気候変動デモで華金に毎週逮捕
1937年生まれのジェーン・フォンダは、映画『ジュリア』や映画『帰郷』など多数の映画に出演し、81歳を迎えた今も精力的に活動する俳優兼活動家。これまでにアカデミー賞を2回受賞し、ゴールデングローブ賞を8回受賞した輝かしい功績を持つ。
現在ではネットフリックスのドラマ『グレイス&フランキー』に出演し、熟年離婚した夫婦の妻たちの友情をコミカルかつエモーショナルに表現し、人気を集めている。
30代だった1970年代にはベトナム戦争反対運動に燃えた彼女は、80代になった現在もセクハラや性差別を訴える「#TIME’S UP」など政治に情熱を傾け、ほかにも、近年ひとり暮らしを始めたことや、美容整形手術を受けていることについても赤裸々に語るパワフルさは衰えていない。
そんな中、現在彼女が精力的に魂を燃やしているのが、16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリが主導して始まった「気候変動対策」のデモ。
ジェーンは過去4か月間にわたってワシントンに出向き、連邦議事堂周辺で抗議活動に参加。10月11日、18日、25日、11月1日と、毎週金曜日に開催されるデモに「真っ赤なコート」を着て参加するたびに逮捕され、81歳という年にして、刑務所で夜を明かすことになった。
米CNNにジェーンは、この活動を「金曜日ごとの火災訓練」とも称し、気候変動の危機は軍国主義、女性の問題や人権など、人間生活のさまざま側面とかかわっていると主張。さらには、「何度逮捕されてもかまわない」との闘志まで見せた。
真っ赤なコートには意味があった
そんなジェーンは、逮捕の度に「真っ赤なコート」を着用することにかける思いを米The Hollywood Reporterに明かした。
彼女がファッションの参考にしたのは、アメリカ合衆国で初めて下院議員長に就任した女性議員のナンシー・ペロシだそう。ナンシーは去年の12月ごろ、ドナルド・トランプ米大統領と会談を行なった際にマックスマーラの真っ赤なコートとサングラスを着用していたことで話題沸騰となった。ナンシーが毅然とした態度でトランプ大統領に立ち向かう姿は、多くの国民に勇気を与え、ナンシーはアメリカで最もパワフルな女性の一人と言われている。
それに感銘を受けた人間の一人であるジェーンは、「これは私が買う最後のコート。赤いものが必要だったんです」と、人生最後まで活動家としての姿を貫くと言うかのように、真っ赤なコートに秘められた決意を示した。
また、ハリウッドのスタイリストやファッションデザイナーの間では、真っ赤なコートが女性にとって強力なシンボルになるとも言われている。赤は強さ、行動、自信、勇気を現した色なので、彼女の気候変動に対する姿勢がよくわかる、という意見も。
若手女優の頃は戦争反対運動に参加し、一時はCIAやFBIにマークされていたことさえあるという武勇伝を持つジェーン。自分が信じていることに立ち向かう女性であるそんな彼女は、81歳になってもそのままのパワフルさで、毎週金曜日に笑顔で手錠をかけられている。(フロントロウ編集部)