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米人気アニメ『シンプソンズ』が、16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリが国連気候行動サミットで行った「怒りのスピーチ」を今から10年も前に“予見”していたと海外の視聴者が騒然。 (フロントロウ編集部)

怒れる環境少女グレタのスピーチを「予見」

 9月23日に米ニューヨークで行なわれた国連気候行動サミットで、各国の政治家や官僚など、国や世界を動かす地位や力を持つ大人たちに向け怒りのスピーチを行なったスウェーデン人環境活動家のグレタ・トゥーンベリ

 「あなたたちは、私たちを失望させている。若い世代はあなたたちの裏切りに気づき始めています。未来を生きる世代は、あなたたちを見ています。もしもあなたたちが私たちを裏切ることを選ぶのであれば、私はこう言いましょう。私たちは、あなたたちを絶対に許さない」―グレタ・トゥンーベリ、国連気候行動サミットで語って

 温暖化における平均気温の上昇を1.5℃~2℃以下に留めることを目標とする国際協定「パリ協定」の考え方に触れた16歳の彼女は、目を真っ赤にし、ストレートな言葉で、各国のリーダーたちがいまだに気候変動を食い止めるための具体策を掲げていないことを非難した。

画像: 怒れる環境少女グレタのスピーチを「予見」

 世界各国のメディアで大々的に報じられ、人々が議論を交わすきっかけを作ったグレタの演説。子供から大人までさまざまな人々の心に響いたこの彼女のスピーチの様子とよく似た情景が、じつは、米人気アニメ『シンプソンズ』のあるエピソードの中で、今から10年も前に描かれていたと海外の視聴者たちが恐れおののいている。

 社会風刺的な描写も多く含む『シンプソンズ』は、コメディ作品として愛される一方で、30年以上も前から環境問題に関するトピックを織り込んできたことで知られている。

 その中でも、地球の未来を危惧し、自然破壊を食い止めようというメッセージの語り手の役割を担ってきたのが、おとぼけなキャラクターで知られる主人公で父親のホーマー・シンプソンとは対照的な大人顔負けの毅然とした物言いが特徴的な長女のリサ・シンプソン。

 海外の『シンプソンズ』ファンたちは、グレタの今回のスピーチの様子が、2003年に放送されたエピソードの中で、リサがクラスメートたちに環境破壊の恐ろしさについて力説した際の光景にそっくりだと口々に驚きを口にしている。

 それがこちらのシーン。

「あぁ、ラルフ。あなたの楽観主義さが羨ましいわ。スプリングフィールドに50年後の未来なんて無いわよ! 地球温暖化によって二酸化炭素が有毒な大気圏に閉じ込められたら、過熱された海面が上昇して、低地は海に沈むわ。そうしたらかつて豊かな緑地だった土地は砂漠化して、残された人類はそこで焼けこげることになるの! ニネヴェ(※)と化したその場所には暗闇しか残されていないわ」—リサ・シンプソンのセリフの日本語訳--

※消滅したイラク北部の古代都市

 物語の舞台であるスプリングフィールドの50年後について、楽観的な意見を述べたクラスメートに対し、「50年後の未来なんて無い」とバッサリと斬り捨て、地球環境の未来を憂いたリサ。

 セリフの内容は、グレタの演説とは異なるものの、リサの迫力や顔つき、ジェスチャーなどが、グレタの国連気候変動サミットでのスピーチと重なるとSNS上でもちきりになっている。

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 これまでにも、ギリシャの経済危機や、アップル社製のスマートフォンの流通、エボラ出血熱の流行、ドナルド・トランプの大統領就任、ウォルト・ディズニー社による21世紀フォックス社の買収、シンガーのレディー・ガガの2017年のスーパーボウル出演、そしてドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の最終章に登場した衝撃のシーンといった、政治や社会情勢、カルチャーにまつわる様々な事柄を事前に描き、「未来を予見している」という都市伝説がまことしやかに囁かれている『シンプソンズ』。

 それだけに、2019年の下半期を代表する大きな出来事となったグレタの怒りのスピーチが、同番組によって10年も前に“予見”されていたという説も、あながち単なる”偶然の一致”のひと言では片づけられないと多くの人々が息を飲んでいる。(フロントロウ編集部)

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