テイラー・スウィフトが過去に経験した壮絶な“ネットいじめ”に言及。「#TaylorSwiftIsCanceled(テイラー・スウィフト終了のお知らせ)」というハッシュタグが蔓延した当時の心境などを語った。(フロントロウ編集部)

「#テイラー・スウィフト終了のお知らせ」

 8月23日にニューアルバム『ラヴァ―(Lover)』のリリースを控えるシンガーのテイラー・スウィフトが、アメリカ版Vogueの9月号の表紙を飾った。

 ファッション誌にとって、1年のうちで最も重要な号と言われる9月号に登場することができるのは選ばれたセレブのみ。そんな名誉ある号の“顔”に抜擢されたテイラーは、同誌のロングインタビューで、未だ全貌が明かされていないアルバム『ラヴァ―』はもちろん、性差別やLGBTQ+コミュニティへのサポート、そして過去に経験した大規模な“ネットいじめ”など幅広いトピックについて赤裸々に語った。

 テイラーが人生を変える体験だったと明かした“ネットいじめ”とは、今から約3年前の2016年、以前から因縁の関係にあったラッパーのカニエ・ウェストとその妻でリアリティスターのキム・カーダシアンとの間に勃発したバトルが発端で経験した世間の人々から受けた強烈なバッシングのこと。

 当時、カニエが発表した楽曲『フェイマス』の中に、テイラーを「あのビッチ」と呼ぶ侮辱的な歌詞が登場ししたことに対し、事前に電話で了承をとったと言うカニエと、「ビッチ」呼ばわりは聞いていないとするテイラーの間で意見の不一致が発生。

 キムが夫カニエを擁護するために、スナップチャットでカニエとテイラーが電話で会話する様子を収めた証拠の動画を公開し、テイラーはウソをついていると主張したことで、テイラーは世間から「嘘つき」、「被害者ヅラするな」と大きな批判を浴びることになった。

画像: 「#テイラー・スウィフト終了のお知らせ」

 この時、キムは、テイラーへのディスとしてツイッター上に「嘘つき」や「信用ならない人物」を意味する『ヘビ』の絵文字を多用した嫌味メッセージを投稿。

 必死の反論もむなしく多くの人から「嘘つき認定」されたテイラーのもとには、『ヘビ』の絵文字が殺到したほか、SNS上では「#TaylorSwiftIsASnake(テイラー・スウィフトは嘘つきだ)」「#TaylorSwiftIsCanceled(テイラー・スウィフト終了のお知らせ)」といったハッシュタグが誕生し、テイラーは、その後数カ月にわたって窮地に追い込まれた。 

 この時の心境について、米Vogueとのインタビューで改めて振り返ったテイラーは、こうコメント。

「何百万人もの大勢の人たちから公の場で辱めを受けて、『おまえはもうキャンセルされた(終わりだ)』って言われるのはものすごく疎外感を感じる体験だった」

「あんなにもたくさんの人から大っぴらに嫌悪をぶつけられるのがどんな感じかを理解できる人はそんなには居ないんじゃないかな。誰かが『キャンセルされました』って、テレビ番組じゃないんだから。相手は1人の人間。黙れ、消えてしまえ、もしくは自殺してしまえってものすごい数のメッセージを送られてくるなんて」


一時は情緒不安定に

 相次ぐ誹謗中傷のせいで、情緒不安定気味になっていたというテイラーは、アルバム『レピュテーション』のリリース後、一切インタビューに応じなかった理由の1つについてこう説明。

「自分があと1時間後にどんな感情を抱いているかが分からなかった。『すべての事は私に何かを教えるために起きたんだ。痛い思いをしなくちゃ学べなかったことかもしれない』と感じたと思えば、その5分後には『なんて酷い出来事だったんだろう。どうしてあんな事が起こったの? あんなにたくさんの人から辱めを受けて、一体どうしたらいいの? 』と感じたりしてた。そして、そのまた5分後には『私は今、これまでで一番幸せかもしれない』と思ったり…」

 さまざまな考えが頭をよぎり、自分の感情をコントロールすることが難しかったと明かした。


どうやって切り抜けた?

 世界規模での大バッシングがきっかけで、しばらく身を潜めることに決めたテイラーは、自身の体験をもとに前アルバム『レピュテーション』のための楽曲制作に没頭。

画像: 『レピュテーション・スタジアム・ツアー』より。

『レピュテーション・スタジアム・ツアー』より。

「人生を再構築しなきゃならないと気づいたわ。もう完全にコントロール不能な状態になっちゃってたから。すぐに、この一件についての楽曲を作らなくちゃいけないと思った。そうすることでしか私が生き残る道はないと思ったから。自分のメンタルの健康を保つためにもね。そして、こんな屈辱を味わうのはどんな感じかということを伝えなくてはと思った」

 テイラーはそう語り、大好きな音楽を通じて、徐々に平静を取り戻すことができたと明かした。

 さらに、テイラーは、あの騒動がきっかけで、自分がそれまで強いられていた“良い子ちゃんキャラ”が崩壊して良かったとも話す。

 キャリアを通じて、「いつも笑顔で、いつもハッピーで、“アメリカ国民の恋人”のようなキャラ」が染みついていた自分が、自我を持とうとすることに対して、「奇妙だと感じた」というテイラーは、「それが奪われたことで、それを失ったことがじつはすごく良いことだと気づいたの。あのキャラはすごく窮屈だったから」と吹っ切れた様子。

画像: 新アルバム『ラヴァ―』からの新曲を披露するテイラー。

新アルバム『ラヴァ―』からの新曲を披露するテイラー。

「もちろん、真正面から感謝することはできないけど、あの経験から何かポジティブな側面を見つけることはできたと思う。もちろん、お礼の手紙なんて書くつもりはまったく無いけど」と、どん底を味わった経験のおかげで少し成長できたことも示唆した。

 今まで世に送り出した作品の中でも最もお気に入りとなるかもしれないという新アルバム『ラヴァ―』は「色んな意味で新たな始まりみたいな感じ」だと語ったテイラー。ダークな面をさらけ出した『レピュテーション』から、さらに脱皮した等身大の彼女のまた新たな一面に出会えそう。(フロントロウ編集部)

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