2020年で4年目となるウィメンズマーチが、ニューヨークやワシントンD.C.など、全米各地で開催された。2020年に訴えられたこととは?(フロントロウ編集部)

ウィメンズマーチが2020年も開催

 2017年1月に、ドナルド・トランプ大統領の排他的、女性蔑視的な言動に抗議することから始まった「ウィメンズマーチ(Women's March)」。日本を含め世界各地で開催されてきたデモ行進が18日、今年もニューヨークやワシントンD.C.など、全米各地で開催された。

 ウィメンズマーチが開催されるのは、今年2020年で4度目。もともと女性の権利向上を目的に実施された同イベントだけれど、今年も去年に引き続き、女性の選ぶ権利、移民コミュニティの支援、地球環境についてと、多くのテーマへの支持や変革が訴えられた。

画像1: ウィメンズマーチが2020年も開催
画像2: ウィメンズマーチが2020年も開催

ウィメンズマーチ、プラカードから見る2020年の訴え

 今年のウィメンズマーチに登場した、思い思いにメッセージが込められたプラカードの数々をご紹介。

ドナルド・トランプ大統領と2020年大統領選

 合衆国憲法修正によって、女性に参政権が与えられてから100年を迎える2020年。もともとトランプ大統領に反旗をひるがえす形で始まったウィメンズマーチでは、今年も「STOP TRUMP(トランプを止めろ)」など、アンチ・トランプなプラカードが目立った。

画像1: ウィメンズマーチ、プラカードから見る2020年の訴え

 トランプ大統領が再選を目指している11月の大統領選もスポットライトを浴び、投票に行くことを訴えるプラカードや、女性大統領の誕生を求めるプラカードなどが見られた。

画像: トランプ大統領の行動は赤子のようだと揶揄するために2018年に作られたベビートランプのアイテムも見かけられた。

トランプ大統領の行動は赤子のようだと揶揄するために2018年に作られたベビートランプのアイテムも見かけられた。

画像: 「VOTE(投票)」に行くことの大切さがあちこちで訴えられた。

「VOTE(投票)」に行くことの大切さがあちこちで訴えられた。

女性の権利

 ウィメンズマーチで見られた女性の権利にまつわる話題でとくに多かったのが、女性の身体にまつわる権利。

画像2: ウィメンズマーチ、プラカードから見る2020年の訴え

 2019年5月、米アラバマ州で、性犯罪や近親相姦による妊娠であっても中絶できないうえ、中絶手術をした医師は罪に問われる可能性がある、全米で最も厳しい中絶禁止法が可決。アラバマ州に続き、各州で中絶禁止法が制定されていることを受けて、毎年多くの死者を出す銃より中絶が先に規制されるのはおかしいと「女性の体は、銃よりも規制されている」というプラカードをはじめ、女性の選ぶ権利を求める声が強かった。

画像: 中央の女性が掲げるのは、人工妊娠中絶制限の合法化にノーを唱える“My Body My Choice(私の体は私が決める)”のスローガン。1970年代のフェミニスト運動から使われているこの言葉には「女性の体に関する選択は、女性自身に選ぶ権利があるべき」という意味が込められている。

中央の女性が掲げるのは、人工妊娠中絶制限の合法化にノーを唱える“My Body My Choice(私の体は私が決める)”のスローガン。1970年代のフェミニスト運動から使われているこの言葉には「女性の体に関する選択は、女性自身に選ぶ権利があるべき」という意味が込められている。

自然環境

 主に女性の権利を訴えるためのイベントだったウィメンズマーチだけれど、今年は地球環境についてのプラカードを掲げる人も。

画像3: ウィメンズマーチ、プラカードから見る2020年の訴え

 2019年は、たった1人で始めた環境保護に関するストライキ運動を世界規模に変えた16歳グレタ・トゥーンベリがTime誌の時の人になるほど話題となった。環境に対する訴えをする人の中には、そんなグレタのプラカードを掲げる人もいた。

イランとの戦争

 2020年の年始早々、世界に緊張を走らせたできごとといえばアメリカとイラン間の対立。米国防総省は2日、アメリカによる空爆によりイラン革命防衛隊の司令官を殺害したことを明らかにし、これに対してイランは報復を示唆。一方トランプ大統領は、もしイランからの報復があれば、より大きな軍事作戦を開始すると発言。“戦争”という過去の過ちを繰り返さないようにと願いを込めて、多くの人が「No War(戦争反対)」とメッセージを伝えた。

画像4: ウィメンズマーチ、プラカードから見る2020年の訴え

アライ

 これまで女性の参加者が大半を占めていたウィメンズマーチにも徐々に変化が。今年のデモ行進のなかには、小さな子供や女性以外の参加者も。「同盟する」「類族させる」、名詞では「味方」という意味をもつ“ally(アライ)”のように、性別や人種、生まれた場所、性的指向など、自分と相手との違いに理解を示し、当事者でなくてもサポートしようとする参加者が多く見受けられた。

画像: 「僕のママは平等な賃金に値する」というプラカード。世界に根強く残る、賃金における男女の格差問題を指摘した。

「僕のママは平等な賃金に値する」というプラカード。世界に根強く残る、賃金における男女の格差問題を指摘した。

画像: 「I’M WITH HER(自分は彼女の味方)」というプラカードを掲げる男性。

「I’M WITH HER(自分は彼女の味方)」というプラカードを掲げる男性。

画像: こちらの男性は「共に、全員のために、闘おう」というプラカードを手に。

こちらの男性は「共に、全員のために、闘おう」というプラカードを手に。

画像: 「沈黙は同意だ」(右)「ストレートの白人男がデモに参加するくらい、ヤバイってことだってわかってるだろう」(左)というプラカードを掲げる男性たち。

「沈黙は同意だ」(右)「ストレートの白人男がデモに参加するくらい、ヤバイってことだってわかってるだろう」(左)というプラカードを掲げる男性たち。

 ウィメンズマーチは、毎年セレブが参加することで知られており、今年は俳優のベラ・ソーンやジェシカ・ビール、アンバー・ハード、カーダシアン家の一員であるケイトリン・ジェンナーなどが参加した。

 全米各地で開催された「ウィメンズマーチ2020」は、3月8日に東京での開催が決定している。(フロントロウ編集部)

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