日本が世界に誇る是枝裕和監督が、各国の世界的スターを集めてフランスで撮影した映画『真実』より、フランスの大女優ジュリエット・ビノシュがフロントロウ編集部のインタビューに登場。(フロントロウ編集部)

10月11日より公開された映画『真実』

 是枝裕和監督の最新作『真実』には、フランスが誇る名優カトリーヌ・ドヌーヴやジュリエット・ビノシュ、ハリウッドよりイーサン・ホークが出演。

 カトリーヌ演じる国民的俳優のファビエンヌが自伝を出版。そこに綴られたこと、綴られなかったことを巡って家族が長年抱えてきた愛と憎しみを露わにしていく…。

画像: ©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA

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 今作で、ファビエンヌの娘リュミールを演じたジュリエット・ビノシュがインタビューに答えた。

華やかな恋愛遍歴を持つジュリエット・ビノシュ

 今作でジュリエットは、イーサンと夫婦役に挑戦。

 生真面目なリュミールに対して、ハンクは英語しか話せないにもかかわらずフランス人の妻の実家に馴染むほどリラックスした性格。そんな似ていないリュミールとハンクだけれど、だからこそジュリエットにとっては演じやすい役柄だったかもしれない。

 というのも、ジュリエットは「似たものカップル」は存在しないと考えているから。

「人間っていうのは1人1人が元々違うものでしょう。2人が同じ経験をしていくうえで起こる変化として、似たものが出来てくることはあるかもしれないけれどね。でも出会った時には人間っていうのは違うもので、異なった2極として存在すると思います。女性は男性に近づこうとする欲求もあるけれど、それに対して2人の間で起こる反発によって、2つの別々の立ち位置が出来上がる。それが、“男と女”というものだと思う」

画像: 華やかな恋愛遍歴を持つジュリエット・ビノシュ

 これまでも、10歳年下の俳優ブノワ・マジメルや、アルゼンチン人監督のサンティアゴ・アミゴレーナと交際するなど、年齢や国籍に関係なく多くの男性と恋愛をしてきたジュリエット。お互いの違いを尊重することが人間関係の第一歩だと語った。

国際色豊かな撮影現場

 また、日本人監督の作品に多くのフランス人俳優、そしてアメリカ人俳優が集まった今作の撮影現場。そんな国際色豊かな顔ぶれが作り出した影響について尋ねられると、先進的な考えを持つジュリエットは、たった一言。

「人間はひとつである、という影響を与えられると良いですね!」

画像: 国際色豊かな撮影現場

 多様性を表現し、マイノリティグループを可視化することが、ここ数年で多様性が叫ばれる大きな理由なひとつ。しかし、グループ分けをしたその先には、人間は1つの集合体だという核心をつく指摘には、さすがフランスを代表する俳優という貫禄が漂っていた。

若い世代のために大人がすべきこと

 そんなジュリエットは、16歳にして世界を動かす環境活動家のグレタ・トゥーンベリを熱心に応援している。自身も26歳と20歳の子供を持つジュリエットは、これからを生きていかなければならない子供たちに対する大人の責任を熱弁した。

「世代間のギャップをどう埋めるかと、悠長に考えている暇はもうないの。これは緊急の問題。若い世代がこの先、今の世界で生き延びていけるのかと大人は考えていかないと、もう時間はありません。環境の問題だけでなく、今、意識をかえないと、もうどうしようもないところまできています。今の世界は、経済的理由で企業が解決策を行動に移していません。企業や大人は、若い世代の子供たちのことを考えていかないといけないと思います。子供っていうのは自分の家族の子供たちだけでなく、世界の子供たちのことです。エゴイストであることをやめないといけません」

画像: 若い世代のために大人がすべきこと

 今の若い世代が直面する苦悩を考えて顔をゆがませるジュリエットは、最後にこう言い切った。

「悲劇はもう始まってる」

 ジュリエット演じるリュミールと母ファビエンヌの世代間の違い、その葛藤と雪解け、1つの人間関係を丁寧に描いた是枝裕和監督作『真実』は、全国で公開中。(フロントロウ編集部)

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