映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』制作秘話
子役出身で俳優としても活躍するグザヴィエ・ドランがメガホンを取った新作映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』が、3月13日(金)より日本公開される。
2009年、19歳にして監督・脚本家として鮮烈なデビューを飾った映画『マイ・マザー』から約10年。30歳になったドラン監督は、節目となる年に自らを祝福するかのような最新作を完成させた。
映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』のストーリーの着想は、監督としてデビューした19歳の時。カナダで子役として活躍していた8歳のドランが、『タイタニック』を見て感動してレオナルド・ディカプリオにファンレターを書いたという思い出からインスパイアされた、監督自身の経験から生まれた物語。
さらにストーリーをよりリアルにするため、ドラン監督は主人公のジョンの経歴にも工夫を凝らした。謎の死を遂げたジョン・F・ドノヴァンは、無名の若手俳優から一気にスターダムにのし上がったキャリア絶頂のテレビ俳優。このジョンのキャラクター設定は、ジョンを演じる、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』で大ブレイクを果たしたキット・ハリントンのキャリアに合わせて役柄を変えていったとドラン監督は語る。
「当初の脚本だと、ジョンはもっとビッグなスターだったんだけど、キットに近づけるために、テレビドラマで世に出てきた俳優と言う設定に書き換えたんだ。演じる人物とキャラクターが近ければ観客も親近感を持つと思ったし、キットも演じやすいだろうからね」
謎の死を遂げたジョンの人物造形はあの大スターたち
映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』は、人気絶頂の俳優ジョンの死からスタートする。謎に包まれたジョンの死は、唯一の友であったルパートとの“秘密の文通”によって徐々に解き明かされていく。
そんなジョンの人物造形は、ドラン監督が愛し続ける2人の映画スターからインスパイアされているという。1人は、映画『ジョーカー』でアカデミー賞主演男優賞を獲得したホアキン・フェニックスの兄で、23歳という若さでこの世を去った名優リヴァー・フェニックス。
もう1人は、『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ演技派としての地位を確立し、DC映画『ダークナイト』で狂気的なジョーカーを熱演した故ヒース・レジャー。
薬物の過剰摂取によって早世した天才俳優にオマージュを捧げたというドラン監督は、ジョンというキャラクターを形成する背景をこう振り返る。
「ジョンの生涯を通して、この業界においてアイデンティティを確立してありのまま生きることがいかに難しいかを伝えたかったんだ。自分らしく生きられず、心が摩耗して世を去ったスターは山ほどいる。僕はリヴァー・フェニックスやヒース・レジャーを常に尊敬していて、いつも憧れていた。だから当初の脚本ではジョンを、リヴァーやヒースを写したような人物にして、キャリア絶頂で突然“謎の死を遂げる映画スターとして描いたんだ。ありのままの自分を受け入れることが、どのような結末をもたらすのか、どんな犠牲を伴うのか。ジョンにはそれを観客へ伝える役目を与えていた。キットにキャスティングが決まってからも、土壇場まで脚本を磨き上げて、ジョン・F・ドノヴァンの人物造形を作り上げたんだ」
ドラン監督自身の経験、演者キットのキャリア、そして今は亡き大スターの軌跡から生まれたジョン・F・ドノヴァン。彼は一体“秘密の文通”で何を語ったのか。すべてが解き明かされる映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』は、3月13日(金)より日本公開される。
『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』 PG12
監督:グザヴィエ・ドラン
脚本:グザヴィエ・ドラン、ジェイコブ・ティアニー
出演:キット・ハリントン、ナタリー・ポートマン、スーザン・サランドン、ジェイコブ・トレンブレイ、キャシー・ベイツ他
提供・配給:ファントム・フィルム、松竹
カナダ・イギリス映画/スコープサイズ/上映時間:123分
原題:The Death and Life of John F. Donovan
©2018THE DEATH AND LIFE OF JOHN F. DONOVAN INC., UK DONOVAN LTD.
(フロントロウ編集部)