大御所監督のマーティン・スコセッシやフランシス・フォード・コッポラが、マーベル映画を蔑視する発言をして物議を醸しているが、意外なところにスポットライトが当たっている。(フロントロウ編集部)

マーベル蔑視は歴史のくり返し?

 映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を生み出したマーティン・スコセッシ監督や、映画『ゴッドファーザー』を手掛けたフランシス・フォード・コッポラ監督といった映画界の重鎮たちが、相次いでマーベル作品、とくに映画『アベンジャーズ』などのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)について、否定的な見解を口にして物議を醸すなか、巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督の過去の発言が注目を浴びている。

画像: マーティン・スコセッシ監督(左)、フランシス・フォード・コッポラ監督(右)

マーティン・スコセッシ監督(左)、フランシス・フォード・コッポラ監督(右)

 言わずと知れた大物監督のスピルバーグ監督は、70年代から80年代にかけて映画『E.T.』や『ジョーズ』といった作品を世に送り出し、当時の映画界に新たな息を吹き込んだ人物。

 映画界の寵児として、今も多くのヒット映画を手掛けているスピルバーグ監督が、約3年前の2016年に伯メディアのOmeleteに、ヒーロー映画についてこんなことを話したことがある。

画像: マーベル蔑視は歴史のくり返し?

「リチャード・ドナーの『スーパーマン』や、(クリストファー・)ノーランの『ダークナイト』、最初の『アイアンマン』はすごく良かった。でもスーパーヒーロー映画で最も感銘を受けたのは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』だ。この作品を見終わって映画館を出た時、皮肉のない、必要な時に現実的なことを考えなくていい、新しい経験をした感覚になった」

 スコセッシ監督やコッポラ監督がマーベル映画をはじめとしたヒーロー映画を否定する理由のひとつに、物事を深く考えさせられるものがないことが挙げられるが、スピルバーグ監督は、マーベル映画である『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で描かれた“考えさせられない”点にこそ、作品の素晴らしさがあると評価した。

画像: MARVEL ENTERPRISES/MARVEL STUDIOS/VALHALLA MOTION PICTURES / Album/Newscom

MARVEL ENTERPRISES/MARVEL STUDIOS/VALHALLA MOTION PICTURES / Album/Newscom

 スピルバーグ監督の作品がブレイクした70年代からハリウッド映画界では、ジョージ・ルーカス監督の『スター・ウォーズ』など、今や映画界には欠かせないCGを使ったファンタジー映画が公開されるようになり、これまでなかったジャンルの映画がヒットするようになった。この時代にも、一部の映画制作者の間で、映画のアーティスティックな美的感覚が弱まってしまうことが懸念された。

 ここ数年で世界の歴代興行収入の上位にマーベル映画がランクインするようになるとともに生まれた否定的な声は、ヒーロー映画というジャンルが、映画界のさらなる成長の起爆剤になったことを証明しているのかもしれない。(フロントロウ編集部)

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