フランスに住む10代の少年少女たちが始めた# fillthebottleが、ツイッターやインスタグラムなどのSNSで話題となっている。(フロントロウ編集部)

ペットボトルいっぱいに「アレ」を拾う

 新トレンド# fillthebottleの発端は、ジェイソンという少年がツイッターに投稿した1枚の写真。

 「20分で1リットルボトルがいっぱいになった、50メートルもない場所で」「これは非常に深刻」という説明が書かれた写真には、ペットボトルいっぱいに詰められた、ポイ捨てされたタバコの吸い殻が。

 この投稿を見たジェイソンの友人クリスチャンが、「この量はすごくはないけど、もしみんなが行動したら、すごくクールなことになりそう」と、2人の友人であるアメルという少女に連絡。するとアメルは、「# FillTheBottleってクールだと思う」と、ハッシュタグを使って多くの人に、タバコのゴミ拾いを呼びかけるハッシュタグを提案した。

 この若者らしい発想が、SNSを発信地として新たなトレンドを生み出している。

 アメルがこのハッシュタグを作ってから、たった24時間。なんと、数千にのぼる写真や動画が、# fillthebottleのハッシュタグとともにSNSに投稿された。この数はどんどん伸び、フランスのテレビ局が取材に訪れたほど。

 さらにアメルとその友人たちの行動は、フランスだけでなくイギリスのBBCといった海外メディアにも特集され、国際的な話題となっている。そんなアメルは現在、タバコをリサイクルする企業MéGoと連絡を取り合っていることを英BBCで告白。若者の思いつきで始まった行動が、企業をも巻き込む一大プロジェクトへと発展している。

タバコのゴミはストローやビニール袋よりも深刻

 何年も前から、タバコのポイ捨て問題は世界各国で問題になっている。タバコのポイ捨ては、景観を損ねるという問題だけが意識されがちだけど、じつは海に流れつくゴミで1番多いのが、タバコの吸い殻。

画像: タバコのゴミはストローやビニール袋よりも深刻

 タバコのフィルターは半合成繊維で出来ており、自然分解されるには数十年の時が必要。しかし身体に悪いことで有名なタバコには200種類以上の有害物質が含まれており、その間にも、有害物質が自然界に溶け出すことが懸念されている。

 海洋生物の保護を目的とする米Ocean Conservancyが発表したところによると、2017年の1年間に海辺の清掃で集められたタバコの吸い殻は約241万本で、ペットボトルのフタやビニール袋よりも多かったそう。さらに、タバコの吸い殻は1986年から2018年までの32年間で最も多く集められたゴミであり、全体の3分の1を占めるほど。

 また日本でも、NPO法人海さくらが2018年に行なった湘南でのゴミ拾いイベントで回収されたゴミのうち半分以上の54%が、タバコ関連のゴミだったという。

 今年の6月には、米フロリダ州の海岸で、海鳥が食料と間違えてタバコの吸い殻を自分の子供に与えているところを捉えた写真が発表され、世界に衝撃を与えたばかり。

 若い世代が感じる地球環境への大きな危機感が、# fillthebottleというトレンドを作り上げたよう。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.