実力派俳優のシャイア・ラブーフが、ハリウッド・フィルム・アワードで脚本家として表彰された時に、約2年前に自分を逮捕した警察官に感謝の言葉を述べた。(フロントロウ編集部)

逮捕してくれた警察に感謝

 2020年のアカデミー賞前哨戦の皮切りとなるハリウッド・フィルム・アワードが、現地時間11月3日に米ロサンゼルス・サンタモニカで開催。

 そこで俳優のシャイア・ラブーフが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えた自身の生い立ちと父親との複雑な関係を描いた自伝映画『ハニー・ボーイ(Honey Boy)』で、ブレイク脚本家(Breakthrough Screenwriter)賞を受賞した。

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 同部門のホストを務めたロバート・ダウニー・Jr.が、「ここ数年で見た映画のなかで、はるかに素晴らしく、勇敢な作品だ」と大絶賛した映画『Honey Boy』は、シャイアがリハビリ施設に入所していた時期に脚本した自伝映画。

 父親との確執に悩み、メンタルヘルスに苦しんだ幼少期から20代の自分をベースに、若い俳優がスターダムを駆け上がっていく姿が描かれるこの作品で、シャイアが関係改善するのに苦しんだ父親役を熱演する。

 そんな映画がハリウッド・フィルム・アワードで評価されたシャイアは、受賞スピーチの一説で2017年に米ジョージア州の公共の場で泥酔状態になり迷惑行為をして逮捕された“黒歴史”を自ら振り返り、感謝の言葉を述べた。

「ジョージア州で僕を逮捕してくれた警察官に感謝します。あなたたちが僕の人生を変えてくれました」

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シャイアの転落と復活

 シャイアは、ディズニー・チャンネルの『おとぼけスティーブンス一家』で子役デビューを果たすと、2005年の映画『コンスタティン』でキアヌ・リーブスが演じた主人公ジョンの右腕を熱演。

 2008年には映画『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』、2009年に映画『トランスフォーマー』シリーズといった大作にメインキャストとして出演し、そのカリスマ的な演技力で「第2のトム・ハンクス」と言われるほど、実力と人気を不動のものにした。

画像: 2007年の映画『トランスフォーマー』で共演したミーガン・フォックスとシャイア。

2007年の映画『トランスフォーマー』で共演したミーガン・フォックスとシャイア。

 しかし、プライベートでは2007年に初めて逮捕されると、そこから飲酒運転と度重なる迷惑行為により逮捕歴はじつに4回。公共の場で泥酔して暴言を吐くなどの奇行をくり返し、一時は業界から“干された”時期もあった。

画像: 2017年7月にジョージア州で逮捕された時の様子。

2017年7月にジョージア州で逮捕された時の様子。

 それ以降、シャイアは表舞台から退き、酒を断つためにリハビリ施設に入所。そこから更生していき、2018年の米Esquireで久しぶりにインタビューを受けると当時の行いを反省。また、先日は、米The Hollywood Reporterのポッドキャスト番組に出演してディズニー・チャンネル時代の名声が原因でPTSDを診断されたことを告白した。

 自身が経験した葛藤を打ち明けたシャイアは、自分の逮捕が原因で公開が大幅に延期した主演映画『The Peanut Butter Falcon』で辛口映画評論サイトRottenTomatoesにて95%という高評価を獲得すると、今回、『HoneyBoy』でブレイク脚本家賞を受賞し、失った名声を取り戻している。

画像: シャイアの転落と復活

 シャイアが自分を逮捕した警察官に感謝を述べたのは、ほかでもなく、その経験が自分の人生の転機を迎えることになったからに違いない。(フロントロウ編集部)

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