Devil Wears Pradaという「映画」と「バンド」
『プラダを着た悪魔(Devil Wears Prada)』と言えば、アン・ハサウェイ演じる主人公がファッション業界で奮闘する大人気映画。2006年に公開された映画は、300億円以上の興行収入を稼ぎだす大ヒット作となり、米Vogue誌のアナ・ウィンター編集長をモデルにしたと言われている鬼編集長を演じたメリル・ストリープが、ゴールデン・グローブ賞コメディ/ミュージカル部門の主演女優賞を受賞した。
そんな大人気ファッション映画と同名のバンドが存在するのを、ご存じだろうか?
Devil Wears Prada(デヴィル・ウェアーズ・プラダ)という名前のオハイオ州のバンドのボーカル、マイクがコチラ。
プラダを着た悪魔と聞いて、ファッショナブルでキュートなバンドを想像したあなたにはごめんなさい。バンドDevil Wears Pradaは、男性ばかりのクリスチャン・メタルコア・バンド。
映画の1年前に結成、「勘違い」でネーミング
なぜメタルコア・バンドが、女性を中心に人気の映画と同じ名前を選んだのかと思うかもしれないけれど、じつはこれにはまさかの勘違いがあった。
映画が公開される1年前の2005年に結成されたDevil Wears Pradaは、2003年に出版されてベストセラー化した小説『Devil Wears Prada』にインスパイアされてバンド名を決定。お分かりの人も多いように、この小説は2006年の映画の原作。
つまりバンドは、アン・ハサウェイの奮闘劇を見て「これだ!」と思ったわけではなく、先に名前をつけたのはバンドの方。
とは言え、メタルコア・バンドがなぜファッション界を舞台にした小説をバンド名のインスピレーションにしたのかという謎がまだ残る。そこが、バンド側の勘違い。
じつは彼らは、『Devil Wears Prada(プラダを着た悪魔)』という小説は、ハイブランドを着る人を悪魔と例えた、物質主義にNOをつきつけた本だと思っていたのだそう。その考えに共感してバンド名にしたのだけれど、あとから本を読んでみてまったく違うことに気づいたのだとか。
バンドのメンバーはインタビューでバンド名の由来を聞かれてはその経緯を繰り返しており、「過去に戻れるなら変えたい」と後悔をにじませたり、「自分が加入したときにはもう決まっていた」と距離を取ろうしたりしているところを見ると、やはりメタルコア・バンドとしては、ファッション映画・小説とのつながりは嫌なよう。
そんなエピソードを持つバンドDevil Wears Pradaの、小説や映画とはまったく世界観が違うヒット曲「Born To Lose」を、この機会にぜひ聴いてみて。
(フロントロウ編集部)