現地時間2020年2月9日に開催される第92回アカデミー賞。92年の歴史を持ち、映画界で権威ある映画賞とされているけれど、様々な理由から授賞式に姿を見せず、オスカー像を受け取らなかった人達がいる。彼らの信念や思いとは?(フロントロウ編集部)

アカデミー賞を辞退した俳優たち、その信念

 92年の歴史を持つアカデミー賞でオスカーを受賞することは、映画業界で活躍する関係者からすればとても名誉なこと。しかし、過去には自身の心に宿る信念のために受賞を拒否した俳優や脚本家がいる。

マーロン・ブランド

画像: 映画『波止場』より。ⒸCOLUMBIA PICTURES / Album/Newscom

映画『波止場』より。ⒸCOLUMBIA PICTURES / Album/Newscom

 映画『ゴッドファーザー』のドン、ヴィトー・コルレオーネ役で、第45回アカデミー賞主演男優賞に選ばれたマーロン・ブランド。しかし、アメリカおよびハリウッドにおけるネイティブアメリカンへの差別に反対の意を表するために、授賞式をボイコットした。

 マーロンは人権問題のために熱心に活動しており、ネイティブアメリカン以外に、アフリカ系アメリカ人公民権運動にも参加し、多くの団体に巨額の寄付を行なっていたことでも知られている。


ダドリー・ニコルズ

画像: 当時のアメリカ副大統領ヘンリー・A・ウォレス(中央)と会談するダドリー・ニコルズ(右)。(1944年撮影)

当時のアメリカ副大統領ヘンリー・A・ウォレス(中央)と会談するダドリー・ニコルズ(右)。(1944年撮影)

 1935年の映画『男の敵』で、第8回アカデミー賞脚本賞を受賞したダドリー・ニコルズは、アカデミー賞で初めて受賞を拒否した人物。当時1つの労働組合にまとめられていた俳優・脚本家・監督のための個別の組合を作るためのボイコットによるものだった。その後1938年に全米脚本家組合の設立が認められたことで、ついにオスカーを受け取った。


ジョージ・C・スコット

画像: 映画『クリスマス・キャロル』より。ⒸCB FILMS / Album/Newscom

映画『クリスマス・キャロル』より。ⒸCB FILMS / Album/Newscom

 『パットン大戦車軍団』で1971年に第43回アカデミー賞の主演男優賞に選ばれたジョージ・C・スコットは、欠席した授賞式について「2時間の肉祭り」とバッサリ言い切っていたという。

 ジョージは、1961年にポール・ニューマン主演の『ハスラー』で第34回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた際にもそれを辞退している。(いずれにせよ、この年の主演男優賞に選ばれたのは『ウエスト・サイド物語』のジョージ・チャキリスだった)。


ポール・ニューマン

画像: 映画『ハスラー2』より。ⒸTOUCHSTONE PICTURES / Album/Newscom

映画『ハスラー2』より。ⒸTOUCHSTONE PICTURES / Album/Newscom

 『ハスラー2』によって、1987年に第59回アカデミー賞主演男優賞を受賞したポール・ニューマン。しかし、それまでに2度の名誉賞、6回のノミネートを経験していたにもかかわらずアカデミー賞を受賞していなかったポールは、「それは、80年間美しい女性を追いかけるようなものだよ。やっと、彼女は君に折れてくれた。でも君は、『本当にすまない。僕は疲れてしまった』と言うのさ」とコメントし、授賞式には姿を現さなかった。


 今年2020年第92回アカデミー賞では、映画『ジョーカー』が最多ノミネートとなっているけれど、一部では、主演のホアキン・フェニックスがそもそもオスカーに出席するのかどうかを疑う声も。というのもホアキンは、2012年にアカデミー賞について「くだらないと思ってるから関わりたくない」とエルヴィス・ミッチェルとのインタビューで語ったことがあるから。しかしその後、「オスカーなしに今の自分のキャリアはあり得ない」「嫌いとまではいかない」と訂正したうえ、今年は大型授賞式にはどれも出席しているので、欠席の心配はないと考えてよさそう。

 目が離せない第92回アカデミー賞授賞式は、現地時間2020年2月9日に開催。(フロントロウ編集部)

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