Photo:ゲッティーイメージズ,©WALT DISNEY PICTURES / Album/Newscom,LUCASFILM/20TH CENTURY FOX / Album
ディズニー映画『アナと雪の女王2』と『スター・ウォーズ』や『ホーム・アローン』といった名作映画の数々には「ある共通点」が存在する。知った瞬間、思わず鳥肌が立ってしまう共通点とは?(フロントロウ編集部)

名作映画の数々との「共通点」

 映画『アナと雪の女王2』の劇中に登場するエルサだけに聞こえる“不思議な声”。物語の重要なカギとなる、この声が歌う「アア~アア~」という耳に残るメロディにどこか聞き覚えがあると感じなかった? 

 エルサが歌う劇中歌「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」にも含まれる、美しくも少し悲し気なメロディのヒントとなった“ある楽曲”について、同作の音楽を手がけたロバート・ロペス&クリステン・アンダーソン・ロペス夫妻が、驚きの事実を教えてくれた。

 米Deadlineに「あの声が歌うメロディは『怒りの日(ディエス・イレ)』から来ているんです」と、4つの音から成るメロディは、11世紀に作られたグレゴリアン聖歌「怒りの日」を参考に取り入られたものだと明かしたロバートは、続けて、同様のメロディが、数々の名作映画の音楽にも引用されていると解説。

 「スティーヴン・ソンドハイム(※1)やエクトル・ベルリオーズ(※2)、ジョン・ウィリアムズ(※3)、『ホーム・アローン』や『スター・ウォーズ』、『シャイニング』まで、“死”や“危険”を意味するあのメロディは至る作品で使われています」と、物語の中で登場キャラクターの身に“死”や“危険”が近づいていることを表現するという目的で「怒りの日」の一部と同じメロディや、それをアレンジしたメロディが使われていると語った。

※1:ピューリッツアー賞を受賞したアメリカの有名な作詞家・作曲家。代表作には『カンパニー』、『スウィニー・トッド』といった名作ミュージカルがある。 ※2:19世紀フランスの代表的な作曲家。『幻想交響曲』や『死者のための大ミサ曲(レクイエム)』などで知られる。 ※3:『スター・ウォーズ』、『ホーム・アローン』、『ジュラシック・パーク』、『インディー・ジョーンズ』など数々の映画音楽を手がけているアメリカの作曲家。

画像: ロバート・ロペス&クリステン・アンダーソン・ロペス夫妻

ロバート・ロペス&クリステン・アンダーソン・ロペス夫妻


耳慣れたメロディの正体

 「怒りの日」とは、キリスト教の終末思想の1つで、世界の終末の日に過去の全ての人間を地上に復活させ、天国に行けるか地獄に落とされるか、その生前の行いに審判が下される日を指す。

 グレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律は、修道士セラノのトーマス(1250年没)によって選定され、死者の安息を神に願うミサ、つまり葬儀の場で歌われていた。

 「怒りの日」のメロディが映画音楽に引用されるようになったのは、台詞や音声が収録されていないサイレント映画(無声映画)が欧米各国の劇場で上映されていた頃のこと。上映には、オーケストラやバンドの生演奏が伴うことが多かったが、その際には、恐怖や危険、未知の存在が迫るシーンなどで、「怒りの日」や同曲から派生した旋律が奏でられた。

 その後、映画に音声が加わってからも、同様の意図で「怒りの日」にインスパイアされたメロディを取り入れる作品が後を絶たず。現代でも、『時計仕掛けのオレンジ』などのサスペンス作品や、『エクソシスト』などのホラー作品だけでなく、ディズニーアニメ『ライオン・キング』やファンタジー映画『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッターと秘密の部屋』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』、ヒーロー映画『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』といった、数えきらないほどの作品の音楽に「怒りの日」のエッセンスが密かに織り込まれている。

「怒りの日」のメロディが登場する作品のシーンをまとめた動画。

 『アナと雪の女王2』では、“死”や“危険”を表現するというよりも、未知の存在である不思議な声の主からの“警告”や“誘惑”といった意味合いで引用されている「怒りの日」のメロディ。

 映画を見終わった後、つい何度も口ずさんでしまう「アア~アア~」というシンプルな旋律に、そんな深い意味や数々の名作映画とのつながりが秘められていたとは驚き。(フロントロウ編集部)

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