガーに盛り上がる今、「アップタウン・ファンク feat. ブルーノ・マーズ」の生みの親、マーク・ロンソンが切ないアゲ曲を集めた究極のサッド・バンガー・アルバムを完成させた。
マーク・ロンソンの「アップタウン・ファンク feat. ブルーノ・マーズ」は、14週連続全米1位を獲得するなど、2015年最大のヒットソング。
マーク・ロンソンが多数の女性アーティストとコラボして完成させたサッド・バンガー・アルバム『レイト・ナイト・フィーリングス』が生まれたきっかけは、約5年連れ添ったフランス人女優の妻ジョセフィーヌ・ドゥ・ラ・ボームとの離婚。
音楽はつねにビートから作ってきたというマークは、離婚という人生最大の失恋を経験したことで「エモーションが音楽に入り込むことは避けられなかった」そうで、それまで作っていた楽曲を丸ごと捨てて、サッド・バンガーを作ることに集中。
アルバム制作中には、お気に入りのサッド・バンガーをDJする「クラブ・ハートブレイク」というパーティーを仲間内で開き、ディプロをはじめとした音楽界の有名クリエイターたちが集まってDJをしたというほど、マークはサッド・バンガーの世界に没頭した。
ヒビが入ったハート型のミラーボールという、切ないアゲ曲を集めたアルバムにぴったりのジャケット写真。
「（サッド・バンガーは）うっすらとメランコリックな部分があって、でも踊ることができて、場合によっては単に明るい曲よりも大きな高揚感を与えてくれる」―マーク・ロンソン
1人で眠りに落ちる直前に心の中でうずめく孤独感や痛みといった「深夜の気持ち＝レイト・ナイト・フィーリングス」を、このテーマに共感した失恋の痛みを知る女性アーティストたちの助けを借りてアルバムへと作り替えた。
マークとコラボした女性アーティストたち
マイリー・サイラス 「ナッシング・ブレイクス・ライク・ア・ハート」
「ハートほどバラバラに壊れるものはない」という、大失恋したことがある人ならば共感できる気持ちを歌ったサッド・バンガー。約4年前からマイリーの歌声のファンだったというマークいわく、「彼女に合いそうなアイデアを思いついた時に、送って打診して」コラボが実現したそう。
マイリーの恋愛遍歴： 16歳のときにのちの夫となるリアム・ヘムズワースと出会うも、その後は破局と復縁の連続。1度の婚約破棄を経て2018年末にリアムとゴールインした。
カミラ・カベロ 「ファインド・ユー・アゲイン」
「あなたのような人は一生見つからない」と、元恋人を思う同曲。コラボ相手のカミラは、「愛や失恋についてのエモーショナルでポップな曲に溢れたアルバムを作ると聞いたとき、すぐ行くわ、と言ったの。絶対に参加しなきゃって！」と、サッド・バンガーというテーマに強く共感したことを明かした。
カミラの恋愛遍歴：ショーン・メンデスやオースティン・マホーンなどシンガーとの恋のウワサが多く流れ、2018年からデートコーチのマシュー・ハッセーと交際していたが2019年6月に破局報道が出た。
キング・プリンセス 「ピーセズ・オブ・アス」
「話すたびに空振り／私に残されたのは私たちの破片だけ」と片思いにひたるこのサッド・バンガーでは、マークのレーベルの第1弾アーティストであるキング・プリンセス（本名ミケイラ・ストラウス）とコラボ。今最も影響力を持つ若手クィア（※）アイコンの1人として知られる20歳の歌姫と、敏腕クリエイターのマークが、夢の共演。※クィア：使う人によって意味が変動する場合があるが、近年は一般的に、「心と体の性が一致している異性愛者」ではない人を総称する言葉として使われている。
キング・プリンセスの恋愛遍歴：クィアであることをカミングアウトしており、2017年から映画『ハンガー・ゲーム』の女優アマンダ・ステンバーグと交際していたが、2019年に入り破局説が流れている。
アリシア・キーズ 「トゥルース」
マークがSNSに公開したレコーディングスタジオでの様子。
グラミー賞15冠を誇る歌姫アリシアとタッグを組んだ同曲のテーマは、「真実（トゥルース）」。マークはレコーディングスタジオからSNSに投稿を行ない、「真実が必要なら、クイーンを呼ばなきゃ」とコメントした。
アリシアの恋愛遍歴：10代だった頃に11歳年上の音楽プロデューサーと長期交際したあと、現夫スウィズ・ビーツと交際開始。当初は既婚者だったスウィズを寝取ったとスキャンダルになったが、2019年で結婚9周年を迎える。
そのほかにも、インディーポップやエレクトロニックといった要素が合わさった音楽を手掛けるスウェーデン出身のリッキ・リー、サム・スミスやチャンス・ザ・ラッパーが認めるイェバ、ドラマ『13の理由』に曲が使われたエンジェル・オルセン、ビヨンセの曲のプロデュース経験があるダイアナ・ゴードン、メジャー・レイザーやマーティン・ギャリックスの曲の制作に参加したイルシーと、全編女性アーティストとコラボしているアルバム『レイト・ナイト・フィーリングス』。
ヒットメーカーのマーク・ロンソンが送り届ける切ないアゲ曲、サッド・バンガーが集まったアルバム『レイト・ナイト・フィーリングス』は、6月21日に全世界同時発売された。
マーク・ロンソン
『レイト・ナイト・フィーリングス』
発売中（2019年6月21日）
¥2,200＋税 SICP-6115
購入・ダウンロードはコチラから
マーク・ソンソン代表曲まとめ聴きプレイリストはコチラから
トラックリスト
1. レイト・ナイト・プレリュード
2. レイト・ナイト・フィーリングス feat. リッキ・リー
3. ファインド・ユー・アゲイン feat. カミラ・カベロ
4. ピーセズ・オブ・アス feat. キング・プリンセス
5. ノック・ノック・ノック feat. イェバ
6. ドント・リーヴ・ミー・ロンリー feat. イェバ
7. ホエン・ユー・ウェント・アウェイ feat. イェバ
8. トゥルース feat. アリシア・キーズ & ザ・ラスト・アートフル、ドジャー
9. ナッシング・ブレイクス・ライク・ア・ハート feat. マイリー・サイラス
10. トゥルー・ブルー feat. エンジェル・オルセン
11. ホワイ・ハイド feat. ダイアナ・ゴードン
12. 2 AM feat. リッキ・リー
13. スピニング feat. イルシー
＜国内盤CD限定ボーナストラック＞
14. ナッシング・ブレイクス・ライク・ア・ハート feat. マイリー・サイラス (Acoustic Version)
15. ナッシング・ブレイクス・ライク・ア・ハート feat. マイリー・サイラス (Don Diablo Remix)
16. ナッシング・ブレイクス・ライク・ア・ハート feat. マイリー・サイラス (Dimitri from Paris Remix)
※参照元の記載のない発言はオフィシャルインタビューより抜粋。
（フロントロウ編集部）
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