英国王室のヘンリー王子が、自分を変えた「少年に言われた一言」を明かした。(フロントロウ編集部)

ヘンリー王子、7歳の少年と衝撃の出会い

 ロイヤルファミリーのヘンリー王子は、2012年に祖母であるエリザベス女王とカリブ諸島を訪問。そこで7歳の少年に出会ったという。その少年はおもむろにヘンリー王子のシャツを引っ張り、こう言ったそう。

「あなたの国のせいで、僕の国の珊瑚が死んでいく」

画像: 2012年にカリブ海に面する国ベリーズを訪れた際のヘンリー王子。

2012年にカリブ海に面する国ベリーズを訪れた際のヘンリー王子。

 カリブ海の珊瑚は、イギリスや日本を含む先進国が排出する温室効果ガスによる海水の温度の上昇や、珊瑚を宝石として扱うための乱獲、観光客が乗る船の錨や、各国から流れ着くプラスチックゴミなどによって、2008年には良好な状態のものは全体の25%にまで減少していた。

 ヘンリー王子は、少年にその言葉を投げかけられた時のことをこう振り返る。

「年齢にかかわらず、この少年は強烈な真実を突きつけてきました。珊瑚に関わる環境破壊が、彼の国以外に住む人々の行動で作り出されていることを、彼はすでに理解していたのです。そして、彼の言ったことは正しい。彼の言葉は、私に深く刺さりました。なぜなら彼は、部外者がコミュニティへどれだけ甚大な影響を与え、さらにそれに無関心でいられる姿勢を指摘したのですから」

画像: ヘンリー王子、7歳の少年と衝撃の出会い

先進国が地球を壊す

 少年がヘンリー王子に訴えたように、先進国による環境破壊は甚大なもの。国際エネルギー機関の調査によると、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)排出量の多い国1位は中国、2位はアメリカ、そして日本は5位に入っている。

 また、カリブ海に流れ着くプラスチックゴミも深刻化しており、2017年には水中写真家のキャロライン・パワーが、カリブ海一面にゴミがいっぱいになっている写真を公開して世界に衝撃を与えた。

画像1: ⒸCaroline Power/Facebook

ⒸCaroline Power/Facebook

画像2: ⒸCaroline Power/Facebook

ⒸCaroline Power/Facebook

 日本も多くのプラスチックごみを流出しており、マレーシア政府は日本が多くのプラスチックごみが不法輸出しているとして、今年5月にはビーイン環境相が一定量のゴミを日本に送り返すと宣言した。

 このような先進国による他国での環境破壊は、ヘンリー王子が明かした少年の言葉どおり、先進国側の当事者意識の低さも問題となっている。

ヘンリー王子が環境のためのプロジェクトを発足

 7年前に起きたこの出来事を今でも覚えているヘンリー王子は、今では環境保全活動に対して熱心に活動していることでも有名。恩師である霊長類学の世界的権威ジェーン・グドール博士を前に温暖化について熱弁をふるったり、滞在先のホテルでプラスチックの使用に苦言を呈したりと、個人レベルでできる活動を行なってきたヘンリー王子。そしてこのたび、妻のメーガン妃と設立したサセックス・ロイヤル基金の初のプロジェクトとして、環境に配慮した旅行を推進する『トラバリスト(Travalyst)』の発足を発表した。

画像: ヘンリー王子が環境のためのプロジェクトを発足

 このプロジェクトでは、ブッキングドットコム、トリップアドバイザー、VISA、シートリップ、スカイスキャナーなど、世界有数の大手旅行関連会社と提携し、旅行が環境に与える影響を軽減するために、カーボン・オフセット(※)といった旅行中にできるエコ情報の発信、さらにはそれを各地域の支援や経済に還元できるよう考えていく。

※カーボン・オフセット:自分が排出した二酸化炭素を別の場所で吸収して排出量を相殺する活動。例えば、旅の過程で出したCO2の量を測定し、そのCO2を吸収するために必要な分の木を植える活動に寄付する、といったやり方がある。

 ヘンリー王子は、「企業や消費者、コミュニティが互いに協力し合うことこそが、観光地の環境や生態系を守り、次の世代へと継承する最善の方法ではないでしょうか」とも語り、すべての人が環境への意識を持って活動することを呼びかけた。(フロントロウ編集部)

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