1995年の公開以来、世界中に笑いと勇気を届け大ヒットシリーズへと成長したディズニー/ピクサーの映画『トイ・ストーリー』。
シリーズ第4作目となる『トイ・ストーリー4』が、先行公開された北米での累計興行収入が公開開始2週目にして早くも2億ドル(215億円)を突破する大ヒットを記録しているが、その裏で、過去作にひっそりとテコ入れがされていたことが明らかになった。
以前から、セクハラを面白おかしく表現していると問題視する声が多く上がっていたのが、『トイ・ストーリー2』に登場するニセのNG集に含まれる、“スティンキー・ピート”という炭鉱夫の格好をした人形が双子のバービー人形との掛け合いのシーン。
日本では“プロスペクター”の名で親しまれているこのキャラクターは、ひょうきんなおじさんとしてコメディ部分を担当。しかし、問題のシーンでは、自身の棲家である“箱”を訪ねてきたバービー人形たちに、手に触れたりしながら「そうか、君たちはそっくり同じなんだな。『トイ・ストーリー3』に出してあげるから…」と次回作への出演を“ダシ”にする甘い言葉で巧みに誘惑。
カメラが回っていたことに気づいたプロスペクターは、「あっ! 本番か! アハハハ…じゃあ、お2人さん、とても楽しかった。演技のことで何かあったら、いつでもおじさんの所においで」と、バツが悪そうに慌ててバービーたちを箱から追い出すのだが、このシーンが、映画界における「枕営業」を彷彿とさせるため気色が悪く、子供たちに見せるべき表現ではないと視聴者から指摘が相次いでいた。
大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによる複数の女性たちに対するセクハラ・レイプ疑惑が告発されたのを発端に、2017年秋以降、「#MeToo(ミー・トゥー)」や「Time’s Up(タイムズ・アップ)」といったセクハラ抗議運動が活性化しているが、その後押しも受けて、配給元であるディズニーが、最近リリースした『トイ・ストーリー2』のブルーレイやデジタルリリース版から該当のシーンをカットしたようだと米Release Newsほかが伝えている。
今回のテコ入れは、ピクサー・アニメーション・スタジオの共同創設者であり『トイ・ストーリー』シリーズの1作目と2作目を監督したジョン・ラセターが、女性社員に対して長年にわたって望まれないハグや不適切な接触などを行なっていたというセクハラ行為が明るみに出たため、自主休職を経て2018年いっぱいで同社を退職したという騒動にも配慮したものだと言われている。
削除された該当のシーンはコチラの動画で見ることができる(英語版)。
(フロントロウ編集部)