「人間がいるようなところではない」場所で拘束
ヒット曲「Praise The Lord」のMVがYouTubeで1億回以上再生されているラッパーのエイサップ・ロッキーが、ライブ出演のために訪れたスウェーデンのストックホルムで逮捕された。
エイサップ一行は、ボディガードを連れてストックホルムを散策していた時に、「ヘッドホンを壊した」と因縁をつけ、執拗につきまとった、エイサップいわく「薬物中毒者」の2人に対して、殴る蹴るの暴行を加えた。
エイサップ一行は、最初はモノを投げつけられても手を上げずにやめるよう求めていたのだが、男たちが通行人の女性のお尻を叩いたことを知ると態度を一変させて暴行を加えた。
この時の暴行の一部始終が現地時間7月1日に米TMZによってネットに流出すると、7月3日に事情聴取のため現地警察に出向いたエイサップはその場で逮捕されたと言われている。
エイサップは、ネットに動画が流出した翌日に、暴行までの一連の出来事をインスタグラムに投稿。この動画には、つきまとう男性たちをボディガードが制し、それに逆上した男性が自分のヘッドホンをボディガードに投げつける映像が映し出されている。それでもつきまとう男性たちを、エイサップが説得する姿や、「問題を起こしたくない。ずっとついてくるんだ」と話す姿も確認できる。最後には「すみません」と話してきた女性が「彼が私と友達のお尻を叩いてきたんです」と訴える声が聞こえる。
今回の逮捕でエイサップは、普通の暴行罪よりも罪が重い加重暴行罪(※)の容疑をかけられ、現地の裁判所は、取り調べの間にエイサップが国外に渡航しないようにするため留置場での2週間の拘束を命じた。エイサップの弁護士は、エイサップ一行について「彼らは攻撃され、自己防衛した」と、米APに語った。
※現在は暴行罪に容疑が軽減している。
それからわずか数日後、現在エイサップがいる留置場は、「人間がいるようなところではない」と米TMZが報道。
留置場にいるエイサップは、ヨガマットの上で睡眠を取り、ブランケットも配られていないという。さらに施設の環境は最悪で、病原菌が蔓延するような状態。支給される食事も粗末で、エイサップは最初の5日間を1日りんご1つで過ごしたとされる。
加えて、エイサップのいる部屋の隣には、コンクリート壁に頭をたたきつけ、いたるところに排泄物を投げつける精神異常とみられる囚人がいて、その排泄物は処理されていないという。
またエイサップは、条例で認められているにもかかわらず、米国領事館の担当者と面会できない状態にあるといい、スウェーデン側が面会を認めないのには留置場のずさんな管理状態を領事館の人に見られたくないのではと同メディアが指摘している。
ちなみに、食事を含めた留置場の不衛生な環境と、エイサップが誰とも面会できないという点については、エイサップの弁護士が米Vibeで否定。しかし、エイサップのマネージャーは「施設の状態はひどい」「人間に必要な機能がほとんど備わっていない」「食事を含めた衛生面に問題あり」と、自身のSNSに投稿している。
暴行を加えたエイサップをセレブが守る理由は?
エイサップは暴行を加えた加害者であるとはいえ、相手にも非があると考えられること、ずさんな管理状況のなかで外国人であるエイサップを2週間も拘束するスウェーデンの厳しすぎる対応を受けて、ショーン・メンデスやポスト・マローン、トラヴィス・スコット、カーラ・デルヴィーニュ、ニック・キャノン、ジェイダ・ピンケット・スミス、5Hのローレン・ハウレギ、ヴィンス・ステイプルズなどの多くのセレブが、「#JUSTICEFORROCKY(※ロッキーに正義を)」というハッシュタグとともに、エイサップの釈放を求める声明を発表。また、Change.orgにはエイサップの釈放を求める署名ページも作られるなど、彼をサポートする声が強い。
エイサップと同じくストックホルムにて暴行罪で逮捕されたことがあるGイージーは、「俺の時は電話をすることも訪問者を呼ぶことも許されなかった」と、スウェーデン側が条例に認められているにもかかわらず、エイサップが米国領事館の担当者と面会できない状態にあるという一部の報道の信ぴょう性を高めるコメントをした。
さらに、エイサップと親交のあるタイラー・ザ・クリエイターとスクールボーイ・Qは、「スウェーデンにはもう二度と行かない」と永久ボイコット宣言。
no more sweden for me, ever
— Tyler, The Creator (@tylerthecreator) 2019年7月8日
I’m not goin nomo eitHer... #FLACKO https://t.co/oL0BUAjLIz
— ScHoolboy Q (@ScHoolboyQ) 2019年7月8日
もしエイサップが有罪になった場合、米Vultureによると最大懲役6年の判決が言い渡される可能性がある。判決が下される裁判は8月中旬に行なわれる予定だと米Complexが伝えている。(フロントロウ編集部)